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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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二人の答え

会議室。先程までの空気とは違う。

全員が理解している。

もう準備だけでは終わらない。

実際に動く段階へ入ったのだと。

私は机の上の地図を広げた。


「私の方も指示を出しますか」


誰も反対しないから、そのまま続ける。


「現在備蓄している武器及び弾薬を各村へ配備」


文官達が一斉に書き始める。


「配備後は各村単位で防衛体制へ移行」


「その後」


私は地図を指差した。


「位置に応じて地下都市、もしくは鉄道終点村へ再集結」


整備責任者が頷く。


「集結地点は二箇所ですね」


「そう」


一箇所では危険。分散。そして再集結。

今まで訓練してきた内容そのままだ。

その時、通信責任者が聞く。


「他には?」


私は即答した。


「ゆきちゃん側へ支援要請」


「武器」


「弾薬」


「L6」


「可能な範囲で供与依頼」


会議室が静まる。


その時、一人の文官が恐る恐る手を挙げた。


「お嬢様」


「何?」


「向こうは魔物対応中では?」


私は止まる。確かにそうだ。

今の名目は、魔物討伐のはず。


「……」


会議室も静かになる。

その時、私は気付いた。


「あ」


皆がこちらを見る。


「どうされました?」


私は額を押さえた。


「そうか。まだ知らないか」


「?」


文官達が首を傾げる。

私は少し考える。

話すべきか?伏せるべきか?


どちらもある。


だが結局、隠しても意味は無い。


「ここは素直に話しておくか」


会議室が静まり返る。

私は全員を見る。


「ゆきちゃん側も」


一拍。


「自国中央へ反旗を翻したわ」


完全な沈黙。数秒。誰も動かない。


「……え?」


最初に声を出したのは若い文官だった。


「は?」


「反旗?」


「反乱ですか?」


「クーデター?」


様々な声が上がる。

私は手を上げて静める。


「勿論」


全員が止まる。


「向こうと事前打ち合わせはしていない」


これは事実、本当に!


「同時にやろうとも言っていない」


私はゆきの手紙を思い出す。

あの馬鹿。


「でも」


私は静かに言う。


「向こうも答えを出した」


会議室が静かになる。

監督官も黙って聞いている。

私は続けた。


「私達も答えを出した。それだけよ」


その時、整備責任者が呟く。


「つまり……偶然」


私は頷く。


「同じ結論へ辿り着いた」


通信責任者が頭を抱える。


「とんでもない偶然ですね」


「本当にね」


思わず苦笑する。

笑うしかない。


その時、監督官が小さく言った。


「偶然ではないだろう」


皆が監督官を見る。監督官は腕を組む。


「同じ物を見た」


「同じ脅威を見た」


「同じ未来を見た」


そして、静かに言う。


「だから同じ結論になった」


会議室は静かだった。

誰も反論しないし、出来ない。

その通りだから。


私は立ち上がる。


窓の外を見る。

市場。工場。学校。人々。守りたい物が全部そこにある。


「通信を送って」


「はっ」


「こちらも状況変化あり、今後の協力体制について協議希望」


通信士が走り出す。

私は小さく息を吐いた。

気付けば、私達は同じ場所へ立っている。


国は違う。立場も違う。

それでも選んだ答えは同じだった。


その日。


地下都市では――全村への武装配備と再集結計画が正式に始動した。


そして同時に。


二人の若き責任者が、それぞれの国へ向けて示した答えが、少しずつ周囲へ知られ始めていたのである。

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