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86伝説エーペックス  作者: SAI
吾妻GT編
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532/534

吾妻編第68話 ブルーシャークと跳ね馬のように

大長編86伝説エーペックス ちとせのZ編

大長編86伝説エーペックス 首都高編 制作決定!

86伝説エーペックス新城編

86伝説エーペックス天使編制作中!


PE3 魔法少女ペイジン

氷の魔女クリスタとの死闘が続く!!!!

彼女の過去とは!?そしてペイジンはどうなる!!???

ここから一気に加速へ!!!!!!!!!!

若林「さあ!内藤セリナを先行に許しゴールッ!そして古賀加奈子もゴールインッ!!!その後方!R33 V-SPECのブルーシャークの背後に赤いフェラーリミュージックが迫るううう!!!!」


レモンイエローのR8と深紅のM5が立て続けにコントロールラインを駆け抜けた直後。

最終コーナーの立ち上がりから、地響きのようなエキゾーストノートがサーキットの空気を切り裂いて迫り来る。


ドリュウウウッ!


フォオオオオオオオオンッ!


ディープマリンブルーの美しい輝きを放つ相川美保のR33 GT-R 400R仕様。

そのリヤバンパーを突くように、真紅のボディを夕闇に濡らしたクリスタ・ニールセンのフェラーリ 488 GTSが、V8ツインターボの官能的な高音を轟かせながらスリップストリームへ完全に潜り込んでいた。


クリスタ・ニールセン「美しい海風のブルーシャーク……けれど、このフェラーリのカンツォーネからは逃れられないわ!」


跳ね馬の圧倒的なエアロダイナミクスと高回転域の伸びが、ジリジリとGT-Rの車間を削り取っていく。

バックミラーを真っ赤に染め上げる猛追を睨みつけ、相川美保は潮風を思わせる爽やかな眼差しを一気に鋭く研ぎ澄ませた。


相川美保「速い!でも……アビリティはこっちが上なんだから!!!」


美保の強い意志に呼応するように、400Rの周囲に青く透き通るような巨大な深海のオーラが立ち込める。

RB26DETT改が放つ重低音とともに、蒼きサメが獲物を迎撃するかの如く、四輪のアテーサE-TSが強烈なトルクをアスファルトへと叩きつけた。


真紅のフェラーリ 488 GTSのコクピットで、クリスタ・ニールセンは冷徹な微笑を浮かべた。

ステアリングのマネッティーノを限界域へと切り替え、右足のペダルを床まで踏み抜く。


クリスタ・ニールセン「望み通り、墓標の下に沈めてあげるッ!」


フォオオオオオオオオンッ!


バババババンッ!


3.9リッターV8ツインターボが狂気的な過給音を響かせ、鋭利なアフターファイアを夜空に炸裂させる。

空気の壁を切り裂くフェラーリのノーズが、青い400Rの真横へ凄まじい車速差で並びかけた。


真紅のイタリアン・スーパーカーが放つ圧倒的なプレッシャーが、海を切り裂く刃のように美保の視界を真っ赤に染め上げる。


相川美保「沈むのはそっちよ!ブルーシャーク、振り切ってええええッ!」


ドゴオオオオオッ!


美保はアテーサE-TSのフロント駆動配分を意図的に引き上げ、リアが暴れようとする強烈なトルクを四輪すべてで力強く路面へ叩きつけた。

深海を泳ぐ巨大なサメのように、青い巨躯がしなやかにストレートの中央を塞ぎにかかる。


若林「フェラーリの猛攻をR33が意地でブロック!チェッカー直前の超高速ドッグファイトだあああ!」


火花と風圧が二台の間で爆発的に吹き荒れ、赤と青の閃光がフィニッシュラインへ向けて弾丸のように突撃していく。


若林「サイドバイサイドおおお!跳ね馬がパワーを物言わすかのように前に出てきたああああ!!!!」


ストレートの中央で、真紅の跳ね馬とディープマリンブルーの巨躯が接触寸前まで引き絞られる。


フォオオオオオオオオンッ!


ズババババッ!


フェラーリのV8ツインターボが圧倒的な過給パワーで路面を蹴り立て、488 GTSの鋭利なノーズがじりじりと前に押し出されていく。


相川美保「きゃっ……!すっごい速さ……!でも、私とブルーシャークは絶対に負けないんだからっ!」


潮風を愛する美保は、可愛らしくも凛とした声を上げながら、ステアリングを両手できゅっと握り直した。

愛車であるスカイラインGT-R V-specのメーターを見つめ、大好きな海の強さを信じてアクセルを精一杯に踏み込む。


ドゴオオオオッ!


ギュルルルルッ!


RB26DETTが重厚なエキゾーストを響かせ、アテーサE-TSが四輪のトルクを最適に配分。

跳ね馬の猛烈な伸びに対し、ブルーシャークは粘り強いトラクションで必死に食らいつき、赤と青のボディを並走させたままチェッカーへと雪崩れ込んでいった。


クリスタ・ニールセン「そんなに並びたいのなら思い切りぶつけてあげるわッ!ソラアアアッ!」


クリスタは冷徹に言い放ち、時速二百キロを超える超高速領域でステアリングを左へ一気に切り込んだ。


ドゴオオオオオオンッ!


バキィィィィッ!


火花を激しく散らしながら、真紅のフェラーリのサイドフェンダーが青いR33 V-specの右ドアへ強烈に叩きつけられる。

凄まじい衝撃音がグランドスタンドまで響き渡り、金属が激しく軋む甲高い悲鳴が夜空を切り裂いた。


相川美保「きゃあああっ!?」


シートベルトに強く身体を押し付けられ、美保の長い髪が激しく揺れる。

強烈な横衝撃によって車体がアウト側へ弾き飛ばされそうになるが、美保は涙目になりながらも必死にステアリングを両手で抑え込んだ。


キュルルルルルッ!


ズザザザザッ!


白煙を巻き上げながら、アテーサE-TSが激しく姿勢を乱しかけた車輪に即座にトルクを配分し、スピンの危機をギリギリで踏みとどまる。


若林「うわあああッ!フェラーリがR33にサイドから強烈なアタック!赤と青の車体が激しくぶつかり合っているううう!」


実況の絶叫が響く中、激突の反動で両車が火花をまき散らしながら、チェッカーフラッグの直下へ向けて突進していく。


若林「さあ!スーパーセダンと跳ね馬代表の対決は如何になるのかああああ!!??」


実況席の若林が立ち上がり、身を乗り出してマイクへ絶叫を叩きつける。

グランドスタンドを埋め尽くした観客の視線が、コントロールラインへ向けて火花を散らしながら突進してくる真紅と深青の二台に釘付けとなっていた。


ガギギギギッ!


バチチチチッ!


時速二百数十キロの超高速領域。

フェラーリ 488 GTSの鋭利なボディサイドと、スカイラインGT-R V-specの分厚いドアパネルが激しく押し合い、金属同士が削れる凄まじい摩擦音が夜空を切り裂く。

クリスタはステアリングを力任せに左へと押し込み、V8ツインターボの圧倒的なパワーでR33をアウト側へ押し出そうと試みる。

だが、青い巨躯はまるで荒れ狂う大海原に根を張る岩礁のように微動だにしない。


クリスタ・ニールセン「最速ラインへと食い付けないッ!離しなさいよォ!」


クリスタの冷徹な仮面が剥がれ落ち、苛立ちの籠もった叫びが漏れる。

跳ね馬の持つ圧倒的なトップスピードと空力性能を活かすには、レコードラインのど真ん中を射抜く必要がある。

しかし、その理想的なラインを相川美保のブルーシャークが四輪の強烈なグリップで完全に塞ぎ、フェラーリを荒れた路面へと強引に閉じ込めていた。


相川美保「嫌だッ!」


美保はシートに身体を預け、震える両手でステアリングをぎゅっと抱え込むように握りしめた。

サイドからの度重なる激突で車体は悲鳴を上げ、ステアリングを通じて激しい振動が両腕に伝わってくる。

それでも、大好きな兄や仲間たちと共に磨き上げてきた愛車を信じ、美保は決してアクセルを緩めない。


相川美保「お兄ちゃんたちと走ったこの海色のGT-Rは、絶対に曲がらないし負けないんだから!」


ドゴオオオオオッ!


ズババババッ!


RB26DETTの直列6気筒ツインターボが野太い重低音を響かせ、過給圧がレッドゾーンを指し示す。

日産が誇る高度な四輪駆動制御システム、アテーサE-TSの電子頭脳が瞬時に路面状況を計算し、激突の衝撃でトラクションを失いかけた車輪へ最適な駆動力を送り込んだ。

四本のハイグリップタイヤがアスファルトを力強く噛み締め、フェラーリの横圧を真正面から押し返す。


クリスタ・ニールセン「くっ、この四輪駆動の化け物が!パワーなら私のフェラーリが上よ!」


フォオオオオオオオオンッ!


クリスタはさらにアクセルを踏み込み、3.9リッターV8ツインターボのパワーを限界まで解き放つ。

跳ね馬の鋭利なノーズが数センチ前に出ようと食らいつくが、美保のR33はイン側の最短ラインを完璧にキープし、一歩も譲らない。


キュルルルルルッ!


バキキキッ!


互いの塗装が削れ、火花が白煙とともに激しく吹き上がる。

純粋なトップスピードを誇るイタリアン・スーパーカーと、電子制御と四駆トラクションでねじ伏せる日本の名車。

意地とプライドが交錯する赤と青の閃光が、ついに目の前に迫る白黒のチェッカーフラッグの真下へと飛び込んでいった。


ドガッ!!!!


ずるっ……ぎゃああああああ!!!!


時速二百キロを超える超高速のストレートで、クリスタ・ニールセンの駆る真紅のフェラーリ 488 GTSが、再び獰猛な牙を剥いた。

ステアリングを鋭く左へこじり、カーボンとアルミで鍛え上げられた跳ね馬のサイドパネルを、青いR33のボディへ容赦なく叩きつける。


タイヤが悲鳴を上げ、フェラーリのリヤがわずかに横滑りを起こしながらも、強引にGT-Rのイン側を押し潰そうと強烈な横圧をかけ続ける。

削れ飛ぶ塗料と飛び散る火花が、暗闇を赤く染め上げた。


若林「思い切り滑り込ませましたああああ!!!上位勢がゴールしていても大波乱のレースが続いてるううう!!!!」


実況席の若林がデスクから身を乗り出し、喉を枯らしてマイクに叫び続ける。

ゴール直前とは思えない激しい肉弾戦に、サーキット中の視線が完全に釘付けとなっていた。


どがッッ!!!!


ずぎゃああああああ!!!!


二度、三度と容赦なく叩きつけられるフェラーリの執拗な体当たり。

金属が歪む激しい衝撃が、スカイラインGT-Rの車内を激震させる。


相川美保「ッ!」


美保は一切の弱音も悲鳴も口にしない。

ただ唇をキュッと引き結び、青い瞳の奥に静かで力強い覚悟の炎を灯していた。


シートベルトが肩に強く食い込み、ステアリングを通じて激震が両腕の筋肉を激しく揺さぶる。

だが、その華奢な両腕は微塵もブレることなく、ディープマリンブルーのステアリングを完璧な力加減で抑え込んでいた。


相川美保(私のブルーシャークは、これくらいじゃ絶対に壊れないし負けない!)


美保は一瞬の荷重抜けを見逃さず、左足でブレーキを僅かに舐めるように触れてフロントへ荷重を移すと、電光石火の速さでステアリングを右へ切り返した。


ドゴオオオオオッ!


バキィィィィンッ!


今度はR33の分厚く強靭なサイドシルが、跳ね馬の真紅のボディを真っ向から押し返す強烈なカウンターアタックを炸裂させる。

アテーサE-TSが瞬時に前輪へ強大な駆動力を配分し、四輪すべてで路面を力強く掴みながらフェラーリを豪快に弾き飛ばした。


クリスタ・ニールセン「きゃっ!?この重厚な車体……押し返してきたというの!?」


フェラーリがわずかに体勢を崩したその刹那、二台のドライバーは同時にアクセルペダルを床の底まで踏み抜いた。


ドリュウウウウウウッ!


フォオオオオオオオオオンッ!


バババババババッ!


RB26DETTが絞り出す重厚な直列6気筒ツインターボの怒号と、フェラーリが誇る3.9リッターV8ツインターボの甲高く官能的なエキゾーストノートが激突する。

過給圧計の針が一気にレッドゾーンへと跳ね上がり、マフラー出口から青白いアフターファイアが夜空を激しく焦がした。


四輪駆動の圧倒的なトラクションでアスファルトを力強く掻きむしり、ロケットのように加速するR33。

卓越したエアロダイナミクスで空気を切り裂き、驚異的な伸びを見せるフェラーリ。


赤と青、二台の怪物が猛烈な加速Gを全身に浴びながら、互いのノーズを突き合わせるようにして最終チェッカーフラッグへと突撃していく。


バシュウウウウウッ!


ドガアアアアンッ!


白黒のチェッカーフラッグが激しく波打ち、ディープマリンブルーのスカイラインGT-R V-specと真紅のフェラーリ 488 GTSが、完全に一筋の残像となってコントロールラインを突き抜けた。

互いのバンパー先端が描いた軌跡は、肉眼では完全に重なり合っており、どちらが先にラインを踏み越えたのか誰にも判別がつかない。


若林「この2台もゴールだああああ!!!しかし、この2台もやはり審査が必要みたいですッ!」


実況ブースの若林がマイクを握り締め、頭を抱えるようにして大型モニターを凝視する。

2位争いに続き、11位争いまでもがミリ単位の写真判定にもつれ込む異常事態に、スタンドの観客たちからも地鳴りのような歓声とどよめきが沸き起こった。

電光掲示板の11位と12位の表示板に、激しく点滅する「審議中」のランプが灯る。


その熱狂の渦中、解説席のエアリが身を乗り出し、鋭い赤い瞳を輝かせながらマイクを引き寄せた。


エアリ「はいッス!これは写真判定になるのも当然の超絶バトルッスよ!まず注目すべきは美保ちゃんのR33の強靭なシャシーとアテーサE-TSの駆動力配分ッス!フェラーリの度重なる激しい横からの体当たりを受けても、電子制御が瞬時にトルクをフロントへ回して車体のロールと横滑りを完全に抑え込んでいたッス!普通なら弾き飛ばされてスピン確定の衝撃を、重厚なボディ剛性と四輪トラクションで全部ねじ伏せて、イン側の最短レコードラインを死守したのが本当に見事ッス!」


エアリはモニターに映るスロー映像のタイヤの軌跡を指差しながら、さらに熱弁を振るう。


エアリ「対するクリスタさんの488 GTSも化け物じみていたッス!インを完全に塞がれた不利な外側ラインから、3.9リッターV8ツインターボの圧倒的な過給パワーと最新エアロダイナミクスを炸裂させて、トップスピードの伸びだけで強引に車体をねじ込んできたッス!四駆の立ち上がりトラクションで前に出たR33に対し、最高速の伸びで一気にノーズを並べたフェラーリ!純粋なメカニカルグリップと圧倒的なスーパーカーパワーが激突した、まさに奇跡の同着劇ッスよ!」


チェッカーを受け、減速しながらクーリングラップへ入った二台。

スカイラインGT-Rの車内では、相川美保が深く息を吐き出し、震える両手をステアリングからゆっくりと離した。


相川美保「はぁ……はぁっ……!やりきったよ、ブルーシャーク……!」


サイドドアには激突による赤い塗装が擦り付けられ、金属が激しく軋んでいたが、美保の表情には全力を出し切った晴れやかな笑顔が広がっていた。

その真横を、真紅のボディを夕闇に鈍く光らせながらフェラーリが静かに並走していく。

クリスタ・ニールセンは窓越しに美保を一瞥すると、悔しさを押し殺した冷徹な眼差しで小さく息を漏らした。


クリスタ・ニールセン「まさか、あの旧世代のセダンにここまで手こずらされるなんてね。判定がどうあれ、侮れない相手だわ」


互いに激闘を繰り広げた二台がピットロードへと向かう中、コース上には残された後続グループの咆哮が、いよいよ最終ストレートへと迫りつつあった。


サーキットから遠く離れた、夜の静寂に包まれた東北自動車道のパーキングエリア。

水銀灯の淡い光の下で、濡れたように深い輝きを放つブリリアントカラーのメルセデスAMG C43が静かに佇んでいた。


ドアの隙間から漏れ出るかすかな光。

ドイツ車特有の上質なナッパレザーシートに身を沈め、スーツのネクタイをわずかに緩めた一人の男がいた。

仕事を終え、出張先からの帰路に就いていたサラリーマン、川村修一である。


川村はスマートフォンの画面を食い入るように見つめていた。

スピーカーからは、吾妻GTの公式ライブ配信が流れている。

実況の絶叫とともに画面いっぱいに映し出されていたのは、ディープマリンブルーのスカイラインGT-R V-specと真紅のフェラーリ488 GTSが、互いのボディを削り合いながらチェッカーを駆け抜ける決定的瞬間だった。


画面がスロー再生に切り替わり、幾度となく繰り返される超至近距離の激突シーン。

フェラーリの獰猛なアタックを受け止め、アテーサE-TSを極限まで駆使してインの最短ラインを死守した青い車体。

その力強くもしなやかな走りの軌跡を見届けた川村は、ふっと口元を緩め、静かに呟いた。


川村修一「あの33、強くなってるな」


川村の脳裏に、かつて見てきた相川美保の走りが鮮やかに蘇っていた。

兄の背中を追いかけ、がむしゃらにステアリングを握っていたかつての少女の姿はそこにはない。

強敵からの猛烈なプレッシャーを真正面から受け止め、マシンのポテンシャルと己の感覚を完全にシンクロさせて戦い抜く、一人の完成されたレーサーとしての風格が宿っていた。


川村修一「跳ね馬のトップスピードを四駆のトラクションでねじ伏せるとはな。俺も負けていられないな」


川村は手元のC43のステアリングにそっと手を添え、低く唸るような心地よい重低音に耳を傾けた。

ビジネスの現場で戦う日々の中にあっても、彼の胸の奥底で燃える走りへの情熱は微塵も色褪せていない。


一方、スマートフォンの画面の中では、写真判定の熱気が冷めやらぬ吾妻GTのコース上に再びカメラが切り替わっていた。

レースはまだ終わっていない。

後方から響き渡る強烈な咆哮とともに、残された4台のマシンが最終コーナーへと雪崩れ込んでくる。


蒼いロングヘアをなびかせるちとせの駆る日産フェアレディZ RZ34。

その背後にぴったりと張り付き、牙を剥くサテラのランサーエボリューションVII MR。

さらにその後方からは、赤いジャンパーを羽織った高槻健永のダッジ・バイパーGTSが轟音を響かせ、黒川海斗のエボIXが虎視眈々と前を狙う。


画面越しに伝わる凄まじい緊迫感に、川村は再び視線をスマートフォンへと固定した。

86伝説エーペックス蔵王編2027年前半開始予定!!!


相川律の悲鳴と共に、数千万円のR35は真っ白な雪煙を上げながら、コース外の深い闇へと吸い込まれていった。


ぴゅーん……。


一瞬の静寂の後、遠くの方で雪が崩れる音だけが響いた。


腹切カナタ「……」

カナタは、モニターに映し出された静止画のような雪煙を見つめ、ただ言葉を失っていた。

あんなに熱く自分を応援してくれた人の、あまりにも無惨な幕切れ。


山吹花「……失格ね」

花は大きく溜息をつき、握りしめていた拳をゆっくりと解いた。

呆れと、少しの寂しさが混じったその表情は、どこか吹っ切れたようにも見えた。


伊藤翔太「だね。」

翔太も、先ほどまでの「せやかて」というノリを消し、冷え切った蔵王の風を感じながら静かに頷いた。

相川律が刻もうとした36秒台の夢は、文字通り雪の中に埋もれ、公式記録には「DNF(リタイア)」の文字が冷酷に刻まれた。

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