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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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音の装置

「……よし」


私は設計図から顔を上げた。


盗聴機。

そして録音装置。

どちらも設計は完了した。

私は軽く背伸びをする。


「盗聴機は……まあ問題なしね」


小型化も可能。

隠すのも難しくない。

問題はもう一つ。


「録音装置」


私は机に広げた図面を見る。


「……やっぱりこれか」


レコード盤。

円盤型の記録媒体。

音を溝として刻む方式。

この世界の技術でも再現可能。


私は少し顔をしかめた。


「不便ね」


扱いづらいしサイズも大きいし連続録音も難しい。

理想はテープ。

私は別の設計図に目をやる。


「テープ方式……」


設計自体は出来る。

必要な技術。素材。精度。

全てが足りない。

私は小さく息を吐いた。


「ロードマップが長すぎる」


今すぐは無理。

実用までの道が遠い。

私はペンで図面を軽く叩く。


「なら現実的な方で行く」


レコード方式。これで十分。

まずは使えるものを私は決めた。

私はそこで少し考える。


「……問題は目立つ事ね」


録音装置。盗聴機。


あからさまに作れば怪しまれる。

私は椅子にもたれながら、天井を見る。


「どうするか……」


そして、ふと思いつく。


「……ああ」


私は小さく笑った。


「ついでに作ればいい」


私は新しい紙を引き寄せる。

ペンを走らせる。


「スピーカー」


音を出す装置。


そして。


「関連設備」


増幅。制御。

私はさらに書き加える。


「町内放送」


文官が横で驚いた顔をする。


「放送……ですか?」


私は頷いた。


「そう全体に音を届ける」


掲示板だけでは遅い。

見に来なければ伝わらない。

だが音なら――全員に届く。


私は少し笑った。


「便利でしょ?」


文官は頷く。


「確かに……」


私は続ける。


「これなら自然でしょ?」


録音装置も。

スピーカーも。

全て「公共設備」として成立する。

文官が少し考えた顔をする。


「つまり……」


私は軽く言った。


「ついでよ」


その“ついで”が何の為かは言わない。

私は設計図をまとめながら呟いた。


「便利な物は理由がある方がいい」


表向きは――ここの発展。

その裏では、私は小さく笑った。


「ちゃんと使わせてもらうわよ」

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