アイテムセット、スキャン
「簡単な話さ。……一緒に旅をしないか。」
「え?」
流石は閃光ロイス様。発する言葉も俺の想像とは違っていて当り前だった。
「あ、あの、ロイス様! そのお言葉は誠でございますか!?」
「ア、アハハ、何も警護にならなくても大丈夫だよ……。」
「し、しかし!! 一端のプレイヤーが貴方様と同行など!!」
「それはこっちも同じ事さ。上限はLv120なのに、僕なんてまだLv109――――」
「もうLv109なんですよ!? それも職業も最高峰の『ドラゴンナイト』じゃないですかッ!!」
「そうだけど、『劣化Squall』さんとか『キリンガ伯爵』さんにはかなわないよ。」
「え、あの、ロイス様。もしかして、その方々はお知り合いの方とか? 僕には理解できませぇン!」
「ハハ、ホント君は面白いね。勧誘して正解だったよ。で、OKしてくれる?」
「さりげなく話題転換させないでくださいよ。誰ですか。その方々は!」
「えっとね。『劣化Squall』さんが『ドラゴンセイバー』だったかなぁ。Lvは確か……
この間会った時は113だったよ。伯爵も『トリックマスター』でLv112まで上がっていたはず。」
……え? な、なんなんだ。語られるのはどいつもこいつもLv100オーバーの超人ばかりじゃないか!!
や、やはり、良い事は無い! ついて行けない!
も、もし同行してみろ……。ボス戦やら次元の違う狩り場やらに連行された揚句……
し、死にかねんぞ! こ、このお誘いの許可は俺の死亡を意味しているのではなかろうか!
駄目だ駄目だ! なんとか誘いを振り切らないと!
「ロイス殿。わ、私はこのお誘いを許容するわけには――――」
すると、後ろから徐に声が発せられた。
「ちょっとーロイスぅ? こんなところで何やってるのよ。」
「のわわっ」
「懐かしいね。『True姫』さん。現役そうで何よりだよ。」
「当ったり前よっ! Lvは63とまだ低いけど……これでも『シーフ』として頑張ってるのよ?」
「うげげっ、Lv63! それもシーフの方でしたか!」
「ん? ロイス。この方は?」
「ああ。この方は『堕ちた使者』さん。今、パーティー勧誘していたところなんだ。」
「ドンピシャってわけね……絶対やってるって思ってたわ。で、君、Lvと職業は?」
「え、えーっと……」
は、恥ずかしくて言えない! この流れだと、きっとそれ相応のステータスだと思い込んでいるはずだ。
こ、ここで流れを乱すわけには……。いきなり恥をさらすわけにはいかない!
俺は腰のアイテムポーチに手を突っ込んだ。
ゴソゴソと手が動く。た、確か街まで移動できるアイテムがあったはずだ。
『魔力の転送石』。こいつがあれば、大きな町に設置されている『転 送拠点』に移動できるはずだ、
……あった!
「?」
「どうかしたかい?」
ヤバ、気づかれそうだ。だが、もう遅い! 俺の未来の為に! すみません! ロイス様! 姫様!
「『使用準備』!」
「ちょ、何する気よ!!」
「使者君!?」
動揺するロイス様と他一名。 ごめんなさい! どうか御無礼をお許しくださいィィィィィ!
「『完了』! 発動せよ! 『魔力の転送石』ぃぃぃぃッ!」
手に掴んだ石が眩い閃光を放つ!
……は、はは。せ、成功したみたいだ!
やはり、プロとて使うアイテムまでは予想できまい!
恥はかかずに済んだが……またいつすれ違うかもわからん! 何しろあれは『最寄りの待ち』に
転移するだけだからな! あのスタート地点からここまではそう遠くは無い。
ゲームと構図が一緒なら間違いなく数分と立たずにあいつらとすれ違うことは間違いないぞぉぉぉ!
「……逃げる準備しなきゃな。」
やっちまッたもんは仕方が無い。ここまできたなら、最後までやってやるさ!
俺がプレイしているのはRPGのはずなのに、いつの間に逃走ゲームになっちまったっていうんだ……!?
ドラゴンナイト:接近系では最高峰の位置に属する職業の一つ。
長身の武器を得意とするタイプで、長いリーチが最大の利点。
ドラゴンセイバー:接近系の職業で拳での攻撃を得意とする職業。
武器を使わないので素早い攻撃ができる。
拳タイプの職業は単発の威力は低いが、連続で攻撃することに最も長ける。
トリックマスター:奇妙なスキルでの攻撃が醍醐味の職業。
武器での攻撃ではワンパターンに極まる。が、スキル面では
相手を陥れたり動きを規制したり、ステータスを抑制したりする罠系統が多い。
シーフ:盗賊。盗んだり翻弄したりと軽快な行動ができる。
攻撃面では短剣での素早い攻撃が特徴。欠点は体力の少なさ。




