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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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眠っていた車列

「おーい! こっちのロイドにも積み込めるから載せておけ!」


「わかった!」


整備区画は、朝から騒がしい。

いや、最近の中では異常なほど騒がしい。


「くろがねには燃料タンク積み込んだぞ!」


「燃料補充急げー!」


「了解!」


大型倉庫の扉が次々と開いていく。

今まで監督官の目を気にして隠していた車両達。その姿が久しぶりに日の下へ出てきた。


黒い車体。大型荷台。重厚な装甲。


整備員達が慌ただしく動き回る。


「整備終わったか!?」


「もう少しだ!」


「急げ急げ!」


「任せとけ!」


工具の音、エンジンの始動音、人の声。

整備区画全体が活気に満ちていた。


その時、若い整備員が隣へ聞いた。


「しかしどうしたんだ?」


「ん?」


「こんなに一気に出すなんて初めてじゃね?」


確かに普段なら数台。

今回は違う。何十台も動いている。


その時、ベテラン整備員が答えた。


「どうもお隣で魔物が大量発生したらしい」


「マジか」


「それ用みたいだぞ」


若い整備員は積み込み中の車列を見る。


ロイド。L6。くろがね。


燃料タンク。予備部品。弾薬箱。工具。

ありとあらゆる物が積み込まれている。


「かなりの魔物が出てるんだな」


「そうみたいだな」


ベテランも頷く。


「これだけ運べば問題無く蹴散らせるべ」


「だなー!」


周囲から笑い声。

誰も深く考えていない。


魔物討伐。


そう聞いているからだ。

その時、大型倉庫の奥。


長い間眠っていたL6がゆっくりと動き出した。


ゴゴゴゴ……


整備員達が道を空ける。


「おー!」


「久しぶりだな!」


「動いた動いた!」


歓声まで上がる。

監視の目。政治。報告書。

そんな物は現場には関係ない。

彼らにとっては使える物を使う。

それだけだった。


その頃――


行政区画、私は窓から車列を見ていた。


一台。二台。三台。


次々と出ていく。その規模は予想以上。


「……」


整備文官が横に立つ。


「ほぼ要請通りです」


「そう」


私は小さく頷く。


「燃料も?」


「積み込み中です」


「整備員は?」


「希望者を選抜しました」


順調、順調。だからこそ少しだけ不安になる。

その時、通信文官が聞く。


「本当に魔物だけでしょうか」


「……」


私は答えなかった。

解らない。


でも一つだけ確かな事がある。

ゆきちゃんは、必要だから求めた。

それだけは間違いない。


その時、遠くでエンジン音が響く。


ブォォォォ……


車列が動き出す。

先頭にはロイド。その後ろにくろがね。

更にL6隊。長い長い輸送列。

私はその姿を見送りながら呟いた。


「無事でいてよ」


誰にも聞こえない声。

でも本音だった。


その日。


地下都市では――


長らく隠されていた車両達が次々と引っ張り出され、大規模輸送隊が編成されていた。


表向きは魔物討伐支援。


しかしその規模は明らかに異常だった。

そしてその車列は、地下都市からヴァイスベルクへ向けて静かに走り始めたのである。

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