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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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動力計画

トンネル工事は順調に進んでいた。

岩を砕く音が、山の方から毎日聞こえてくる。

最初は本当に掘り始められるのか心配だったが、今のところ大きな問題は出ていない。

地質調査も、ほぼ終わった。


岩盤。石炭層。地下水脈。


この辺りの地下構造は大体把握出来た。

私は拠点の高台から、その様子を眺めていた。

少し離れた場所では露天掘りも始まっている。

石炭層が地表近くに出ている場所だ。

そこでは鉱夫達がツルハシで石炭を掘り出していた。

掘られた石炭は積み上げられ、乾燥させている。


燃料として使う分。そして将来的には領都へ運ぶ分。

ゆっくりではあるが、確実に進んでいる。


私は拠点の方を見る。

建物も、ようやく形になってきた。


まだ簡素なものだが、テントではない建物が並び始めている。


執務室。小さな工房。資材倉庫。

そしてレンガ焼成炉。


数ヶ月前は、ただの草原だった。


それを思えば――


「まあまあ、かな」


私は小さく呟いた。

文官が隣で頷く。


「かなりの速度かと」


私は苦笑した。


「まあね」


次の荷馬車隊もこちらへ向かっているらしい。

資材も人も、少しずつ増えている。


順調。そう言えば順調だ。

私は腕を組んだ。


「……でもね」


少し空を見上げる。


「遅いのよ」


この時代の基準なら速いでも、私の感覚では遅い。圧倒的に遅い。


原因ははっきりしている。


「重機が欲しい」


私は呟いた。


ショベル。ブルドーザー。ダンプ。


それらがあれば、この開拓速度は何倍にもなる。

この世界には当然そんなものはない。


私は少し考える。


「……いや」


設計自体は出来る。それは確認済みだ。

エンジニアのスキルで設計図を引く事は出来る。

そしてこの世界の技術でも、再現可能な範囲だという事も分かっている。


問題は――動力。


私は小さく息を吐いた。


「燃料よね」


前世なら、当然ガソリン。つまり原油。

私は地下を分析した事を思い出す。


「反応なし」


この辺りに原油の反応は無かった。

もちろん、絶対に無いとは言えない。

宝石の時にも分かった。

スキルは深すぎると反応が鈍くなる。


つまり深すぎるか本当に無いか。

どちらかだ。

私は肩をすくめた。


「まあ、今は期待出来ないわね」


別の方法も考える。


「バイオ燃料」


すぐに首を振る。

サトウキビ。トウモロコシ。油作物。


それらを燃料にする事は出来る。


「食料事情悪くなる」


今はまだ開拓初期。

食料は重要だ。

燃料のために農地を潰すのは、本末転倒だ。


私は空を見上げた。


「……となると」


残る選択肢は一つ。

石炭。私は足元を軽く踏む。

この地下にはほぼ無限に近い量の石炭がある。


私は小さく呟いた。


「人造石油」


石炭から燃料を作る方法。

前世でも存在した技術だ。

私は少し迷った。

この世界で再現出来るか?

それとも無理か?

私は恐る恐る、スキルを使った。


「……設計」


頭の中で装置を組み立てる。


炉。圧力容器。触媒。冷却装置。

そして精製工程。


しばらくして私はゆっくり目を開けた。


そして笑った。


「……出来る」


小型装置。簡易型。それなら再現可能だ。

私は空を見上げる。


「重機とまではいかない」


蒸気機関や内燃機関のような――

動力付き機械。

蒸気機関なら問題無い。でもこちらは使い勝手が悪い部分も多い。


私は小さく笑った。


「なら」


そして呟く。


「簡単な動力付き、考えるとしますか」


この開拓をもう一段、加速させるために。

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