表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
330/361

見えない徴発

「緊急通信です!」


執務室の扉が勢い良く開いた。

私は立ち上がる。

通信士の表情だけで良くない話だと解る。


「報告」


「最北端の村にて王国軍徴発隊と接触!」


部屋の空気が変わる。


「護衛隊が発砲!徴発隊を制圧しました」


私は黙った。

文官達も息を呑む。

だが私が考えていたのは別だった。


「……場所は?」


通信士が地図を指差す。

私は目を細めた。

地下都市から最も遠い小さな農村。


「何でそこに居るの?」


誰に向けた言葉でもなかった。

通信士達も答えられない。

私は地図を見続ける。

護衛隊が発砲した事ではない。

徴発隊が居た事だ。そこがおかしい。


「領都から連絡は?」


「ありません」


即答だった。

私は腕を組む。


おかしい。徴発を行うなら普通は通達が来る。

少なくとも監督官には、それが無い。


「……」


嫌な予感がした。

もし本当に連絡していないなら?

あるいは領都ですら把握していないなら?

私は地図へ視線を落とす。


小さな村。


街道から外れた集落。

人目につかない場所。


「まさか」


私は小さく呟く。

文官達がこちらを見る。


「わざと小さい村を狙ってる?」


誰も答えないが可能性はある。

大きな町なら騒ぎになる。


役人も居る。商人も居る。目撃者も多い。

だが小さな村なら。

多少無理をしても表に出にくい。


「最悪ね」


私は息を吐く。


もし予想が当たっているなら。

他の村も危ない。

既に動いている可能性すらある。


私は振り返る。


「鉄道輸送の状況は?」


輸送責任者が即座に答えた。


「はっ!」


書類を開く。


「ロイド武装型十両前後」


「輸送型十三両」


「くろがねハーフ十八台」


「残りは地下都市に待機中であります」


「人員は?」


「先行部隊が既に移動済み」


私は頷く。


十分だ。いや、十分でなければ困る。


その時、監督官が聞いた。


「何をする気だ?」


私は迷わなかった。


「私も行く」


会議室が静まる。

文官達が顔を見合わせる。


「お嬢様?」


「現場で指揮を取る」


即答だった。


「待機中の車両は順次鉄道終着駅へ」


「各村への警戒連絡も!徴発隊を発見した場合は即時報告」


文官達が慌ただしく動き始める。

その時、監督官が立ち上がった。


「危険だぞ」


私は苦笑する。


「知ってる」


本当によく知っている。

今は執務室に居る場合じゃない。

私は窓の外を見る。

広場では既にロイドが動き始めていた。


エンジン音が響く。


兵士達が乗り込んでいく。

準備は整っている。

だからこそ。行かなければならない。


「出発準備を」


私は静かに命じる。


「終着駅へ向かいます」


「はっ!」


部屋中に返事が響く。


その日。


地下都市の自らが前線へ向かう事になった。

そして誰もまだ知らない。

徴発隊の出現が単なる徴発ではなく。更に大きな問題の始まりであった事を。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ