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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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トンネル温泉

コンベアーは順調に動いている。

鉄鉱石は問題なく送られてきていた。

私はトンネル入口付近で、その様子を確認していた。

ベルトの上を鉄鉱石が流れていく。


ゴォ……ゴォ……。


「順調ね」


文官も頷く。


「問題ありません」


こちらからも荷馬車で石炭を送り込んでいる。


石炭と鉄。


お互いの領地は、すでに資源で繋がっていた。


私は腕を組む。


「そういえば」


ふと思った。


「まだ見てないわね」


文官が首を傾げる。


「何をです?」


私はトンネルの向こうを指差す。


「ゆきちゃんの拠点」


トンネルは繋がったが実際に向こう側を見に行った事はまだ無い。


私は少し考えた。


「……よし」


文官を見る。


「ショベルカー、一台持って行くわ」


文官が少し驚く。


「今ですか?」


私は笑った。


「操縦者さん物覚えいいしすぐ使えるでしょ」


どうせ向こうも重機を欲しがっている。

一台くらい先に持って行っても問題ない。


私は言った。


「うちの文官さんも同行あとトラック一台もついて来て!様子見ね」


「了解しました」


ショベルカーとトラックに序でに石炭を積み込み、私はトンネルへ入った。


内部はまだ工事中だ。

補強材。足場。作業員。


まだ少しおどろおどろしい雰囲気がある。

私はトラックに揺られながら進んでいた。


そして――トンネルの半分くらいの位置で。


私は気づいた。


「あれ?」


壁際にパイプが通っている。

金属パイプ。何本も並んでいる。

私はトラックを止めた。

近くにいた作業員に声をかける。


「これ何のパイプ?」


作業員は振り向く。

ゆきちゃん側の作業員だ。


「あー」


そして笑う。


「こりゃ温泉っす」


私は目を瞬かせた。


「温泉?」


作業員は得意そうに言う。


「やったぜ!って感じですよ」


「中々いいんすよ」


「疲れも吹き飛ぶ!」


私は腕を組む。


「ほぅ〜」


そして呟く。


「となるとですよ?」


私はゆっくり言った。


「ゆきちゃん。私に内緒で温泉?」


ゆきちゃん側の村に来た。ぱっと見で湯煙が出て居る一角。

その前に立つと看板にお嬢様専用露天風呂と立て看板が。それと『入浴中』と。


「ほぉ…‥」



私はゆきちゃんの背後から突然声が響いた。


「ちょっと!ゆきちゃん!露天風呂に浸かって何してるのよ!?」


ゆきちゃんは間の抜けた声を出した。


「ヘェ〜ぃ〜?」


振り返る。


そして――固まった。


「げっ!?」


そこに立っていたのは。

見慣れた金髪の少女。

腕を組んでこちらを見ている。


「まきちゃん!?」


ゆきちゃんは叫んでいた。


「何故ここに!?」


私は呆れた顔をした。


「何故って」


そして肩をすくめる。


「トンネル繋がったでしょ?」


ゆきちゃんはぽかんと口を開けた。


まきちゃんは続ける。


「様子見に来ただけよ」


そして露天風呂を見渡す。


「トンネルの中にパイプが通ってるの気がついて聞いたら温泉あるって」


ゆきちゃんは目を細める。


「……それが本音でしょ」


まきちゃんは笑った。


「バレた?しかし内緒にしていた様なので温泉はうちの領地にも引きます!」


ゆきちゃんはため息をつきながら。


「はぁぃ……」


トンネルが繋がった。

それはつまり――


簡単に行き来できるという事だ。


ゆきちゃんは湯船の中で頭を抱える。


まきちゃんはニヤリと笑った。


「当然でしょ」


そして言う。


「だって温泉あるんだもの」


ゆきちゃんは空を見上げていた。


どうやら――この静かな温泉も。

これから少し賑やかになりそうだった。

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