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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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357/364

泳がせる

夜の街道沿い。


商隊は野営を始めていた。

焚き火。見張り。食事。


一見すると普通の商隊である。


しかし焚き火から少し離れた場所では、数人が地図を広げていた。


「鉄道はここだ。橋は二つ」


「工場は煙突三本。通信線と呼ばれる物も確認した」


次々と書き込まれていく。

荷物ではない。情報だった。


一方、森の中。


ロイド偵察車が静かに停車している。

監視兵が無線機を握る。


「確認。対象は地図を使用」


「鉄道、工場、通信施設を記録中だと思われる」


『了解。領都へ伝達する』


その報告は数十分後には領都へ届いた。


私は報告書を読み終える。


「やっぱり来たわね」


副官が尋ねる。


「拘束しますか?」


私は首を横に振る。


「いいえ。泳がせる」


副官は少し驚いた。


「宜しいのでしょうか」


私は地図を広げる。


「帰ってもらう。ただし」


副官が続きを待つ。


「見せても構わない物だけ見せる」


「市場、鉄道、ロイド、治安隊」


私は地図の別の場所を指差した。


「備蓄施設、弾薬庫、予備工場などは近付かせない」


副官は笑みを浮かべる。


「偵察されているようで」


私も笑った。


「本当は、こちらが相手を見ているだけ」


通信士が敬礼する。


「監視は継続します」


「お願い」


王国は情報を集めに来た。

だが、その情報は旧南国が選んで見せている。

気付かぬまま王国の偵察隊は、旧南国が描いた道筋を進み続けていた。

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