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86伝説エーペックス  作者: SAI
吾妻GT編
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500/534

吾妻編第40話 双龍の辻

若林「吾妻山ダウンヒルにそびえ立つ見晴らしの観光スポットであり、6連ヘアピンにガストラップのある最大の難所、双竜の辻!!!」

「逃げるちとせのRZ34と追う蒼真のFL5! そのすぐ後ろから、死闘を演じるフリスのケイマンと山吹 花のWRXが異常なスピードで迫る中、恐怖の連続コーナーへと突入していきます!!!!」


吾妻の山肌に口を開けたような巨大なすり鉢状の地形、「双竜の辻」。昼間は絶景の観光スポットとして知られるこの場所も、深夜のレースにおいては最悪の牙を剥く。活火山である吾妻山特有の硫黄の匂いを含んだ濃密な火山ガスが、予測不能なタイミングで路面に吹き出し、視界を奪い、エンジンの吸気を乱す「ガストラップ」が仕掛けられた恐怖の6連続ヘアピンコーナーだ。


純白のホンダ シビックタイプR FL5を操る「純白の追跡者」柊 蒼真は、研ぎ澄まされた集中力で迫り来る濃霧の壁を睨みつけていた。


柊 蒼真「……この先はガストラップだ..!! 一瞬の抜かりも許されない...!! 破綻したら水の泡だ....!!!!」


蒼真は、FF最速の称号を持つFL5のフロントタイヤの限界グリップを神経の糸で探りながら、ガスの切れ間を縫うように正確なブレーキングをキメる。ほんのわずかでもアクセルワークを誤れば、ガスの影響でエンジンのトルクが抜け、崖下へと吸い込まれる極限の領域。


しかし、その蒼真の前を走る「氷雪の獣神」ちとせのRZ34は、ガストラップの恐怖など微塵も感じさせない。蒼色の髪を揺らし、もふもふの萌え袖で軽やかにステアリングを回す彼女は、のんびりとした口調で独りごちた。


ちとせ「もへ〜……おじさんの後ろ、ずいぶんと騒がしくなってきたねぇ。蒼真くんも頑張るけど、後ろの青い子たちも元気いっぱいだぁ。……でもね、このガスの臭い、おじさんあんまり好きじゃないんだよねぇ。」


ちとせがアクセルを踏み込むと、RZ34のツインターボが絶対零度の冷気を吐き出し、立ち込める火山ガスを一瞬にして凍結・粉砕していく。


そして、その絶対零度の軌跡をなぞるように、後方から強烈な二つのオーラが雪崩れ込んできた。


山吹 花「トップが見えたわ……! 蒼真くんに、ちとせさん……! フリスさん、ここであなたと遊んでる暇はなくなったみたいね。私のWRXで、あの先頭集団ごとまとめて飲み込んであげる!」


フリス「(チッ……! 小娘のあの得体の知れない嫌なオーラに当てられている間に、先頭に追いついてしまったというのか……! 吾妻のガスごとき、我の『コットンアイススノー』の前ではただの霞! 閻魔天の裁きを、トップの二台にも下してやるッ!)」


エアリ「……ふふ、若林さん、ついに先頭の二台に、氷の女王と絶対王者が追いつきましたよ。双竜の辻のガストラップは、エンジンの燃焼効率を下げ、ドライバーの平常心をも奪います。ですが、極寒の冷気を操るちとせさん、花さん、フリスさんの三台にとっては、ガスを凍らせて突き進む絶好の猟場。……蒼真さん、あなたの純白のFL5だけで、この三つの吹雪と毒ガスを生き残れますか?」


ドガァァァァッ!! キュインキュイィィン!!!


一つ目のヘアピン。ちとせのRZ34が冷気のテールスライドでガスを切り裂き、その真後ろに蒼真のFL5が食らいつく。さらにその後方、わずか車一台分の隙間に、花のスバルブルーのWRXとフリスの真っ白なポルシェが、並走状態を維持したまま強引にノーズをねじ込んでいく。

四台のエキゾーストノートが複雑に絡み合い、火山ガスと氷の結晶が乱舞する。一歩間違えれば四重クラッシュという極限の超接近戦。誰一人としてブレーキを譲らない、まさに狂気の双竜の辻。

1位から4位までのトップ集団が完全に一つの塊となり、吾妻の夜に未曾有のブリザードを巻き起こす!


若林「ああああッ!! 後方からフリスのポルシェが、とんでもない冷気を放出したアアアア!!!! 吾妻のガスが……凍っていくウウウ!!??」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。双竜の辻に立ち込める濃密な火山ガスと硫黄の臭いが、突如として舞い散る甘い香りへと上書きされていく。

可憐な少女の姿をした絶対王者、フリス。彼女の操るポルシェ 718 ケイマン GT4のミッドシップエンジンが限界を突破した咆哮を上げると同時に、車体全体から純白の極寒オーラが爆発的に膨れ上がった。


フリス「……目障りだ……! この程度の薄汚いガスで我の視界を遮れると思うな。そして前を走る有象無象ども……我の力、見せてやろう!!!」


グワッ!!コオオオオ....!!!!


フリスの宣言と共に放たれたのは、彼女の代名詞である『コットンアイススノー』。しかし、それはもはや優雅に舞う粉雪などではなかった。怒りと闘争心によって限界まで圧縮された極寒のエネルギーは、猛烈な吹雪の塊となって、土湯峠の狭い6連ヘアピンコーナー全体を飲み込みにかかる。

甘く、そして絶対的な死を思わせる氷の雪。それが火山ガスと衝突した瞬間、ガス中の水分と不純物が瞬時に凍結し、重力に逆らえずバラバラとアスファルトに砕け散っていく。視界を遮っていた濃霧が、彼女の力によって文字通り「粉砕」されたのだ。


山吹 花「……くっ! なんなのこの雪……! 私のWRXの冷気ごと、力ずくで押し潰そうっていうの!?」


スバルブルーのVABを操る山吹 花は、背後から襲い来る異常な吹雪に顔をしかめる。彼女の放つ氷の女王のオーラすらも、覚醒した絶対王者の殺気立った雪の前に相殺され、視界が真っ白に染まっていく。


柊 蒼真「……な、なんだこの異常な寒さはッ!? ガスのトラップを抜けたと思ったら、今度は路面が完全に凍結していく……! FFのシビックじゃ、トラクションが抜けちまう……!!」


前方を走っていた純白のシビックタイプR FL5、柊 蒼真もまた、突然の路面変化に悲鳴を上げた。フロントタイヤがグリップを失い、コーナーのアウト側へとズルズルと滑り出す。フリスの放つコットンアイススノーは、ただ相手を凍らせるだけでなく、路面のミュー(摩擦係数)を極限まで低下させ、AWDやFFの強みであるトラクションを強引に奪い去るという、恐るべき効果を秘めていたのだ。


ちとせ「もへ〜……フリスちゃん、怒ると怖いねぇ。おじさんの絶対零度とはまた違う、甘くて厄介な雪だぁ。でも、おじさんのRZ34も、そう簡単には凍らないよぉ?」


トップを往くちとせは、のんびりとした口調を崩さないものの、フリスの強烈なプレッシャーを背後に感じ、アクセルをさらに深く踏み込んだ。


若林「フリスのコットンアイススノーが、双竜の辻を完全に白銀の地獄へと変えたアアア!! ガスを凍らせ、路面を凍らせ、トップの三台をまとめて串刺しにしようというのかッ!! 恐るべき絶対王者!!」


エアリ「……ふふ、凄まじいですね。フリスさんは火山ガスのトラップを逆利用し、ガス中の水分ごと凍らせて巨大な氷の壁を作り出そうとしています。……蒼真さんはFFの弱点を突かれ、花さんも自身の冷気と干渉して身動きが取りづらくなっている。これが、フリスさんの『閻魔天』たる絶対的な支配力。……可愛いお顔をして、やることは本当にえげつないですね。」


舞い散る甘い粉雪が、6連ヘアピンを血も凍る死地へと変貌させる。ポルシェ特有のトラクションを最大限に活かし、凍結した路面でもフリスのケイマン GT4だけは奇跡的なグリップを保って加速していく。

トラクションを失いかけた蒼真のFL5と、オーラをぶつけ合う花のVAB。その隙間を縫うように、美しき絶対王者の逆襲が吾妻の夜を完全に支配しようとしていた。


若林「フリスが前へ!!! 蒼真のシビックを捉え、見事に前に出たアアアッ!! そしてその後方から……信じられない! さらにサテラのエボ7MRも迫ってきたアアア!!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。双竜の辻に連続する6連ヘアピンは、絶対王者フリスが放つ『コットンアイススノー』の猛烈な吹雪によって、火山ガスごと完全に凍りつく狂気のスケートリンクと化していた。

可憐な少女の容姿を持つフリスは、ポルシェ 718 ケイマン GT4のミッドシップ・レイアウトが生み出す強烈なリアトラクションを完璧に計算し尽くし、極度にミュー(摩擦係数)の低下した氷上であっても、恐るべき推進力で前へと突き進む。


その一方で、極寒の地獄で最も苦しめられていたのは、純白のホンダ シビックタイプR FL5を操る柊 蒼真だった。


柊 蒼真「なんでそこでエボ7でいけるんだよ....っ!? 邪魔をするなアア!!!!」


蒼真は、絶望的なアンダーステアに耐えながら、アルカンターラのステアリングを必死にこじっていた。FF(前輪駆動)の宿命として、操舵と駆動の両方をフロントタイヤのみに依存するシビックにとって、路面が完全に凍結したこの状況はまさに「手も足も出ない」最悪のトラップだった。フロントタイヤが空転し、コーナーのアウト側へと車体がなすすべもなく流されていく。

蒼真の視界の端を、スバルブルーの山吹 花のWRXが、四駆の意地でなんとかグリップを保ちながら通り過ぎる。さらにその後方から、水色のランサーエボリューションVII MRが、まるで氷上を舞うフィギュアスケーターのような優雅で不気味なスライドをキメながら迫ってきた。


サテラ「……ふふ。焦ってるね、蒼真くん。君の純白のシビックは確かにFF最速の優等生で、ドライ路面なら誰も追いつけない。でも、この極寒のスケートリンクじゃ、フロントに頼りすぎるその真面目な構造はただの『足枷』なんだよ。……俺の推理学(ロジック)とエボの四駆システムはね、この変態的な滑り具合を100%利用して、最高に美しく走れるのさッ!」


サテラは「静かなる変態」の異名通り、一切の無駄なカウンターを当てず、三菱自慢のACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)とAYCの電子制御に、自身の変態的な荷重移動を完全に同期させていた。フリスが作り出した悪夢のような氷の路面を、サテラは逆に「自分の美学を表現するための完璧なキャンバス」として利用し、完全に失速した蒼真のFL5のイン側を、芸術的で滑らかなドリフトで抜き去っていく。


若林「サテラがあああッ!! FF最速のシビックを、凍結路面のイン側からいとも簡単にパスしていくウウウ!! エボ7MRの真骨頂、雪と氷を支配する三菱の四駆システムと、サテラの変態的ロジックが完全に融合しているッ!!」


エアリ「……素晴らしいですね。蒼真くんのFL5は確かに名車ですが、この氷の路面では物理的な限界を超えてしまっています。対してサテラくんは、フリスさんの冷気を逆手にとって、エボの姿勢変化を最大限に楽しんでいる。……どんな悪条件でも、自身の『変態的』な美しさへと昇華させてしまう。サテラ君、本当に恐ろしいドライバーに成長しましたね。そして蒼真さん、ここで沈んでしまうんスか…?」


フリスが圧倒的な冷気で前を切り開き、花が意地でそれに食らいつき、サテラが狂気の美学でその背後を奪う。

双竜の辻の凍てつくヘアピンコーナーで、FF最速の誇りを完全に打ち砕かれた蒼真のシビックが、悲痛なスキール音と共に順位を大きく落としていく。


若林「さあ、双竜の辻は完全にフリスの作り出した氷の地獄!! シビックを飲み込み、ついにトップを往くRZ34の真後ろに、白いポルシェが張り付いたアアア!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。火山ガスが立ち込めるはずの6連ヘアピンは、フリスの『コットンアイススノー』によってすべての水分と不純物が凍結し、恐るべき透明度の氷の回廊へと変貌していた。

FFの柊 蒼真を地獄の底へと突き落とし、後続の山吹 花やサテラにすら強烈なプレッシャーを与えるその惨状。しかし、大元であるポルシェ 718 ケイマン GT4のコクピットでは、絶対王者の冷酷な笑み……ではなく、なぜか拍子抜けするほど能天気な歓声が上がっていた。


フリス「あーっはっはっは! 見ろ、我の雪で道がツルツルに輝いておるぞ! 吾妻の臭いガスもすっかりお掃除完了というわけだ! いやあ、我ながら完璧なスケートリンクを作ってしまったな! 最高のドライブ日和ではないか!」


可憐な少女の容姿を持つフリスは、極限の氷上コーナリングの最中だというのに、まるで初めて雪遊びを覚えた子供のようにキャッキャとはしゃいでいた。尊大な「我」という一人称と、他者を凍らせる冷酷な計算式。それらが一周回って、恐ろしいほどの「能天気さ」として表出していたのだ。他者がどれほど苦しもうが、自身の雪が美しく舞えばそれでいいという、無邪気で残酷なまでの自己中心性。


フリス「さあて、次のお掃除のターゲットは……おや? あの蒼い日産車、随分とゆっくり走っておるな! 我が直接、氷の彫刻にしてやろう!」


ケイマン GT4が、水平対向エンジンのけたたましいエキゾーストノートと共に、イン側からトップのちとせが操る日産 フェアレディZ RZ34へと並びかける。

後方から迫る甘く冷たい吹雪と、耳を劈くポルシェのエンジン音。そして、能天気に笑う少女の姿をバックミラーに捉えたちとせは、蒼色のロングヘアを揺らしながら、もふもふの萌え袖で覆われた口元から小さく息を吐いた。


ちとせ「うへ〜...誰かと思えばケイマンのフリスちゃんだっけ〜...?」


ちとせのその声は、相変わらずのんびりとおっとりしていた。しかし、ブルーグレーの瞳の奥底には、普段の「おじさん」という柔和な仮面の裏に隠された、タチの悪い極寒の絶対零度の性格が静かに渦を巻き始めていた。


ちとせ「(……せっかくおじさんが気持ちよく走ってたのに、随分と騒がしい雪を降らせる子だねぇ。おじさんの前で能天気に氷遊びなんて……少し、お仕置きが必要かなぁ?)」


ちとせがアクセルをわずかに踏み増すと、RZ34のツインターボエンジンが低い咆哮を上げ、車体からフリスの甘い雪を瞬時に凌駕する、底冷えのする『絶対零度の冷気』が放たれた。それは、華やかに舞うフリスの粉雪とは異なり、空間そのものを死の世界へと引きずり込むような、重く、タチの悪い氷の波動だった。


若林「ちとせがあああッ!! 能天気に迫るフリスのポルシェに対し、RZ34からとんでもないプレッシャーを放ち返したアアア!! 氷雪の獣神と、復讐の執行人!! 双竜の辻の頂点で、二つの最強の氷属性が激突するゥゥ!!」


エアリ「……ふふ、これは大変なことになりましたね。フリスさんは自身の圧倒的な力に酔いしれて、少し能天気になりすぎています。……ちとせさんのあののんびりとした態度の裏には、誰よりも冷酷で、底意地の悪い絶対零度の牙が隠されている。……フリスさんの甘い雪と、ちとせさんのすべてを停止させる氷。若林さん、この二台が接触でもすれば、吾妻の山肌ごと本当に凍りついて砕け散ってしまいますよ。」


舞い散るコットンアイススノーの只中で、のんびりと能天気が交差する。しかし、その内側に秘められた殺意と冷気は、吾妻の夜をこれ以上ないほど過酷な死闘の舞台へと変えようとしていた。


若林「このちとせとフリスの戦闘力はほぼ互角!!!! 双竜の辻の頂点で、極寒を操る二台の化け物が完全に並び立ったアアア!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。火山ガスが凍りついた6連ヘアピンの最深部にて、先ほどまで雪遊びにはしゃぐ子供のように能天気な笑い声を上げていたフリスの表情から、突如として一切の感情が消え失せた。

前を走るちとせのRZ34から放たれた『絶対零度の冷気』が、ポルシェ 718 ケイマン GT4のフロントガラスを強烈に叩き、フリスの『コットンアイススノー』を物理的に押し返し始めたからだ。


フリス「(……何だ、この重く、そしてタチの悪い冷気は。我の降らせた甘い雪が、空間ごと完全に停止させられている……!?)」


可憐な少女の容姿を持つ絶対王者の瞳に、再び「走る精密機械」としての冷酷で計算高い光が宿る。能天気な振る舞いは、ちとせの奥底に潜む「本物の殺意」と底冷えするような圧力に触れたことで完全に霧散し、フリスは元の冷徹な「復讐の執行人」へと立ち返ったのだ。


フリス「……侮っていたようだな。のらりくらりとした道化を演じておるが、貴様のその冷気、我の閻魔天たる計算式に重大な誤差を生じさせるほどの絶対零度。……訂正しよう。貴様は我が全力をもって、氷の塵へと粉砕すべき真の敵だ……ッ!」


フリスはPDKのシフトパドルを冷酷に弾き、ポルシェの水平対向エンジンを最も美味しいトルクバンドへと放り込む。無駄のない、1ミリの狂いも許さない精密なステアリングワーク。先ほどの無邪気なスライドとは打って変わり、路面のミューを極限まで読み切った「最も速く、最も残酷なライン」でRZ34のインサイドへと刃を向ける。


ちとせ「もへ〜……フリスちゃん、急に怖い顔になっちゃったねぇ。でもね、おじさん……そういう本気の顔した子を、徹底的にいじめて絶望させるのが大好きなんだよねぇ……。」


ちとせはのんびりとした口調のまま、ブルーグレーの瞳を三日月のように細め、RZ34のリアを滑らせてポルシェの進路をえげつない角度で塞ぎに行く。柔和な「おじさん」の仮面の裏に隠された、極寒でタチの悪い絶対零度の性格が、完全に牙を剥いた瞬間だった。


若林「ちとせのRZ34が、フリスのケイマンGT4のイン突きを徹底的に潰しに行くゥゥ!! フリスもかつての冷徹な精密機械へと戻り、ミリ単位の接近戦でプレッシャーを掛けるッ!! 氷雪の獣神と復讐の執行人、もはやどちらの氷が上なのか全く分かりませんッ!!」


エアリ「……ふふ、空気が完全に変わりましたね。フリスさんが元の冷静さと残酷さを取り戻したことで、この二人の戦闘力は完全に拮抗しました。ちとせさんの『すべてを停止させる重い絶対零度』と、フリスさんの『計算し尽くされた冷酷な吹雪』。……若林さん、この二台が並走している空間だけ、物理法則すら凍りついて別の次元に切り離されているみたいですよ。」


火花と氷柱が飛び交う双竜の辻。

絶対的な王の誇りを取り戻したフリスと、冷酷な本性を現したちとせ。氷と氷が激突し合うトップ争いは、瞬きすら許されない極限の死闘へと突入した。


若林「さあ、双竜の辻の頂上決戦!! ちとせのRZ34とフリスのケイマンGT4が、完全に氷の回廊を並走していますッ!! 互いの冷気が激突し、バチバチと氷の火花が散っているアアア!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。火山ガスが凍結した6連ヘアピンの最深部にて、極限の氷雪ドッグファイトが繰り広げられていた。

先ほどちとせの底冷えする殺意に触れ、冷酷な「走る精密機械」としての本性を取り戻したはずのフリス。しかし、彼はポルシェ 718 ケイマン GT4のアルカンターラ巻きステアリングを握りながら、ちとせの深淵をさらに探るため、あえて再びあの「仮の性格」……少しいたずら好きで能天気な少女の振る舞い……を被って窓越しに声を張り上げた。


フリス「あはははっ! ねぇねぇ、ちとせちゃん! 君の放つ氷、すっごくカチカチで滑りやすいねー! 俺の甘ーいコットンアイススノーと混ぜたら、もっと面白いスケートリンクになりそうじゃない!? 一緒にスピンして遊ぼうよー!」


可憐な少女の容姿を持つフリスが、満面の笑みで能天気に語りかける。男でありながら少女のような姿を持つ彼が放つ無邪気な声。それは復讐の執行人としての冷徹な計算式(ロジック)を隠すための、極めて高度な心理戦(ブラフ)だった。一瞬でも相手のペースを乱し、わずかな隙を引き出すための罠。


しかし、ちとせの操る日産 フェアレディZ RZ34は、ミリ単位たりとも挙動を乱さない。蒼色のロングヘアを揺らすちとせは、フリスの仮面の裏にある冷酷な計算をすべて見透かしたかのように、もふもふの萌え袖で口元を隠し、のんびりとしたタメ口で返答した。


ちとせ「もへ〜……フリスちゃん、さっきまですごく怖い顔でおじさんを睨んでたのに、急に元気になったねぇ……。でもね、おじさん……そういう風に自分を偽って近づいてくるタチの悪い子は、芯までカッチカチに凍らせて、二度と笑えないようにしてあげたくなるんだよねぇ……。」


ちとせの口調はどこまでもおっとりとしているが、ブルーグレーの瞳は一切笑っていない。日産が誇るV6ツインターボが低い唸り声を上げると同時に、RZ34から放たれるマイナス数十度の絶対零度が、フリスのポルシェのドアパネルに真っ白な霜を這わせ、物理的な圧力となって押し寄せる。


フリス「(……チッ。やはり、俺の偽りの能天気など、この『氷雪の獣神』の底知れぬ狂気の前ではさざ波すら立てられないというのか。……だが、俺のミッドシップが描く完璧な旋回軌道は、貴様の放つ絶対零度の圧力すらもすでに計算式に組み込んでいるッ!!)」


心の中では冷酷に舌打ちをしながらも、フリスは表面上は愛らしい笑顔を崩さず、ケイマンの水平対向エンジンを吠えさせてアウト側からRZ34に車体をこすりつける。


エアリ「……ふふ、恐ろしい心理戦ですね。フリスさんはあえて少しいたずら好きで能天気な仮面を被ることで、ちとせさんの『絶対零度の本性』を揺さぶろうとしました。でも、ちとせさんの暗闇はそんな小細工で測れるほど浅くはありません。……氷の獣神と、復讐の執行人。若林さん、この二人の戦いは、もはや物理的な速さだけではなく、精神を削り合う次元に突入していますよ。」


氷と雪が乱舞する双竜の辻。

能天気な仮面を被ったフリスと、柔和な仮面の裏で殺意を研ぎ澄ますちとせ。二台の化け物は、互いの冷気と狂気を絡み合わせながら、地獄の6連ヘアピンを駆け抜けていく。


若林「なんだこのプレッシャーはアアア!! 吾妻の極寒地獄の中で、フリスが異様なテンションでちとせを煽っているゥゥ!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。火山ガスが完全に凍結した双竜の辻の6連ヘアピン。絶対王者としての冷徹な本性を隠し、再び「少しいたずら好きで能天気」な仮面をすっぽりと被ったフリスは、ポルシェ 718 ケイマン GT4の窓から身を乗り出さんばかりの勢いで、満面の笑みを浮かべて叫んだ。


フリス「もっとボクと遊んでよ〜ちとせちゃーん☆!!!!」


可憐な少女の容姿を持つフリスが、あえて「ボク」という一人称を使い、星マークが飛ぶような無邪気な声でトップを走るちとせを挑発する。それは、甘く極寒の『コットンアイススノー』をさらに激しく撒き散らしながら、相手のペースを極限まで乱そうとする、彼なりのタチの悪い心理的ブラフだった。ミッドシップ特有の鋭い回頭性を活かし、フリスは凍結路面をスケートリンクのように滑りながら、RZ34のリアバンパーへコツンと触れるか触れないかの距離でじゃれつくようなフェイントを繰り返す。


しかし、ちとせの操る日産 フェアレディZ RZ34は、その甘い誘惑と挑発に一切動じなかった。蒼色のロングヘアと、もふもふの萌え袖に包まれたロリっ娘の容姿。だが、そのブルーグレーの瞳は、底なしの暗淵のように冷たく澄み切っている。


ちとせ「もへ〜……フリスちゃん、可愛い顔して、すっごく悪い子だねぇ。おじさん、そういう風に馴れ馴れしくちょっかいを出してくる子は……芯から凍らせて、バラバラに砕きたくなっちゃうんだよねぇ。」


ちとせののんびりとしたタメ口がコクピットに響いた瞬間、RZ34から放たれる『絶対零度の冷気』がさらに質量を増した。フリスの能天気な『コットンアイススノー』が、ちとせの放つタチの悪い冷気の圧力に押され、空中でパキパキと音を立てて凍りつき、重力に負けて落下していく。

遊び半分の仮面を被ったポルシェの動きに対し、ちとせは一切の容赦なく、完全にラインを塞ぐえげつないブロックラインを構築し始めた。インを突こうとするフリスの鼻先へ、RZ34の重い車体を正確にねじ込み、氷の壁に押し潰そうとするかのような残忍なコーナリング。


若林「ちとせええええッ!! フリスの能天気な挑発に対し、RZ34の車体ごと完全に潰しにかかるようなえげつないブロックだアアア!! ロリっ娘の容姿をしたおじさんが、そのタチの悪い絶対零度の本性を隠そうともしないッ!!」


エアリ「……ふふ、恐ろしいですね。フリスさんの『ボクと遊んでよ』という甘い罠も、ちとせさんの前では完全に逆効果だったみたいです。……ちとせさんは、自分に牙を向く相手には、笑顔のまま最も残酷な結末を与える氷雪の獣神。フリスさん、その無邪気な仮面が顔に張り付いたまま、永遠の氷像にされてしまいますよ?」


ガキンッ!! ギャリギャリギャリィィィ!!!!


双竜の辻の凍てつくヘアピンの頂点で、ポルシェとフェアレディZのホイール同士が激しく接触し、極寒の火花が夜の闇を照らし出す。

能天気な仮面で揺さぶりをかける復讐の執行人と、のんびりとした口調の裏で絶対的な死を突きつける氷雪の獣神。二台の化け物が織りなす狂気のドッグファイトは、もはや後続の花やサテラすらもおいそれと近づけない、絶対零度の特異点と化していた。

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