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転生エンジニア、隣国の友人と産業革命を始めます  作者:


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合言葉

とうもろこし畑の開墾は、予定通り完了した。

私は広がる畑を見ながら、満足げに頷く。


「……よし」


ここからは次の段階。


「責任者は」


文官が答える。


「農家経験者の中から選出済みです」


私は頷いた。


「いい判断ね」


流石に農作業は専門外だ。

私は肩をすくめる。


「私じゃ無理よ」


知識はあっても、実務は別。


「適材適所ってやつね」


文官も同意する。


「はい」


これで農業は任せられる。

私は一息ついた。


その時。


「お嬢様!」


文官が少し慌てて入ってくる。


「何?」


「商人が来ております」


私は少し顔をしかめた。


「また?」


ここ最近、増えてきた。開拓が進み。

工業が回り始め人が増える。


そうなると――商人が寄ってくる。


私はため息をつく。


「どうせまた高値で売りつける系でしょ」


文官が苦笑する。


「その可能性は……」


私は手を振った。


「大半そうだったじゃない」


これまで来た商人の多くは、ぼったくり。

こちらも黙ってはいない。

しっかり値切り、場合によっては追い返した。


その結果は、変な商人は減った。

私は腕を組む。


「で?今回は?」


文官は少し困った顔をした。


「それが……変わった感じの方でして」


私は眉を上げる。


「変わった?」


文官も言葉を選ぶように言う。


「少々……普通ではないと申しますか」


私はため息をついた。


「面倒ね」


そして即答する。


「後回し」


文官は一瞬だけ間を置いたが、すぐに頷いた。


「……承知しました」


その日はそれで終わった。


――そして次の日。


「お嬢様」


また文官が来る。

私は書類から顔を上げた。


「昨日の商人が是非にと」


私は呆れたように笑った。


「諦め悪いわね」


普通なら一度断られた時点で引く。

それでも来るだけで少し異質だ。

私は軽く手を振る。


「まだ後で――」


文官が続けた。


「それと」


私は止まる。


「何?」


「伝言を預かっております」


私は少し興味を持つ。


「伝言?」


文官は紙を見ながら言った。


「“昭和?平成?それとも令和?”と伝えれば必ず会っていただけると」


その瞬間。時間が止まった。


「……は?」


私はゆっくりと顔を上げる。


今の言葉。間違いない。

この世界の言葉ではない。


「……日本」


私は立ち上がる。

心臓が少し早くなる。


「転生者……」


文官が不思議そうにしている。

私は即座に言った。


「会うわ」


文官が姿勢を正す。


「どちらで?」


「執務室」


私は短く答えた。


「すぐに通して」


文官は頷く。


「承知しました」


文官が出て行く。

私は一人、静かに立っていた。


「……来たわね」


ついに“もう一人”がこの開拓地に。

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