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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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石炭と鉄

私は執務室の机に広げた設計図を見ながら、思わずため息を吐いた。


「うーむ……」


ここ最近、開拓は確実に進んでいる。

トンネル工事。露天掘り。レンガ製造。

建物の建設。

全部、少しずつだが形になり始めている。


私は紙の上に指を置いた。


「……流石に無理があるわよね」


現地調達。

それを基本に開拓を進めてきたが限界がある。

この土地は確かに資源がある。


石炭。地下水。石灰石。レンガ用の土。


ここまでは揃っている。

私は紙をめくる。


「コークス炉」


石炭を高温で焼き、コークスを作る施設。

設計はもう済んでいる。

石炭がある以上、コークス生産は出来る。


さらに私は別の図面を見る。


「溶鉱炉」


鉄を精錬する炉。

これも建設を始めている。


レンガ製造が成功したおかげで、炉の建材は確保出来そうだ。


私は窓の外を見る。


拠点の端では、レンガ建物の骨組みが立ち始めていた。

あれが完成すれば工房、精錬施設。

様々な設備が置ける。


さらに私は資料を確認する。


「石灰」


コンクリートの材料だ。

幸い、拠点から少し離れた丘で石灰石が見つかった。

これでコンクリートも作れる。

建築問題は、かなり解決した。


私は腕を組む。


「問題は……」


紙を軽く叩く。


「鉄」


正確には。


「鉄鉱石」


溶鉱炉があっても、鉄鉱石がなければ意味がない。


鉄は工業の基礎だ。

機械。鉄道。工具。全部鉄が必要。


この領地には――鉄鉱石がほとんど無い。


私はため息を吐いた。


「参ったわね」


もちろん方法はある。

私は地図を見る。


国境の向こう。ゆきちゃんの領地。

あちらには鉄鉱脈がある。


私は小さく呟く。


「……頼むしかないか」


山越えの輸送は大変だ。

完全に不可能ではない。

私は椅子にもたれた。


「ゆきちゃんにお願いしてみるか」


無理してでも、少し分けてもらう。

私は机の上の計算を書き直す。


鉄鉱石。輸送量。精錬量。

そして完成品。


私は頷いた。


「五十台」


荷馬車五十台分。


それだけあれば、かなりの設備が作れる。

蒸気機関。鉄道。機械。

全部作れる。


もちろん一度に全部は無理だ。


「分割でもいい」


少しずつ継続的にトンネルが出来るまでは、それで十分だ。


私は立ち上がった。


「無線ね」


固定式無線機が置かれている机へ歩く。

スイッチを入れる。

雑音が少し流れる。

私はマイクを持った。


「こちらフジ」


少し待つすると。


「こちらさくら」


ゆきちゃんの声が聞こえた。

私は笑った。


「お願いがあるの」


そして言った。


「鉄鉱石、分けて」


向こうで小さく笑う声が聞こえた。

私は続ける。


「荷馬車五十台分。いっぺんにじゃなくていい。少しずつでトンネルが出来るまでの間」


そして少し考えてから付け加えた。


「もちろん」


私は窓の外を見る。

露天掘りの石炭。山のように積まれている。


私は笑った。


「帰りの便には石炭を渡すし、お金も無線機代から引いて」


石炭と鉄。


条件としては、悪くないはずだ。

私は無線機に向かって言った。


「どう?取引、する?」


「解ったわ。直ぐには無理だけど手配するわ」

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