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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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何もない草原

今できる事をする。

それが今の私の結論だった。

目の前には、相変わらずの草原が広がっている。


風が吹けば、草がゆらゆらと揺れる。

空は広いし見晴らしもいい。


だが――


「本当に何も無いわね……」


私は思わず呟いた。

現在進めている作業は、主に二つ。


まず一つ目。


トンネル位置の確定。

山のどこを掘り進めるか。


角度。距離。崩落の可能性。


それらを計測しながら決めていく。


もう一つは――石炭の分布調査。

私は地面に手を触れる。


「……分析」


視界の奥に情報が浮かぶ。

地下構造。岩盤。そして黒い層。


石炭の分布はかなり広いし場所によって厚みが違う。


薄い場所。厚い場所。


掘るなら、当然厚い場所だ。

私は地図に印を付ける。


「ここ、ここも」


文官がそれを書き込んでいく。

私は小さく息を吐いた。


「……ていうか」


私は空を見上げた。


「逆に言うとそれくらいしか、やる事ないのよね」


文官が苦笑する。


「確かに」


拠点はまだ仮設。

予備軍用テントが並んでいるだけだ。

作業員の数も多くない。

資材も限られている。


つまり――出来る事が少ない。


というより。


「出来ない事の方が多い」


私は周囲を見渡す。

草原。小さな丘。遠くに林。


それだけだ。人の気配はほとんどない。


文官が言った。


「最寄りの村は……五十キロほどです」


私は苦笑した。


「遠いわね」


五十キロ。馬車でも一日以上かかる。


つまりここは完全に孤立した場所だ。


資材も。食料も。全部運ばないといけない。

私は肩をすくめた。


「中々ハードね」


文官も頷く。


「開発というのは、こういうものです」


私は足元を見る。


草。土。石。


拠点予定地は、ただの草原だ。

建物もない。道路もない。


あるのはテントだけ。

私は小さく息を吐いた。


「まあ最初はこんなものよね」


幸い、一つだけ成果があった。

地下水脈。私は地面を指した。


「ここ水あるわ」


文官が頷く。


「井戸を掘っています」


作業員達が、少し離れた場所で井戸を掘っている。


土を掘り。岩を割り。

少しずつ深くしている。


地下水脈があるなら、水の問題は解決する。


少なくとも――

川まで水を汲みに行く必要はなくなる。


私は空を見上げた。


青い空。白い雲。そして広い草原。


私は苦笑した。


「これは……」


そして大きく息を吐いた。


「はぁ〜……」


何もない場所。

私は足元の地面を軽く踏んだ。


この地下には――石炭。


未来を動かす資源が眠っている。


ならば私は小さく笑った。


「やるしかないわね」


この何もない草原をいつか――人が集まる場所に変えるために。

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