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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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開かれる武器庫

「出発準備完了しました!」


朝、地下都市の中央倉庫前。

私は整列した荷馬車隊、くろがねハーフ型を見ていた。

非常に長い。

その荷台には木箱が積まれている。

外から見れば。農具。工具。生活物資。


そんな風にしか見えない。

だが中身は違う。


「最終確認」


整備責任者が書類を読み上げる。


「第一村、第二村、第三村、第四村」


次々と名前が呼ばれる。

その全てに、武器、弾薬、通信機材、応急医療品。必要最低限の装備が振り分けられていた。


私は地図を見る。


今まで訓練だけだった。

避難訓練。警備訓練。通信訓練。


だが、今日から違う。実際に装備が入る。


「お嬢様」


通信文官が近付いて来る。


「各村への通知も完了しております」


「反応は?」


私は聞く。

文官は少し苦笑した。


「半信半疑です」


「でしょうね」


私も苦笑する。


突然、武器を送る。普通なら信じない。

その時、荷馬車隊が動き始めた。

ゴトゴトと音を立てながら各方面へ散っていく。


私はそれを見送る。


そして――数時間後。


第一村。


「国境から荷馬車だ!」


村人達が集まる。珍しい事ではない。

だが、今日は荷台の数が違う。

村長も出て来た。


「何事ですかな?」


輸送責任者は書類を差し出す。


「お嬢様より命令です」


「ほう」


村長は受け取る。読み進める。

そして、固まった。


「……武器?」


周囲の村人達も顔を見合わせる。

輸送責任者は頷く。


「はい」


「正式配備です」


村長はもう一度書類を見る。

何度も見る。やがて、木箱を指差した。


「まさか」


「そのまさかです」


蓋が開かれる。

中には、丁寧に整備された武器。

予備部品。弾薬。村人達がざわめく。


「本当に来た……」


誰かが呟く。

その時ら輸送責任者は次の書類を渡した。


「こちらも」


「?」


村長は目を通す。


そこには、集結地点。通信手順。避難経路。

そして再集結命令。

全てが書かれていた。


「……」


村長は黙る。


今まで、訓練だと思っていた。

避難訓練。警備訓練。通信訓練の全部。

本番を想定した物だった。

今になって理解する。


その時、若い村人が聞いた。


「戦争になるんですか?」


静かな質問だった。誰も答えない。

輸送責任者も。村長も。答えられない。


その代わり、輸送責任者は静かに言った。


「解りません」


正直な答え。


「ですが」


一拍。


「備えろという命令です」


村人達は黙る。

そして、村長が頷いた。


「解った」


短い返事。だが重い。

その日。

地下都市だけではなく、領内各地の村で同じ光景が繰り返されていた。

閉ざされていた武器庫が開く。

配られる装備。確認される通信手順。

再確認される避難経路。


それは、誰も望まない未来への準備。

しかしもしもの時に生き残る為の準備でもあった。


そして領内の人々は、少しずつ理解し始めていた。今まで続けてきた訓練が決して訓練だけではなかったのだと。

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