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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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石炭化学

私は執務室の机の上に広げた設計図を見ながら、軽く背伸びをした。


机の上には新しい図面が増えている。


蒸気機関車。トロッコ車両。

蓄電型機動車。工事用車両。


そしてもう一つ。


「……人造石油」


私は小さく呟いた。

石炭はこの土地に大量にある。

それを燃やすだけでは、もったいない。

前世の知識では、石炭から燃料を作る方法がある。


いわゆる――合成燃料。


それを再現出来るかどうか。

恐る恐る設計してみたが、どうやら小型装置ならこの世界でも再現可能らしい。


私は図面を見ながら苦笑する。


「ほんと便利ね、このスキル」


必要な材料。工程。全部出てくる。

私は紙をめくりながら呟いた。


「ついでにもう一個」


人造石油実験。それに加えて、もう一つ追加した。


「合成ゴム」


鉄道。工事車両。機械。


それらを作るなら、ゴムは必要になる。

タイヤ。パッキン。ベルト。

様々な場所で使う。

この世界の天然ゴムは供給が安定していない。


私は資料を見ながら呟く。


「代わりに魔物素材」


この世界では、ゴムの代用品として魔物の素材が使われている。


柔軟性があり、弾力もある。

確かに理屈としては分かる。


私は腕を組んだ。


「供給が読めない」


魔物は自然発生。

つまり安定した供給源ではない。


戦闘。討伐。


状況次第で材料が増えたり減ったりする。

工業材料としては不安定すぎる。


だから――


「念の為」


合成ゴム。こちらも実験してみる事にした。

私は机の上の設計図を軽く叩いた。


「まあ出来る物はここで作る方が良いわよね」


原料自体は安い。

問題は――輸送。

私は窓の外を見る。


草原。遠くの山。

そして仮設拠点。

ここは本当に何もない。


私は苦笑した。


「原料は安いのに運ぶと高い」


領都。港町。市場。


そこからここまで持ってくるだけで、輸送費が跳ね上がる。


荷馬車。護衛。日数。


全部コストだ。私は椅子に座り直す。


「ほんと」


小さく息を吐く。


「厄介な場所だわ」


この開拓拠点。

ほとんどの物が外部からの持ち込みだ。


木材。鉄。工具。食料。全部。


持ってこないといけない。


つまり。


「輸送が止まったら終わり」


私は空を見上げる。


一つだけ。

この土地には豊富にあるものがある。

私は足元を軽く踏んだ。


「石炭」


地下には、ほぼ無限に近い量が眠っている。


私は苦笑する。


「石炭だけってのがねぇ」


燃料としては優秀。

それだけでは開拓は出来ない。


私は肩をすくめた。


「参るわ」


すぐに小さく笑った。


「まあ」


「仕方ないけどさ」


無いものを嘆いても意味はない。

あるものを使うしかない。

私は机の上の設計図を見る。


人造石油。合成ゴム。鉄道。

工事車両。そして石炭。


私は小さく呟いた。


「この土地」


そして笑った。


「石炭から全部作る勢いで行くしかないわね」

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