実りの収穫祭
「――まき様」
第一農業区画。
朝の風。揺れる黄金色。
「……」
私は広がる水田を見る。
凄い本当に。最初は、ただの荒地だった。
でも今見渡す限り。
「田んぼ」
「どう見ても刈り取り時期ですね」
農業文官は少し嬉しそう。
「……よねぇ」
素人の私でも解る。
完全に収穫直前しかもかなり広い。
拡張しまくった結果。
「一大農地」
になってる。
「収穫量予測は?」
「非常に良好です!!」
「害獣被害も想定以下!!」
「……」
私は少し笑う。
農地警備隊は頑張った。
水路の警備、排水、全部。意味あった。
「何か」
私は黄金色の田園を見る。
「最近、重苦しかったし」
北国境の小競り合い。配給、地下工業、検問。
皆、少し疲れてる。
「……」
だから私は静かに言う。
「収穫祭、やりますか」
「――!」
周囲は少し明るくなる。
「収穫祭ですか!?」
「そう」
重要。本来もっと盛大にやりたかった。
でも今の状況は微妙。
「北の話、まだ何も変化無いけど」
「……」
皆、少し黙る。解ってる。今の平和は微妙。
でも。
「だからこそ」
私は続ける。
「この日くらい、息抜き必要」
「……はい!!」
農業文官のかなり嬉しそう。
その頃――第一農業区画。
収穫準備が始まっていた。
「鎌準備!!」
「乾燥棚確認!!」
「運搬用くろがね回せ!!」
「刈り取り用のL6も発動機動かせ!」
「了解!!」
かなり賑やか。以前、静かな開拓地だった場所。
でも今、完全に実りの町。
その時、子供達は走ってる。
「お祭りだー!!」
「お米いっぱい採れるの!?」
「屋台出るって!!」
「……」
私は少し笑う。良いかなり。
その時、お母様は後方から黄金色の田園を見る。
「本当に、ここまで来たわね」
「うん」
最初は水が欲しかった。
そこから水路、農地、警備、学校、診療所、地下工業。色々あった。でも今ちゃんと。
「実った」
そこが大きい。
その頃、市場では――配給切符、検問。
そんな空気の中でも少しだけ笑顔が戻り始めていた。
「収穫祭なら酒出るかな」
「米料理増えるらしいぞ」
「子供達喜ぶなぁ」
重苦しい空気は完全には消えない。
でも人は、ずっと張り詰めたままじゃ壊れる。
だから。
「息抜き」
が必要。
その日。
地下都市周辺では――
広大な水田地帯の初本格収穫を祝う、小さな収穫祭の準備が始まっていた。
文明とは、ただ備え続ける事じゃない。
積み上げた成果を祝い。人々が笑い。
“生きていて良かった”と思える時間を持つ事。
そんな日々があるからこそ――人は、苦しい時代でも前を向いて歩いていけるのだから。




