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86伝説エーペックス  作者: SAI
吾妻GT編
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506/534

吾妻編第46話 WRXSTi VABvsRZ34

山吹花「……くッ!!」


並走するRZ34は、花が想定していた以上にしぶとい。VABがイン側から押し込んでも、ちとせは外側のラインを崩さず、のんびりとした表情のまま速度を保っていた。


エアリ「花ちゃん、何やら焦ってるように見えるッスねー……ッ。」


若林「焦りですか!?あれだけ圧倒的な女王の態度を見せている山吹花が!?」


エアリ「はいッス。花ちゃん、本当はこの区間で一気に前へ出るつもりだったはずッス。でも、ちとせさんが全然引かないから、予定より長く並走させられてるんスよ。」


若林「つまり、この強烈な罵倒も……!」


エアリ「ちとせさんをラインから退かせるための揺さぶりッスね!ただ、ちとせさんにはあまり効いてないッス!」


ちとせ「もへ〜……花ちゃん、そんなに急がなくても二周目は逃げないよぉ〜☆」


山吹花「黙りなさい……ッ!私が今ここで抜くと言ったら、ここで抜くのよ!!」


ごおおおおおおおッ!!!!


花はさらにアクセルを踏み込み、VABのノーズを強引に前へ押し出す。しかし、RZ34も吹雪を巻き上げながら寸前で食らいついた。


若林「まだ並んでいるゥゥゥ!!!!青の生意気な女王と、銀の氷雪獣神!!セクター5の出口まで、一歩も引かなああああい!!!!」


エアリ「花ちゃん、冷静さまで失ったら危険ッスよ!今は速さじゃなくて、意地だけでアクセルを踏み始めてるッス!!」


山吹花「……私より前を走るなんて、絶対に許さない……ッ!!」


ちとせ「おじさんも、簡単には譲れないかなぁ〜。」


青と銀の二台はガードレールすれすれのまま、凍りついたセクター5へ雪崩れ込んでいった。


セクター5最終複合コーナー。花のWRX STIは、ちとせのRZ34へ一ミリも容赦せず車体を寄せる。焼けたタイヤの臭いと火花が広がる中、スピーカーから冷たい罵声が響いた。


若林「庭坂免許センターを抜けてエエエエ!!そこから直売所へ!交差点を左折し、一気に吾妻山を再び登るうううう!!!!」


ぎゃああああああッ!!


ごおおおおおおおッ!!


山吹花「……ねえ、聞こえてる?老いぼれのちとせさん。あなたの走りは、もう骨董品レベルなのよ。」


山吹花「その古臭い技術と、加齢臭のするセンスで私の前に立たないで。見ているだけで、こっちの美意識が汚れるわ。」


ちとせ「もへ〜……?おじさん、そんなに臭うかなぁ〜☆」


山吹花「黙りなさいよ、このゴミクズ!その『もへ〜』って間の抜けた反応、本当に反吐が出るわ!」


山吹花「あなたはもう終わったコンテンツなの。これからは私という生意気の女王が支配するのよ!」


山吹花「その鉄屑と一緒に、土湯の谷底へ不法投棄されてきなさいッ!!」


ドガアアアアアンッ!!!!


花はステアリングをちとせ側へ切り込み、VABの側面をRZ34へ激しくぶつけた。


山吹花「さっさと消えなさい、この無能な老害!!あなたに似合うのは表彰台じゃなく、リサイクルショップのジャンクコーナーよッ!!」


若林「絶叫だアアアア!!!!山吹花、まさに生意気の極致!!先輩であるちとせを『終わったコンテンツ』『不法投棄』とまで言い切ったアアアア!!!!」


若林「これには、さすがの氷雪獣神も黙っていられないかアアアア!?」


ちとせ「……。」


ちとせのブルーグレーの瞳から、先ほどまでの柔らかな光が消える。


その一瞬の隙を、花は見逃さなかった。


ぎゅああああああッ!!


若林「ついにWRX STIが前に出たアアアア!!!!山吹花が、絶対王者フリス!そして氷雪獣神ちとせまでもねじ伏せ、吾妻GTで初めて先頭へ躍り出たアアアア!!!!」


一周目のコントロールラインを目前にした最終ストレート。スバルブルーのVABが、EJ20ターボの咆哮を山々へ反響させ、銀色のRZ34を引き離していく。


山吹花「あら、そんなに驚いた顔をしてどうしたのかしら?」


山吹花「あなたなんかに王は相応しくないわ、ちとせ……。ざぁ〜このくせに……♡」


バックミラー越しに、花は後退していくちとせへ冷たい笑みを投げかけた。


ちとせ「……ッ!!!!」


その一言が、ちとせの内側に残っていた穏やかさへ深く突き刺さる。周囲を包んでいた柔らかな吹雪は消え、音も熱も飲み込むような虚無の零度へと変質し始めた。


若林「エアリさん!ついに花が前へ出ました!!今の攻防を解説してください!!」


エアリ「花さん、最後まで速さだけで勝ったわけじゃないッス!罵倒と接触で、ちとせさんのリズムを無理やり崩したんスよ!」


若林「精神面まで攻撃していたと!?」


エアリ「そうッス!ちとせさんは外側のカントを使って、ずっと花さんの前を守ってたッス。でも花さんが何度も車体を寄せて、次はどこからぶつかってくるか分からない状況にしたッス!」


エアリ「そのせいで、ちとせさんは出口へ向けてアクセルを踏むより、花さんとの接触を警戒する時間が増えたッス。花さんはその一瞬だけ空いた前方へ、VABの四輪駆動を使って飛び出したんスね!」


若林「しかし、かなり危険な勝負でした!!」


エアリ「危険どころじゃないッスよ!花さんは自分が前へ出るためなら、接触もタイヤの消耗も気にしてないッス!まだ一周目なのに、二周目の余力をほとんど残してない可能性もあるッス!」


若林「それでも先頭です!!」


エアリ「はいッス。でも、ちとせさんの空気が変わったッスね……。今までの吹雪は相手を止める力だったッスけど、今の冷気は周囲のすべてを消そうとしてるみたいッス。」


エアリ「花さんは一位を奪ったッス。でも同時に、絶対に怒らせちゃいけない獣神を、本気で怒らせたかもしれないッスよ……!」


若林「山吹花が独走態勢へ入るッ!!まさに女王の戴冠式!!一周目のコントロールラインをトップで通過するのは、生意気の女王・山吹花だアアアア!!!!」


青いVABが先頭でラインを駆け抜ける。


その後方では、静かに俯いたちとせのRZ34から、光すら凍りつかせる虚無の冷気が噴き上がり始めていた。


若林「その後方!!世界最速クラスのEV、Xiaomi SU7 Ultraを……抜いてしまったアアアア!?!?」


若林「二十一位を走っていた陽太のNDロードスターが、樋口瀬那をオーバーテイクだアアアア!!!!」


二キロのトンネルストレートを抜け、パワー勝負が終わった直後。土湯除雪ステーション先の中高速コーナーで、巨大な出力を誇るSU7 Ultraがわずかにラインを膨らませた。


その瞬間、背後から迫ったオレンジ色のロードスターが、空いたイン側へ鋭く飛び込む。


ギャアアアアアンッ!!


陽太「……重いんだよ、君の車は。」


樋口瀬那「なっ……!?」


陽太「直線は速くても、この吾妻の風に乗るには少し身体が大きすぎるんじゃないかな?」


陽太は軽量な車体を滑らかに旋回させ、速度をほとんど落とさずコーナーを抜ける。一方のSU7 Ultraは巨体と重量に前輪を押され、立ち上がりまでにわずかな遅れを生んだ。


若林「パワー対軽量化!!千馬力級のEVモンスターを、百三十馬力ほどのロードスターがコーナリングだけで封じ込めたアアアア!!!!」


若林「陽太!値千金のジャイアントキリングだアアアア!!!!」


若林「エアリさん!この出力差を、どう覆したのでしょうか!?」


エアリ「陽太くん、直線では最初から勝負してないッス!トンネル出口から樋口さんのブレーキングをずっと観察して、車体が外へ膨らむ場所を待ってたんスよ!」


若林「ロードスターの軽さが効いたと!?」


エアリ「はいッス!SU7 Ultraは加速がものすごいッスけど、重量がある分、方向を変える時には大きな荷重がかかるッス。樋口さんはその重さを受け止めるために、少しだけ旋回速度を落としたんスね!」


エアリ「陽太くんはブレーキを最小限にして、軽い車体をイン側へ滑り込ませたッス!馬力で抜いたんじゃなく、相手が曲がり切れない時間を使って前へ出たオーバーテイクッスよ!」


エアリ「ただ、次の直線ではまたSU7 Ultraが圧倒的に有利ッス!陽太くんは今のうちに、テクニカル区間で少しでも差を作りたいところッスね!」


樋口瀬那「百三十馬力程度の車に……コーナーだけで抜かれた……ッ!?」


陽太「馬力が全部なら、レースなんて直線一本で終わるだろ。」


オレンジ色のロードスターは月明かりを反射しながら、次のコーナーへ軽やかに消えていった。


【ライブ配信・SNSの反応】


「ロードスターがSU7 Ultra抜いたああああ!?」


「千馬力対百三十馬力でロードスター勝つの夢ありすぎる」


「陽太、初参戦でこれやるのヤバい」


「直線番長をコーナーで仕留めるの気持ちよすぎる」


「エアリの解説めっちゃ分かりやすい」


「でも次の直線でXiaomiが飛んできそう」


「軽さは正義!!!!」


その衝撃的なニュースがコース全土へ駆け巡る中、先頭集団が一周目セクター5のメインストレートへ姿を現す。


だがカメラがすぐに捉えたのは、陽太ではなかった。


先頭を走る、生意気の女王・山吹花。


そして、その背後で不気味な沈黙を貫く氷雪獣神・ちとせ。


青いVABの周囲には女王の威圧が渦巻き、銀色のRZ34からは音すら凍らせる虚無の冷気が漏れ出していた。


若林「ロードスターによる衝撃のジャイアントキリング!!しかし先頭では、それ以上に恐ろしい空気が流れているゥゥゥ!!!!」


若林「一位を奪った山吹花と、完全に沈黙したちとせ!!一周目の終わりを前に、獣神の反撃が始まろうとしているのかアアアア!?」


山吹花「……あら、どこかのロードスターも頑張っているみたいね。でも、そんな端の順位なんてどうでもいいわ。」


花はコントロールラインを目前に、バックミラーへ冷たい視線を送った。


山吹花「ねえ、ちとせさん?後ろへ下がってから随分と静かになったわね。まさか本当にショックで、心臓でも止まっちゃったのかしら?」


山吹花「ざぁ〜こ……♡」


WRX STIのテールランプが激しく明滅し、後方のRZ34を嘲笑う。


ちとせ「…………。」


山吹花「ちとせ……ッ?」


ちとせ「……ッ?」


一瞬、花の表情に小さな迷いが浮かんだ。


だが次の瞬間、その瞳は再び冷酷な女王の色へ染まる。


山吹花「二度と私の前に現れるなァァァ!!!!」


どごおおおおんッ!!!!


ギャギャアアアアアアッ!!!!


花のVABが車体を寄せ、ちとせのRZ34へ強烈に接触する。二台の間から火花が弾け、銀色のZが大きく姿勢を乱した。


しかし――。


RZ34から噴き出したのは、吹雪ではなかった。


排気の白煙すら瞬時に凍りつかせる、どす黒い絶対零度のオーラ。ちとせの萌え袖の奥で握られたステアリングが、ミシリと悲鳴を上げる。


若林「山吹花が一位のまま、一周目のコントロールラインへ向かうッ!!しかし、その後ろ!!ちとせが放つ殺気が、物理的な壁となって後続の視界を奪っているぞオオオオ!!!!」


エアリ「花さん、完全にやりすぎッス……!今の接触で、ちとせさんの走りを止めるどころか、眠っていた何かを起こしちゃったッスよ!」


若林「何かとは!?」


エアリ「今までのちとせさんは、相手を包み込むように冷やしてたッス。でも今の冷気には、遊びも優しさも残ってないッス……!」


エアリ「『おじさん』みたいなのんびりしたリミッターが、今の一撃で完全に外れたッスね。二周目、とんでもないことになるッスよ!!」


若林「一周目のコントロールライン!!山吹花がトップで通過アアアア!!!!」


青いVABが先頭でラインを切る。


その直後――。


パキパキパキパキッ!!


若林「な、なんだアアアア!?先頭を行くWRXのリアガラスが、一瞬にして真っ白に凍りついたアアアア!!!!」


ちとせのRZ34から放たれる冷気は、雪でも吹雪でもない。音も熱も、存在そのものさえ停止させる静寂の絶対零度だった。


バックミラーの向こうで、ちとせのブルーグレーの瞳から完全に光が消える。


ちとせ「…………もへ〜…………。」


山吹花「……ッ。」


ちとせ「花ちゃん、お口が随分と……元気そうだねぇ…………。」


凍りついたリアガラス越しに、ちとせの視線だけが花を捉える。


ちとせ「少しだけ……静かにしてもらおうかなぁ…………?」


二周目開始。


生意気の女王を追うのは、もはや穏やかな獣神ではなかった。


若林「高湯温泉の真横を切り抜けて二周目!!先ほどよりも加速の勢いが増しているうううう!!!!」


若林「この先頭争いから、一瞬たりとも目を離すなアアアアア!!!!」


青いWRX STI VABと銀色のRZ34が、高湯温泉脇の狭い区間へ横並びで飛び込む。


ガンッ!!


どがあああんッ!!!!


互いのボディが激しくぶつかり、火花と氷片が夜の路面へ散った。それでも二台はアクセルを緩めず、押し合うように加速を続ける。


若林「二台ともぶつけ合ったアアアアア!!!!クラッシュ寸前!いや、すでにクラッシュ同然のハイスピードバトル勃発かアアアア!?!?」


山吹花「今さら本気になったところで遅いのよ……ッ!」


ちとせ「もへ〜……花ちゃんこそ、あんまり無理すると壊れちゃうよぉ……。」


山吹花「壊れるのは、あなたの方よ!!」


再びVABが車体を寄せる。しかし今度はRZ34も引かず、銀色のボディで強く押し返した。


ドガンッ!!


山吹花「くっ……ッ!」


ちとせ「もう、おじさんは譲らないかなぁ……。」


若林「今度はちとせが押し返したアアアア!!!!獣神の反撃が、ついに始まったァァァ!!!!」


若林「そしてコースはここから低速区間のヒルクライムへ移行しますッ!!急勾配と連続ヘアピン!加速力だけでは突破できない、極限の回頭性勝負だアアアア!!!!」


【ライブ配信・SNSの反応】


「ちとせが完全にキレてる」


「花、さすがに煽りすぎたって!」


「二台とも接触してるのに全然引かないの怖すぎる」


「VAB対RZ34、もうレースじゃなくて格闘技」


「もへ〜って言いながら押し返すちとせ怖い」


「花ちゃん先頭なのに余裕なくなってきた?」


「低速ヒルクライムなら四駆のVABが有利か?」


「いや、ちとせの冷気で路面ごと終わりそう」


「エアリの解説早く聞きたい」


「二周しかないのに濃すぎるだろ吾妻GT」


二台は傷ついたボディを寄せ合ったまま、速度を落として低速ヒルクライムへ突入する。


前に出たい花と、二度と譲るつもりのないちとせ。


先頭争いは、力任せの高速戦から、一つのミスも許されない連続ヘアピン勝負へ切り替わった。


ちとせが萌え袖の手をステアリングに添えた瞬間、RZ34の周囲の空間そのものが「死」の色に染まった。放たれた絶対零度の冷気は、物理法則を無視して路面を伝い、先行するWRXの排気管からエンジン内部へと逆流せんばかりの勢いで侵食していく!


山吹花「……ッ!?な、何よこれ……!エンジン回転数が上がらない……!?」


アクセルを踏み込んでも、VABは鈍い唸りを返すばかりだった。ペダルへ触れる花の足先から感覚が消え、氷が這い上がるように全身が冷えていく。


山吹花「それどころか、足元まで……凍りついていくっていうの……ッ!?」


ちとせ「花ちゃ〜ん……悪いけど、そこいただくよぉ?」


どがああああああッ!!!!


若林「うおアアアアアアッ!!!!」


銀色のRZ34がVABの側面へ擦りつき、強烈なトルクを路面へ叩きつける。凍りついた青い車体を押し退けるように、ちとせが一気に前へ出た。


ぎゃぎゃあああああッ!!


山吹花「くっ……この……ッ!」


花の顔から女王の余裕が消え、恐怖が浮かぶ。横を走るちとせは、もはやおっとりした獣神ではない。触れたものを無へ帰す、冬の終焉そのものだった。


若林「ちとせのオーラがヤバすぎるウウウウ!!!!触れるものすべてを凍結させる純粋な絶対零度!!吾妻の山全体から、感覚そのものが消えていくぞオオオオ!!!!」


若林「エアリさん!この先頭争い、手始めからまとめて解説してください!!」


エアリ「まず一周目、花さんはちとせさんへ何度も罵倒と接触を仕掛けて、走りのリズムを崩したッス!その隙を使ってVABの四輪駆動で先頭を奪ったんスよ!」


エアリ「でも、花さんは前へ出るためにタイヤもマシンも使いすぎたッス。それに対してちとせさんは、外側のラインで耐えながら力を残してたんスね!」


若林「二周目へ入って、立場が逆転したと!?」


エアリ「はいッス!ちとせさんはVABへ直接冷気を伝えて、タイヤ、駆動系、それから花さん自身の感覚まで鈍らせたッス!アクセルを踏んでも回転が上がらないのは、エンジンだけじゃなく車体全体が凍結へ引っ張られてるからッスよ!」


エアリ「そして動きが鈍った瞬間に、RZ34の太いトルクで側面から押し出したッス!高速域ではVABの安定感が強かったッスけど、ここからの低速ヒルクライムなら、立ち上がりの力を残していたちとせさんにも十分な勝機があるッス!」


若林「ちとせが完全に先頭を奪い返すのかアアアア!?」


その時、花は凍りつきかけた右足へ無理やり力を込めた。DCCDをさらに回頭性重視へ切り替え、残された駆動力を四輪へ叩き込む。


山吹花「……私が、あんたなんかに怯えるわけ……ないでしょうッ!!」


ドゴオオオオオオッ!!!!


若林「いや!しかし!!山吹花のWRXが、ここに来てさらに加速したアアアア!!!!」


VABが凍結したタイヤを激しく空転させながらも、強引に前へ飛び出す。花はちとせへ勝とうとするのではなく、絶対零度の射程から逃れるために、残る力のすべてを加速へ変えていた。


若林「どんどん前へ出る!!ちとせの絶対零度から、物理的に距離を取っていくウウウウ!!!!速い!!速すぎるッ!!!!」


エアリ「花さん、今は勝負より先に冷気の範囲から脱出しようとしてるッス!近くにいれば凍らされ続けるなら、先に距離を作るしかないッスからね!」


ちとせ「もへ〜……逃げるのぉ?」


山吹花「逃げてない……ッ!あんたを置き去りにしてるだけよ!!」


凍りついた青いVABが再び前へ。その背後を、どす黒い絶対零度を纏った銀色のRZ34が静かに追い始めた。

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