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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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静かな領都

「支援依頼の車両及び物資をお持ちしました!」


ヴァイスベルク領、トンネル前。

長い車列が到着する。

先頭の輸送責任者が書類を差し出した。

担当らしき男が慌ただしく受け取る。


「ありがとうございます!」


その声にも余裕が無い。


「申し訳ありませんが、駅までの輸送をお願い致します!」


「はい。解りました」


輸送責任者は頷く。


「それと輸送品の一覧書類であります!」


「お預かり致します!」


書類はすぐに別の職員へ渡される。

そのまま走って行った。

非常に、忙しそうだ。


だがどこか違和感がある。


「おい」


荷台から周囲を見ていた整備員が呟く。


「ん?」


隣の男が振り向く。


「何か様子がおかしくないか?」


「そうか?何が違うんだ?」


整備員は周囲を見る。


広い駅前。荷物、職員、兵士、馬車。

確かに人は居る。居るのだが……


「人があまり居なくないか?」


「……?」


隣の男も周囲を見る。

そして首を傾げる。


「いやー。俺はこっち来るの初めてだからよ」


「お前は来た事あるのか?」


「いや」


整備員も首を振る。


「無いが」


少し考える。

そして言った。


「噂で聞いてるより……かな」


「何だよそれ」


隣の男が笑う。


「噂は噂だ」


「そうなんだけどな」


整備員は再び周囲を見る。

もっと活気があると思っていた。


市場。商人。旅人。職人。


そういう人間がもっと居ると思っていた。

だが何となく少ない。

駅前なのに妙に……


その時、兵士達が大量の木箱を運んで行く。

駅構内へ、急ぐ様に次々と。


「忙しそうだな」


「魔物討伐だろ?」


「そうだな」


二人とも深く考えない。

現場の人間だ。命令された物を届ける。

それが仕事。


その時、輸送責任者の元へ職員が駆け寄る。


「追加でお願いがあります!」


「何でしょう?」


「燃料はこちらです!」


「武装品はこちらへ!」


「予備部品は第三倉庫へお願いします!」


次々と指示が飛ぶ。


しかも迷いが無い。

まるで、事前に決まっていた様に。

その光景を見ながら整備員が呟く。


「準備良すぎないか?」


「ん?」


「いや」


首を振る。


「何でもない」


だが胸の奥に小さな違和感が残る。

魔物討伐。そのはずだ。そう聞いている。

なのに、どこか空気が違う。


駅員達。兵士達。職員達。全員。

張り詰めている。

まるで何かが迫っている様に。


その時、遠くから汽笛が響いた。


ポォォォォ――


列車が駅へ入って来る。


そして、大量の兵士が乗って行った。

整然と無言で、その光景を見て、整備員は思わず呟いた。


「……本当に魔物だけか?」


隣の男も今度だけは笑わなかった。


その日。


ヴァイスベルク領では――

地下都市から届いた大量の支援物資が、休む間もなく各地へ振り分けられていた。

そしてその領都には、噂だけでは説明出来ない、妙な緊張感が漂い始めていたのである。

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