人を治す場所
「――まき様」
第一農業区画の朝。
最近、本当に人が増えた。
家に市場。学校と屋台。水路沿い普通に。
“町”
「何?」
若手文官は、少し困った顔。
「……怪我人報告です」
「ん?」
「農作業中、足を痛めた者があと、子供の発熱」
「……」
私は少し止まる。
「……あー」
来た。
人、増える。
↓
仕事増える。
↓
怪我増える。
↓
病気も増える。
当然。
「今までは?」
「軽症は各自対応、重症は地下都市側へ搬送」
「……」
遠い。
第一農業区画に、広がってる。
つまり。
「間に合わない時もある」
「はい」
その時、外で子供が咳してる。
母親は、背中擦ってる。
「……」
私は少し考える。
学校は、作ったでも。
「生き続ける場所」
作らないと意味無い。
「文官さん」
「はい!!」
「診療所、作る」
「――!」
周囲。
少しざわつく。
「医療施設ですか」
「そう」
必要。
「怪我対応、発熱管理、消毒、出産補助、衛生教育」
「了解!!」
その時、衛生文官は少し興奮。
「手洗い文化も活用出来ます!」
「うん」
最近、手洗い。排水もかなり定着してきた。
つまり。
「病気減らす下地」
出来始めてる。
「あと」
私は少し考える。
「井戸水管理、飲料水区分、下水距離確保」
「――!」
文官達は、高速記録。
「完全に衛生都市ですね……」
「そうね」
病気は結局、水と関係深い。
なら、水路文明。
次。
「医療文明」
へ進める。
数日後――第一農業区画。
仮設診療所予定地、元資材倉庫、改装中。
「ここ、病院になるの?」
子供達は、興味津々。
「診療所」
「しんりょうじょ?」
「怪我した人治す所よ」
「おぉー!」
「……」
私は少し笑う。
まだ小さい。でも重要。
内部には、簡易ベッド。
消毒用煮沸設備、水桶、清潔布保管棚。
“医療施設”。
「まき様」
衛生文官は、資料確認。
「石鹸配備も進めますか?」
「進める」
重要。
「洗う」
だけで変わる。本当に変わる。
その時、年配女性は、少し不安そう。
「……熱出た時、すぐ診てもらえるんですか?」
「うん」
私は普通に頷く。
「その為に作ってる」
「……」
女性は、少し安心した顔。良いかなり。
今まで怪我、病気。つまり運に、近かった。
でも今、少しずつ違う。
「治す場所」
出来始めてる。
その頃、学校予定地は、子供達は走ってる。
診療所、建設班、警備隊、市場と全部。
同時に動いてる。
つまり町そのものが育ってる。
「まき」
お母様は、静かに言う。
「最初は、生き残れるかだったのにね」
「うん」
私は周囲を見る。
水路、田園、集落、子供、診療所。
ここは、もうただの開拓地じゃない。
「人が、生き続ける場所」
になり始めていた。
その日。
地下都市周辺では――
増え続ける定住人口を支える為、初の地域診療所建設が始まっていた。
文明とは、ただ豊かになる事じゃない。
怪我を治し。病を減らし。
安心して子供を育てられる。
そんな“生き続けられる環境”を作れてこそ――人は、本当の意味で土地へ根を下ろしていくのだから。




