最初の候補生達
「――集まりました」
地下都市の会議室の朝。
通信文官は、少し疲れた顔。
資料を差し出す。
「指揮官候補生、第一期です」
「おー」
私は興味深そうに資料を見る。
思ったより多い。
「全部で二十七名」
「へぇ」
予想以上。避難訓練。通信訓練。
始めたばかりなのに結構集まった。
「どんな人達?」
「様々です」
苦笑。
「元狩人、元警備隊員、元傭兵、村長の息子、元経済奴隷、商人見習い」
「……」
私は思わず笑う。凄い寄せ集め感たっぷり。完全に。
その時、訓練場。候補生達。
既に集まっていた。
年齢もバラバラ。十代後半、二十代、三十代、中には四十代もいる。
「本当にここで教えるのか?」
「知らん」
「避難訓練の指導役らしいぞ」
ざわざわ。
統一感は、無い。
その時、私は前へ出る。
「はい。静かにー」
一応、止まる。皆、見る。
「まず言っとく」
私は周囲を見回す。
「皆を軍人にする気は無い」
「……?」
少し意外そう。当然そう思う。
この時代、訓練。武器。となれば、軍。
連想するがでも違う。
「必要なのは指揮官、避難、通信、治安維持、災害対応、その辺をまとめる人」
空気が少し変わる。
その時、元傭兵らしき男、手を上げる。
「つまり村長補佐みたいなもんか?」
「近いわね」
私は頷く。
「村が混乱した時に動ける人、それが理想」
「……」
候補生達は、少し真面目になる。
その時、元狩人、腕組み。
「武器訓練は?」
「やる」
即答。
周囲は、ざわつく。私は続ける。
「ただし優先は指揮、人を動かす方」
「……」
元狩人は、少し納得。
その時、会議室後方。
中央監督官アルヴェルトは、静かに見ていた。
「……」
表情は、変わらない。
でも、副官は少し困惑。
「監督官殿」
「何だ」
「避難訓練指導員ですよね?」
「そう聞いている」
「……」
副官は、候補生達を見る。
元傭兵。元警備隊。通信訓練。地図。指揮。
どう見てもかなり本格的。
「……将校育成に見えるのですが」
「……」
監督官は、少し黙る。
その後、小さく答える。
「私もそう思う」
「――」
「だが」
監督官は、静かに続ける。
「ルール違反はしていない」
「……」
そこが厄介。かなり避難訓練。通信教育。地域指導員は、全部合法。
だから止められない。
その頃――訓練場。候補生達。
地図を広げ始める。
「避難経路確認!」
「集合場所選定!」
「通信班配置!」
まだぎこちない。でも確実に始まった。
今までは設備を作った。
学校。診療所。工場そして今、それを動かす人を育て始めている。
その日。
地下都市では――
第一期指揮官候補生達の教育が始まり、地域を支える新たな人材育成計画が動き出していた。
文明とは、ただ建物を建てる事じゃない。
危機の時に考え。
判断し人々を導く者を育てる事。
その人材こそが――どれほど優れた設備よりも価値ある、文明の礎になっていくのだから。




