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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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鉄を待つ日

私は執務室の机に広げた地図を眺めながら、腕を組んでいた。


「……今日の朝出発」


ゆきちゃんの話では、鉄鉱石を積んだ荷馬車隊は今朝出発したらしい。


私は地図の国境線を指でなぞる。

ゆきちゃんの領地。

そしてこの開拓拠点。

直線距離ならそれほど遠くない。


問題は――道だ。


私は小さく息を吐いた。


「どれくらいかかるのかしら」


文官が横から答える。


「二日から三日ほどかと」


私は顔を上げた。


「そんなもの?」


文官は頷く。


「はい。道もまだ整備されておりません」


確かにそうだ。

山道。草原。仮の道。

まともな街道とは言えない。


しかも今回は。


「二十八台」


私は小さく呟いた。

ゆきちゃんの領地から来る荷馬車。

全部で二十八台。

かなりの規模だ。

それに私は紙を見る。


「鉄鉱石……」


重量物だ。

荷馬車に積めば、当然速度も落ちる。

道が悪ければ、さらに遅くなる。


私は苦笑した。


「運ぶ側も大変ね」


文官も頷く。


「ええ」


「護衛も多めに付いているはずです」


私は地図を見ながら計算する。

往路。復路。輸送量。そして燃料。

私は小さく呟いた。


「石炭積むなら」


文官が聞き返す。


「石炭ですか?」


私は頷く。


「そう」


帰りの便。鉄鉱石を降ろした荷馬車。

空で返すのはもったいない。


ここには――石炭がある。


私は窓の外を見る。

露天掘りの石炭。

黒い山のように積まれている。


私は笑った。


「帰りは石炭ね」


文官が頷く。


「同じ行程になりますな」


鉄鉱石。石炭。

物々交換のような形だ。

私は机の上の設計図を見る。


鉄が必要だ。


私は小さく呟いた。


「鉄鉱石さえ来れば……」


そこから先は、一気に進む。

鉄を精錬する。

鋼材を作る。

機械を作る。

鉄道を敷く。


開拓の速度が、まるで変わる。


私は椅子にもたれた。


「楽しみね」


鉄鉱石の到着。

それが、この開拓拠点の次の段階を決める。

私はふと考えた。


「……それ以外に」


何か考える事はあるかしら。

私は机の上の紙を一枚めくる。


開発計画。資材計算。輸送計画。

そして設計図。


私は腕を組んだ。


「うーん」


しばらく考えて小さく笑った。


「まあ」


そして呟く。


「鉄が来てからでもいいか」


やる事は山ほどある。

今はまず――鉄鉱石だ。

私は窓の外を見る。

遠くの草原。その向こうから。


鉄鉱石を積んだ荷馬車隊が、こちらへ向かっているはずだ。


私は小さく笑った。


「早く来ないかしら」

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