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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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鳴り響く鐘

生産開始は、順調だった。

工房は稼働し、職人達は手際よく部品を組み上げていく。


簡易型は既に数十台。

室内型も試験販売が始まり、反応は上々。

商人は笑いが止まらない様子だ。


「これは当たりますぞ」


当然よ!便利な物は必ず売れる。

光は、誰にでも必要だ。

私は工房の隅で腕を組み、満足げに頷いた。


これで一安心。……と言いたいところだが。


魔力充電器の増設。

水車型発電機の拡張。

巡回商人の管理。

品質管理。

材料調達。


挙げればきりがない。


「お嬢様、こちらの流量が不安定で」


「導線の固定が甘いわ。ここを補強して」


公爵家の娘が現場で指揮。……何か違う。

私の計画では、今頃は贅沢三昧の優雅生活のはずだったのに。


優雅どころか、工房監督。

油と木屑に囲まれている。

贅沢三昧計画は、まだまだ先の様ね……。


その時、遠くで金属音の様な音が響いた。


カン、カン、カン――


私は顔を上げる。


「……?」


風に乗って、微かに聞こえる。

鐘の音?気のせいか?


いや。また鳴った。今度は、はっきりと。

工房内の空気が、一瞬で変わる。


職人の手が止まる。

護衛が、顔を強張らせた。


「お嬢様!」


次の瞬間、建物の外から緊迫した声が飛び込んできた。


「直ちに建物の中へ!」


「一体何!?」


護衛が私の腕を掴む。


「魔物の群れが近くに出た様です!」


群れ?


「冒険者が対応しておりますが、念の為!」


外が騒がしく遠くで、叫び声。

馬の嘶き。私は思わず外へ視線を向ける。


見たい。直接、見てみたい。


魔物。この世界の脅威。

分析したいし構造を知りたい。


護衛の力が強まる。


「危険です!」


……分かってる。流石に無理よね。

私は小さく頷いた。


「分かったわ。一先ず避難」


工房の奥へ移動する。

石壁の内側。

窓は閉じられ、扉が固く閉ざされる。

外では、剣のぶつかる音が響いている。


金属音。叫び。

そして、低く唸る様な獣の声。


胸が、高鳴る。恐怖か。好奇心か。両方だ。

文官が蒼白な顔で呟く。


「ここまで近いとは……」


私は、拳を握った。


これが現実。魔物は、遠い存在ではない。

産業も、経済も。

この脅威の上に成り立っている。


やがて鐘の音が止み外の騒ぎも、徐々に収まっていく。

しばらくして、護衛が報告を受けた。


「……撃退された様です」


安堵の息が漏れる。


私の胸の奥では、別の感情が芽生えていた。


魔物の群れに、そして討伐。

その現場を、私はまだ知らない。


いずれ。知る必要がある。

内政も産業もこの脅威を理解しなければ、片手落ちだ。


私は静かに窓の外を見た。

遠くに、煙が上がっている。


戦いの痕跡。光の産業は始まった。

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