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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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回る収益

いよいよ――


生産開始。


改装された工房の中では、木を削る音と金具を打つ音が響いている。


最初に作るのは、比較的簡単な実用品型。

筒状の簡易懐中電灯で構造は単純。


魔石装填部。導線。放出レンズ。スイッチ。

装飾は最低限。


その代わり、価格は抑える。


まずは“普及”市場を取る。

その後に室内用ランプ型。


台座付きの安定した光量。

夜間の作業や読書向け。


そして――次は貴族向け豪華型。

銀装飾。宝石風装飾枠。光量調整機構付き。


同じ原理でも、見せ方で価格は跳ね上がる。

用途別で階層別の価格帯別。

私は設計図を並べながら頷いた。


商品は一つではない。


“光”というカテゴリで展開する。


商人達の動きも早い。充電済み魔石を大量に確保し、木箱に詰める。


そして町中を巡回するらしい。

空の魔石を預かり代金を受け取り。

充電済み魔石を渡す。


単純だが、強い。消耗品ビジネス。

本体を売って終わりではない。


魔石が尽きれば、再充電。

定期的な収益。永久的に回る仕組み。


もちろん、充電代は高くないし高くしては普及しない。油ランプの油よりも少し安い位で油屋から反発も有るかもしれないが。


量が出れば、それなりになる。

私は机に置いた収支計算表を見る。


本体価格。材料費。人件費。輸送費。


一般向けは、ほぼ原価で場合によっては、わずかに赤字。


問題ない。利益は充電で回収する。

むしろ、安く普及させた方が良い。

市場を独占すれば、後から価格調整も可能。


「ある所から金を引っ張れば良い」


私は小さく呟いた。


富裕層向け。貴族向け。豪華型で大きく稼ぐ。一般向けはギリギリでまず生活に浸透させる。光は贅沢品から必需品へ。


一度慣れたら、戻れない。


夜が明るい生活。安全な街道。

灯りのある倉庫。


警備。

夜間作業。

需要は増える。

商人は言った。


「巡回充電屋は町の名物になりますな」


私は頷いた。


「魔石を抱えて歩く商人が増えるわ」


流通が整えば、魔石の価値は安定する。

冒険者も討伐効率を考える。

討伐量が増えれば、素材市場も活性化する。


全てが、繋がる。


工房の外では、試験販売が始まっていた。

初めて光を手にした少年が歓声を上げる。

商人が笑い、職人が誇らしげに腕を組む。


小さな光。


経済は回り始めた。


「お嬢様」


文官が静かに言う。


「想定以上の反応です」


私は微笑んだ。当然よ。人は便利さに抗えない。倒しても油が溢れるわけもなく火災にもならない。


光は正義。


そして仕組みで稼ぎ単発の発明ではない。


継続収益。

循環構造。


私は遠くを見た。光が町に広がる。

魔石が回り金が回る。


この仕組みは、まだ始まったばかりだ。

止まらない。

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