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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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331/362

先手

終着駅の村。


駅前広場にはロイドやくろがねが並び、兵士達が慌ただしく動いていた。

鉄道から次々と物資が降ろされる。


武器。弾薬。食料。燃料。


全てがここへ送られていた。

私は駅舎の一室を臨時司令部にしていた。

地図を睨みながら考える。


徴発隊。


一隊だけとは思えない。

その時だった。


「まき様!」


通信兵が駆け込んで来た。

息を切らしている。嫌な予感しかしない。


「何?」


「地下都市より緊急伝であります!」


私は顔を上げる。


「報告」


通信兵は紙を開いた。


「徴発された村が多数あると判明!」


部屋が静まる。


「住民の一部が地下都市へ避難」


「保護を求めております!」


私は目を閉じた。

そして、舌打ちした。


「チッ……」


最悪だった。予想はしていた。

だが、現実になると話は別だ。

一村ではなかった。


複数。


しかも保護を求めて逃げて来ている。

つまり偶発ではない。組織的。

私は即座に答える。


「返電」


「はっ!」


通信兵が身構える。


「保護を継続」


「避難民から詳細聴取」


「徴発隊の人数」


「所属」


「移動方向」


「全部調べて」


「了解!」


通信兵が走る。私は地図を見る。

そして確信した。

もう防衛だけでは駄目だ。


相手が何者であれ。


好き勝手に動かせる状況そのものを壊さなけれ

ばならない。


私は振り返る。


集まっていた指揮官達を見る。

全員の視線が集まる。


「方針変更」


部屋が静まる。


「各部隊へ伝達」


誰も口を挟まない。


「この終着駅を基点として行動開始」


地図を指差す。

領都。その場所へ。


「ここの部隊を使用!領都へ進出!」


空気が変わった。


「行政区画を制圧」


「通信施設を確保」


「倉庫を確保」


「抵抗勢力は武装解除」


指揮官達の表情が引き締まる。

私は続ける。


「私の直営隊は別行動」


全員がこちらを見る。


「領主館へ向かう」


沈黙。数秒。

そして副官が確認する。


「領都郊外まで進出後、突入準備で宜しいですか?」


「そう」


私は頷く。


「まずは様子を確認!無駄な流血は避ける」


そこだけは譲らない。

今までと同じだ。守る為に動く。

壊す為ではない。


その時、いつの間にかついてきた、監督官が静かに聞いた。


「本気だな」


私は苦笑した。


「今さら?」


監督官も苦笑する。


「違いない」


その時、外からエンジン音が響く。


ブォォォォォ……


ロイドが動き出す。

続いてくろがね。兵士達が乗り込んでいく。

終着駅全体が動き始めていた。


私は想像する。


避難してきた村人達。

武器を受け取る村兵達。

慌ただしく走る伝令。


もう後戻りは出来ない。


「出発準備」


私は静かに命じる。


「領都郊外まで移動」


「はっ!!」


部屋中に返答が響く。


その日。


地下都市軍は初めて大規模な機動を開始した。

それは防衛の為の行動だった。

しかし同時に、領都の支配権を巡る戦いの始まりでもあったのである。

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