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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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測るという力

あれから毎日。

私とゆきちゃんは、夜の三の刻に通信を続けている。


最初は近況報告。次は技術の話。


そして気付いた事がある。


「……やっぱり」


私は無線機の前で呟いた。


「どうしたの?」


向こうのゆきちゃんが聞く。


「スキル、似てるわね」


「うん。私も思ってた」


やはり。同じ様な系統のスキル。

設計。分析。構造理解。


そして規格。


「やっぱり日本規格?」


私は聞いた。

向こうは即答する。


「もちろん」


私は笑った。これは大きい。

この世界の規格は、とにかく大雑把だ。


長さ。重さ。体積。


地方ごとに違う。

職人ごとに違う。


精密加工をするには致命的。


私達は違う。


ミリ。センチ。メートル。規格ネジ。

角度。設計思想。


それが二つの領地で共通になった。

これは、かなり強い。

そしてもう一つ。


「やっぱり内政?」


私は聞いた。


ゆきちゃんは笑う。


「絶賛、領地改革中」


「私も」


電灯。水道。油精製。石鹸。工房。発電。

今の所、影響はまだ小さい。


領内が中心で広がっても隣の領地まで。

これは時間の問題。私は静かに言う。


「そのうち、王都に噂が届く」


ゆきちゃんもすぐ理解する。


「帝都にも来るね」


私の上には、国王。

ゆきちゃんの上には、帝王。


そして私達は元南の国。

分断された土地の貴族。


「絶対、チャチャ入るよね」


「間違いないわ」


金を寄越せ。技術を寄越せ。

王家管理にしろ。


そんな話が来る。


断れば?圧力。政治。最悪。軍。

私は机に指を当てる。


「弾き返す手段が必要」


ゆきちゃんが言う。


「同感」


私達は、協調路線。それは間違いない。

その前にやる事がある。


私はふと思い出した。


「……地図」


「地図?」


「そう」


私は続ける。


「この世界の地図、精度が低すぎる」


ゆきちゃんも笑う。


「分かる」


山。川。村。位置が曖昧。距離が適当。

戦略にも、物流にも不向き。


ならば。作る。


「まずは領地の正確な地図」


私は言った。

ゆきちゃんもすぐ乗る。


「共同プロジェクト?」


「そう」


問題はどう測るか。私は紙を引き寄せる。


距離。角度。方位。

前世なら測量機器がある。

トランシット。水準器。測量鎖。GPS。


だが、この世界には無いのならば。作る。


私は考えた。磁石。……ある。

コンパスが作れる。

方位は取れる。


次に距離。測量鎖。規格ロープ。

一定長の測定。


問題は角度。私はペンを走らせた。


三脚。水平器。回転円盤。照準筒。

角度目盛。簡易トランシット。


ゆきちゃんが言う。


「三角測量?」


私は笑った。


「その通り」


高い場所を基点に。角度測定。距離計算。

三角網を広げる。


これなら広域測量が出来る。

ゆきちゃんが楽しそうに言う。


「面白くなってきた」


私も頷いた。


「まずは測量機を作る」


「そして地図」


地図は、ただの紙じゃない。


道路。水源。鉱山。防衛線。軍事。

物流。国家の骨格。


私は静かに言った。


「測るって事は」


ゆきちゃんが続ける。


「支配するって事」


私達は同時に笑った。


次の共同開発。測量機。


そして二つの領地の地図。

それが完成した時。

この世界で一番正確な地図が、出来る。


私は無線機に向かって言った。


「まずは、設計ね」


共通文明は一歩ずつ確実に広がっていく。

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