表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
295/411

監督官の違和感

「――本日の視察予定です」


中央監督官宿舎。

朝、副官が資料を読む。


「市場区画、学校、配給管理所、診療所」


「……」


監督官アルヴェルト。

静かに聞いている。


「随分、“生活”を見せたがるな」


「はい」


副官は、少し困惑気味。


「普通なら工業や税収を優先する筈ですが」


「……」


そこ、監督官も気付いている。

妙に生活基盤を見せて来る。


数十分後――市場区画。


「いらっしゃいませー!!」


「今日の配給はこちら!!」


人が多いし、かなり活気。

監督官は、少し周囲を見る。


「……」


予想より落ち着いてる?もっと貧困や不満。

そういう空気を想像していた。

でも違う。


その時、子供達が走る。


「パンだー!!」


「こら、走るなー!」


笑い声は、普通にある。


「……」


監督官が少し黙る。


その頃、地下通信管理室では、盗聴継続中。


『……思ったより空気が悪くない』


『はい』


副官は、小声。


『中央直轄地より治安良いかもしれません』


「……」


通信室が静か。

その時、市場商人。

監督官へ普通に話しかける。


「旦那さん達、中央からかい?」


「……そうだ」


「大変だなぁ。遠くから」


「……」


監督官は、少し困惑。

もっと敵意が向けられると思ってた。

でも普通。


その時、配給管理所。

監督官は、帳簿を見る。


「……細かいな」


「世帯人数管理です」


担当文官は、普通に説明。


「子供持ち世帯は少し優遇しています」


「……」


監督官は、ページをめくる。かなり整ってる。

不正形跡は少ない。


「中央より管理出来てるのでは?」


副官は、小さく呟く。


「……」


監督官は、否定しない。

その後――学校区画の子供達は、勉強中。


「では、この文字は?」


「はい!!」


かなり元気。

監督官は、窓越しに見る。


その時、教師は気付く。


「皆、中央のお客様ですよ」


「――!」


子供達は、一斉に見る。でも怯えない。

その時、小さい男の子は普通に言う。


「こんにちはー!!」


「……」


監督官は、少し止まる。

そして小さく手を上げる。


「……ああ」


空気が静か。

その頃、盗聴室には、副官の声が入る。


『……本当に“危険地域”なんでしょうか』


「……」


通信室は、完全に静か。

監督官は、少し長く黙った後。

低く言う。


『危険だ』


『――』


『中央にとってはな』


「……」


空気が変わる。

その時、監督官が学校を見る。

笑う子供達。整った町。配給。治療所。市場。

全部、普通に機能している。


『……これで住民支持が高い理由は理解した』


「……」


地下通信室は、誰も喋らない。

完全に中央監督官は、理解し始めてる。

この町は、ただの地方じゃない。


「人がちゃんと生きてる」


そこの強さ。


その頃――夕暮れ。


監督官宿舎に、アルヴェルトが一人。

窓から町を見る。遠くの物見櫓。貨物列車。

市場灯り。静かな生活。


そして壁一枚向こう。その呟きもまた。

地下都市側へ届いていた。


『……本当に、敵にするべき相手なのか』


風が吹く。静かでも。

中央側の認識は少しずつ、確実に揺らぎ始めていた。


その日。


地下都市では――


中央監督官が、“中央の説明とは違う現実”を少しずつ目にし始めていた。

文明とは、ただ強い武器を持つ事じゃない。


人々が笑い。安心して暮らし。

その土地を支持している事。


その積み重ねこそが――どんな武力よりも強い、国の力になっていくのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ