物流革命
蓄電型機関車は、ゆっくりとトンネルの中を走っていた。
レールの上を滑るように進む。
私は運転席の後ろに立ちながら、その様子を見ていた。
「……問題ないわね」
車体の振動も少ない。
音も静かだ。
蓄電池の出力も安定している。
隣にいた文官が言った。
「順調ですね」
私は頷く。
「うん」
機動性能に問題は無い。
速度も十分。
トンネル内の輸送にはこれで十分だ。
私は腕を組む。
「次は」
文官を見る。
「操作人員の育成ね」
この機関車は便利だが、運転出来る人間が必要だ。
文官がメモを取る。
「運転講習ですね」
私は頷いた。
「そう」
そして私は後ろに積んだ荷台を見る。
「それとこれ使ってレンガをゆきちゃん側に送るわ」
今こちらではレンガを大量生産している。
トンネル補強。地下都市建設。
その副産物で大量に出来る。
だが向こうでも使える。
つまり――輸出だ。
文官が頷く。
「なるほど」
トンネル鉄道は物流革命になる。
荷馬車とは比べ物にならない。
私はふと考える。
「……でも積み込みが面倒ね」
レンガは重い。
人力だと時間がかかる。
私は少し考える。
「フォークリフト」
文官が首を傾げる。
「フォーク……?」
私は説明する。
「荷物を持ち上げる機械」
前に爪がついてる。それで持ち上げる。
文官は目を丸くする。
「そんな機械が?」
私は笑った。
「作るわよ」
重機がある。なら出来る。
むしろ簡単な部類だ。
私は続けた。
「それと天井クレーン」
文官がさらに驚く。
「天井?」
私は上を指差した。
「吊り下げ型レールで横に移動」
荷物を持ち上げて運ぶ。
人力より圧倒的に速い。
文官は小さく感心する。
「それがあれば積み込み作業は楽になりますね」
私は頷いた。
「そう」
工業都市は効率が命。
機械で出来る事は機械にやらせる。
私は小さく呟く。
「フォークリフトはゆきちゃんにも渡しておくか」
向こうもレンガを受け取る。
荷役機械は必要になる。
技術共有だ。
私はふと考える。
「帰りは……」
空便になるか?
レンガを降ろした後は何も積まない。
私は肩をすくめる。
「まあそこは文官さんに任せるか」
文官は苦笑した。
「承知しました」
機関車はトンネルの奥へと進む。
鉄の車輪の音が静かに響く。
地下都市。鉄道。機械。
私はその光景を見ながら小さく呟いた。
「いい感じね」
工業都市は――確実に回り始めていた。




