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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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完成してしまった

工作機械は、完成した。


旋盤代わりの回転軸。

簡易ボール盤機構。

金属固定治具。

動力は魔石補助。


部品ごとに鍛冶屋へ依頼し、形状は伏せたまま製作してもらった。


「またお嬢様が何か作られるのですな」


笑いながら、快く引き受けてくれた。

その言葉が、胸に刺さる。


信頼。

期待。


それを、私は利用していて、騙している訳ではない。でも真実も言っていない。


モヤモヤする自分が居る。


私は視線を逸らし、完成した機械へ向き直った。


金属片を固定する。

ゆっくりと回転。

削る。

削りすぎない様に寸法を確認しながら。

不慣れな手付き。


分析が補助してくれる。


誤差。強度。応力。


数日間、朝から夜まで工房の奥で、私は金属と向き合った。


そして――


各部品が揃った。


スライド。フレーム。撃針。

バネ。トリガー。


私は深呼吸をし、組立を開始する。

一つずつ、確かめながら。


部品が噛み合う。

最後に、撃針を収める。

金属音。


静かな完成。

机の上に置かれたそれを、私は見つめた。


九四式拳銃。


形は確かに“それ”だ。


私は分析をかける。


対象:拳銃。


分析。


構造正常。

強度許容範囲内。

暴発確率:低。

有効射程:短。


問題無い。


変な言い方になるけど――

完成してしまった。


胸の奥が、冷える。


ここまでは理屈で、まだ撃っていない。

ただの金属塊だが引き金を引けば、世界は変わる。


後は試射。


私は表向き、“魔物避け花火”を開発していると話している。


音は問題無い。


その前段階として、癇癪玉を何度も鳴らしているからだ。

爆音への警戒は薄れている。

計画通り。……計画通り、なのだ。


私は弾丸を装填した。


簡易弾頭。


一発。たった一発。


森の奥の人目の無い場所に的代わりの木板。


私は両手で構えた。

重さ。冷たさ。指が、震える。


これを撃つ。


魔物の為?領地の為?

それとも私の好奇心の為?


静寂。森の風。


私は引き金に指をかけた。


――カチ。


そして轟音。衝撃。


腕が跳ね耳鳴り。


木板に穴。煙が漂う。

私は、しばらく動けなかった。


成功。威力は、ある。

子供の身体では反動は強い。

命中精度は安定しない。


扱いは難しい、万能ではない。

しかし当たれば確実に、殺せる。


私は拳銃を見下ろした。

完成してしまった。


一線は、越えられた。


後戻りは――出来るのか?

森の奥で、煙がゆっくりと消えていった。

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