試験走行
カーデン・ロイド型ショベルカー。
改良型三台は、現在問題なく稼働している。
トンネル工事の現場でも、作業員達はすっかりこの機械に慣れてきた。
「お嬢様!今日は順調です!」
私は少し離れた場所から、その様子を見ていた。
履帯がゆっくりと回り、ショベルが土砂を掘り上げていく。
以前なら何十人もかけていた作業が、今では数人と機械で済んでいる。
ただ、三台とも常にトンネル内で動いている訳ではない。
どうしても作業場所が限られるため、一台は予備として待機している事が多かった。
私はその予備車両を見ながら考えた。
「……勿体ないわね」
使わない時間が多いなら、別の用途に回した方がいい。
そこで私は設計図を広げた。
ショベルの部分。
これを固定ではなく、交換式にする。
ジョイントを作り、バケットの代わりに別の装置を取り付けられるようにするのだ。
完成したのは――
掘削機。
先端に回転する刃を付けた装置。
私はそれを見ながら言った。
「これなら」
硬い地盤でも砕ける。
実際に取り付けてみると、作業員達も驚いていた。
「おお……」
「岩も割れるぞ」
「これは凄い」
私は満足して頷いた。
「いい感じね」
ついでに、私はもう一つ作ってみた。
小型の掘削機。
手持ちサイズのものだ。
作業員が二人で持ち、岩盤に押し当てる。
ブゥゥゥン……!
回転刃が岩を削る。
これもなかなか好評だった。
「これなら狭い場所でも使えます!」
私は笑った。
「でしょ?」
開発はそれだけでは終わらない。
私は別の工房へ向かった。
そこには、新しい車両が置かれていた。
カーデン・ロイド型。
ショベルは付いていない。
荷台がある。私はそれを叩いた。
「トラック型」
輸送車両だ。
開拓拠点では、資材運搬が大きな問題になっている。
荷馬車だけでは限界がある。
だから機械輸送。
ここで問題になるのは――耐久性。
ショベルカーは基本的に低速で作業する。
移動距離も短い。
しかしこのトラック型は違う。
長距離移動。荷物。起伏。
全部に耐えられるか試さなければならない。
私は文官に言った。
「試験するわよ」
募集をかけた内容は操縦員。
志願者は意外と多かった。
機械を動かすのが面白いらしい。
「いいわ」
私は指示を出す。
「走り回って」
作業員達は笑った。
「了解です!」
試験は徹底的だ。
起伏の激しい地形。
草原。土砂道。全力走行。
そして荷物を積んでの走行。
限界まで動かす。
エンジン。履帯。ギア。
全部の耐久性を見る。
ある日、試験車両が戻ってきた。
操縦員が笑っている。
「お嬢様!」
「なかなか壊れません!」
私は腕を組む。
「それでも」
壊れるまで走らせる。
限界を知らないと設計は出来ない。
私はトラック型車両を見ながら小さく呟いた。
「まだまだね」
この機械達は、まだ第一世代。
ここから改良。そして量産。
やがてこの開拓地は――
機械で動く土地になる。




