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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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最初の建物

橋の崩落で止まっていた荷馬車隊は、結局その場で修復作業を行ったらしい。


積んでいた資材の一部を使い、仮設の橋を組み直したとの報告が届いた。


木材。補強用の鉄具。工具。


それらを使い、簡易的ではあるが荷馬車が通れる程度の橋を作り直したようだ。


そして、もう一つの隊。


別の道を探しに向かった荷馬車隊も、結局は途中で戻ってきたらしい。


理由は単純だった。


「魔物の痕跡が多すぎた」


との事だ。


結局、無理に危険な道を進むより、橋を直して進む方が安全だと判断したらしい。


私はその報告を聞きながら腕を組んだ。


「そうなるわよね」


文官も頷く。


「ええ」


そして地図を見ながら静かに言った。


「つまりここまでの補給路は一本しかない」


私はため息を吐いた。


「……まさかここまで脆弱とはね」


開拓拠点。石炭。そればかり考えていた。

その前にある問題。


補給路。


ここがこんなに弱いとは、正直考えていなかった。


私は小さく呟く。


「迂闊だったわ」


文官は落ち着いた声で言う。


「今気付いて良かったとも言えます」


確かにそうだ。


もし採掘が始まり、物資の輸送が本格化してから橋が落ちていたら――


もっと大きな問題になっていただろう。


私は地図を指した。


「この道」


「整備しないとね」


橋。道。補給拠点。


これからやる事は増えた。

まずは目の前の問題だ。

その日の夕方、ついに荷馬車隊が到着した。

遠くの草原に、長い列が見える。


「来たわね」


私は思わず笑った。五十台近い荷馬車。


護衛。作業員。


かなりの大所帯だ。

隊列が拠点へ入ると、作業員達の空気が一気に変わった。


「資材だ!」


「やっと来た!」


箱が降ろされていく。


木材。鉄材。工具。食料。布。油。


そして様々な資材。

私はその光景を見ながら呟いた。


「やっと少し進むわね」


文官も頷く。


「ようやくです」


私は手を叩いた。


「さあ、配分しましょう」


資材は限られている。

優先順位を決めなければならない。


農地。工房。採掘準備。住居。

いろいろある。私は迷わなかった。


「まず」


私は指を立てる。


「執務室」


文官が一瞬止まる。


「執務室……ですか?」


私は頷いた。


「そう」


この拠点にはまだまともな建物がない。

会議も。書類作業も。全部テントの中だ。

それでは効率が悪い。


私は笑った。


「仮でもいい、小さくてもいい」


そして言った。


「ここが拠点になるんだから、まずは仕事する場所が必要よ」


文官は少し苦笑しながら頷いた。


「確かに」


大工達がすぐに動き出す。

木材を運び。柱を立て。

土台を組み始める。

私はその様子を見ながら思った。

数日前まで、ここには何も無かった。


ただの草原だった。今は違う。

人が集まり。物資が届き。

そして――最初の建物が建とうとしている。


私は小さく呟いた。


「やっと」


そして少し笑った。


「開拓らしくなってきたわね」

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