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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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国境への旅立ち

それから更に数十日が過ぎた。

準備は着々と進み、そして――

ついにその日が来た。

私は領主館の前に並ぶ馬車の列を見上げる。


「……凄いわね」


護衛。物資。測量機材。記録係。文官。


そして私の移動研究馬車。

かなりの規模の隊列になっていた。

文官が行程表を確認している。


「予定通りであれば、巡察は約半年になります」


私は頷いた。


半年。長いようで、短い。

今回の目的は単なる旅ではない。


領地巡察。各村を回り。農業。道路。水利。


問題点を確認し改善案を出す。

測量隊とも合流しながら、国境方面へ向かう予定だ。


そして――私は少し笑う。


ゆきちゃんも同じような予定を組んでいる。

向こうも領地巡察をしながら、国境方面へ向かう。


タイミングが合えばもしかしたらどこかで会えるかもしれない。


私は大きく伸びをした。


「さーって」


文官が振り向く。


「お嬢様?」


私は笑った。


「出発しますか」


文官が頷く。


「出発!」


護衛隊長が声を上げる。

馬車の車輪がゆっくり動き出した。


領主館。領都の城壁。市場の通り。


それらが少しずつ後ろへ遠ざかっていく。

私は馬車の窓から外を眺めた。


そして思った。


「……初めてね」


領都の外。ここから先の風景。

私は書面では知っている。


村の名前。人口。収穫量。地図。


全部、頭に入っている。

実際に見るのは――初めてだ。


広い畑。遠くの丘。ゆっくり流れる川。


私は思わず笑った。


「凄い……」


文官が少し不思議そうに言う。


「お嬢様?」


私は正直に答えた。


「ワクワクしてるの」


文官は苦笑した。


「巡察ですが」


私は肩をすくめる。


「分かってるわ」


もちろん仕事だ。視察。調査。改善。やる事は山ほどある。


でも言い方は悪いかもしれないけど――

少し旅行気分でもある。


知らない場所。知らない景色。

知らない村。私は窓の外を見ながら呟いた。


「領地って広いのね」


地図では分かっていた。


実際に見ると、実感が違う。

この土地。この人達。それを守るのが領主。

私は小さく息を吐いた。


そして静かに言った。


「よし」


半年の巡察。長い旅になる。


その先には国境がある。


そして――


その向こうにはゆきちゃんがいる。

私は馬車の座席に深く座った。


旅は始まったばかりだ。

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