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86伝説エーペックス  作者: SAI
吾妻GT編
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499/534

吾妻編第39話 絶対王者フリス

若林「闘争心剥き出しのケイマンGT4! フリスの進化に目が止まらない!!!! 絶対にライブ視聴者全員、この歴史的瞬間を見逃すなアアアア!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。土湯峠の荒々しい連続ヘアピンへと差し掛かるダウンヒル区間において、ポルシェ 718 ケイマン GT4の水平対向6気筒自然吸気エンジンが、限界まで回された悲鳴のようなエキゾーストノートを轟かせている。


これまで、いかなる状況下でも感情を排し、自らを「走る精密機械」と定義してきた絶対王者、フリス。彼の放つ『コットンアイススノー』は、ただ静かに相手の熱を奪うだけの冷酷な粉雪だった。しかし今、彼のポルシェから吹き荒れる雪は、明確な「怒り」と「熱」を帯びた猛烈な吹雪へと変貌を遂げていた。


フリス「……逃がさんぞ、山吹 花。我の計算式に泥を塗った代償、その青いボディに深く刻み込んでやる……!! 閻魔天の裁きから、お前だけが逃れられると思うなッ!!」


フリスのステアリング操作は、かつての計算し尽くされた無機質なライン取りから、獲物の息の根を止めるための本能的な「獣の軌道」へと変化していた。


ミッドシップ特有の鋭い回頭性を武器に、コーナーの度にWRXのイン側へと鋭くノーズを突き出し、強烈なプレッシャーを与え続ける。


山吹 花「……ふふっ。ようやく機械の仮面が剥がれて、素顔を見せてくれたみたいね、フリスさん。でも、ただ怒りに任せて吠えるだけの獣なら、私の敵じゃないわ。」


バックミラーに映る猛吹雪を見据えながら、花は生意気で気高い笑みを浮かべる。彼女はSUBARU WRX STI VABの強靭なAWDシステムを信じ抜き、一切の隙を見せない。フリスがインを突こうとすれば、絶妙なブレーキングでブロックラインを構築し、ポルシェの立ち上がり加速を徹底的に封じ込めていく。それは「青い電撃の桜狼」という新たな二つ名に相応しい、冷静かつ獰猛な防衛戦だった。


若林「山吹 花、一歩も引かないッ!! 覚醒したフリスの猛攻を、完璧なライン取りで抑え込んでいるアアア!! 氷の女王と化した彼女の前に、絶対王者の牙が届かないッ!! 凄まじいドッグファイトだアア!!」


エアリ「……ふふ、見事な攻防です。フリスさんの『進化』は確かに脅威ですが、花さんもまた、このバトルの中で恐ろしいほどの速度で研ぎ澄まされています。……彼女の心にあるのは、自分が強大な壁となって、カナタさんや伊藤くんたち後方の仲間を引っ張り上げるという強い意志。フリスさん、あなたの個人的な復讐の闘争心では、彼女が背負っている『仲間への想い』という分厚い氷の壁は溶かせませんよ。」


ガギャアアアッ!!!!

クオオオォォォォォォンンン..!!!!


二台の極限のバトルは、タイヤのスキール音と砕け散る氷の結晶を夜空に撒き散らしながら、土湯峠の最深部へと突入していく。


絶対王者のプライドを懸けた逆襲か、それとも氷の女王の完全防衛か。瞬きすら許されない極限のサイド・バイ・サイドが、ライブカメラを通して全世界の視聴者を完全に釘付けにしていた。


若林「並走しているううう!!!山吹花のVABもフリスの718ケイマンGT4もやばいです!!!!」

「コーナーも並走できましたアアアア!!!!!もう後退れない香りしかしませエエエエん!!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。土湯峠の地獄のような連続ヘアピンにおいて、常軌を逸した光景が繰り広げられていた。


イン側を抉るように突き進むスバルブルーのSUBARU WRX STI VABと、アウト側から覆い被さるように車体を寄せるポルシェ 718 ケイマン GT4。


通常であれば、どちらかがブレーキを遅らせるか、あるいはラインを譲らなければ確実にクラッシュする極限の旋回角。しかし、氷の女王と化した山吹 花と、闘争心を剥き出しにした絶対王者フリスは、互いに一歩も引くことなくコーナーのアペックス(頂点)へと二台同時に突っ込んでいった。


山吹 花「……あら、まだ並んでくるの? フリスさん。絶対王者のプライドも結構だけど、この土湯峠の狭いコーナーで、私のWRXとサイド・バイ・サイドをやり合うなんて正気かしら? これ以上踏み込めば、あなたのその美しいポルシェのボディ、ガードレールと私の車でサンドイッチになっちゃうわよ?」


花は極限の横Gに耐えながらも、涼しげで生意気な笑みを崩さない。彼女の放つ極寒の冷気は、WRXのDCCDが叩き出す異次元のトラクションと完全に同期し、四輪すべてがアスファルトに氷の爪を立てるように強烈にグリップしていた。


フリス「……ほざけッ! 小娘が!! 我がポルシェのミッドシップ・レイアウトが描く旋回性能を、その重たい四駆と同列に語るなッ!! お前が引かないというのなら、我はこのまま0.1ミリのクリアランスでねじ伏せてやるまでだ!! 閻魔天の裁き、その身で味わえッ!!」


フリスの怒号と共に、ケイマン GT4の水平対向6気筒自然吸気エンジンが悲鳴にも似た高周波サウンドを奏でる。彼は「走る精密機械」としての驚異的な空間把握能力を全開にし、花との接触ギリギリのラインを維持したまま、ポルシェ特有のリアの沈み込みを利用して凄まじい旋回速度を叩き出した。

焦げたゴムの臭いと、高回転まで回されたエンジンの熱気。そして二人が放つ極寒の吹雪が激しく衝突し、異様な『香り』となって夜の峠を満たしていく。


ガガガガッ!! ギャリィィィィィン!!!!


二台のドアミラーが触れ合わんばかりの超接近戦。両者共に一瞬たりともアクセルを緩めることなく、土湯峠のタイトコーナーを完全に並走した状態でクリアしていく。


エアリ「……なんて恐ろしい光景。若林さんの言う通り、これはもうどちらかが退くという選択肢は完全に消滅しましたね。二人の極寒のオーラが完全に絡み合い、もはや一つの巨大な氷の結晶となって山を下っています。……花さんの『仲間を守るための意地』と、フリスさんの『王のプライド』。この狂気のドッグファイト、果たして次に限界を迎えるのはどちらの氷でしょうか。」


火花を散らしながら並走を続けるスバルブルーのVABと、復讐の焔に燃えるポルシェ。

互いの気質を認め合いながらも、絶対に譲れない意地がぶつかり合う3位争いは、誰にも結末の読めない極限状態へと突入していた。


若林「さらにイイイイ!!!!! なんだこりゃあああああ!!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。3位争いの極限のドッグファイトが全世界の視聴者を釘付けにしているその裏で、実況席の別モニターが、さらなる異常事態を映し出していた。土湯峠分岐点を抜けた直後に待ち受ける、すり鉢状の低速バンクコーナー。そこで、数千万クラスのスーパーカー二台が、およそ公道レースとは思えない凄惨な物理的接触を引き起こしていた。


ドガガガガッ......!!!!

ドガアアアアアン!!!!!!!


カーボンファイバーとアルミニウム合金が暴力的に叩きつけられ、鼓膜を破るような破砕音が吾妻の夜空に響き渡る。


内藤 セリナ「きゃあああああっ!? ちょ、ちょっと! 当たってる、当たってるってばァァッ!! 私のR8に何すんのよこの跳ね馬ァ!! V10エンジンが泣いてるじゃないのよォォ!!」


クリスタ・ニールセン「……フッ。邪魔よ、アウディ。悲鳴ばかり一丁前で、ちっとも前に進んでいないじゃない。この土湯峠の狭いバンクでインを開けるなんて、フェラーリに喰い殺してくれと言っているようなものだわ。」


真っ赤なフェラーリ 488GTSが、その流麗なボディに似合わぬ凶暴なライン取りで、内藤 セリナの操るアウディ R8 V10 plusのインサイドへと強引にねじ込まれていた。ミッドシップV8ツインターボの暴力的なトルクが、R8のクワトロ(四輪駆動)システムによる粘りを、物理的な質量と加速で壁に押し当てようとする。

バンパー同士が激しく削れ合い、オレンジ色の火花が夜の闇を真昼のように照らし出した。


若林「なんと内藤 セリナのR8とクリスタ・ニールセンの488GTSが、まさかの土湯峠分岐点からの低速バンクでFerrariが追い詰めてぶつかり合いが勃発!!!!!!」

「後方でも先頭でも大変なことが始まって来たアアアア!!!! 吾妻スカイラインが、完全に理性を失った鉄の獣たちの闘技場と化しているッ!!」


エアリ「あー..そろそろやばそうですね。」


若林の絶叫とは対照的に、解説席のエアリはモニターを見つめながら、どこかおっとりとした、しかし確かな警告を含んだ声をこぼした。


エアリ「……わたしには見えます。この吾妻の山全体に、ドライバーたちの熱気と殺気が異常な『圧力』となって充満してきているのが。……クリスタさんのフェラーリは、セリナさんのR8を土手代わりのクッションとして利用し、低速バンクの旋回速度を無理やり上げようとしています。」

「……ルール無用のデスゲーム。トップのちとせさんや花さんの放つ『極寒』のオーラですら、このコース全体から立ち昇る『熱狂』を冷ましきれなくなってきましたね。……ふふ、わたしの砂嵐で、一度全員の頭を冷やしてあげたくなっちゃいます。」


後方で勃発した数千万クラスのスーパーカーによる、クラッシュスレスレの肉弾戦。

吾妻のダウンヒルは、上位も下位も関係なく、生き残りを懸けた狂気のサバイバルへとその様相を完全に変貌させていた。


若林「フェラーリが..R8を押し上げたアアアア!!!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。土湯峠のすり鉢状になった低速バンクコーナーで、数千万クラスのスーパーカー同士による禁断の肉弾戦が限界を突破した。

クリスタ・ニールセンの操る真っ赤なフェラーリ 488GTSが、イン側から凄まじい横Gを伴って、アウト側を走る内藤 セリナのアウディ R8 V10 plusのボディサイドへと容赦なく車体を叩きつける。


ガアアアアアンッ!!!


カーボンファイバーとアルミニウム合金がひしゃげる鈍い轟音が、夜の峠に響き渡る。フェラーリの鋭いフロントノーズがR8のドアパネル下部に潜り込むような形になり、アウディの車体がバンクの外側、斜面の上方へと物理的に押し上げられていく。自慢のクワトロ(四輪駆動)システムが宙を掻いて空転し、V10エンジンが悲痛な叫びを上げた。


内藤 セリナ「....やってくれたじゃないのよオオオオ!!!! アウディ舐めんなアアアア!!!!!」


「絶叫のフミッパ」こと内藤 セリナの怒りが、ついに沸点に達する。高級車の美しいボディが傷つくことへの恐怖など、すでに彼女の頭からは完全に吹き飛んでいた。セリナはステアリングを強引にイン側へと切り返し、バンクからずり落ちる自重とV10エンジンのフルパワーを利用して、フェラーリを上から力ずくで押し潰しに掛かる。オレンジ色の火花が激しく散り、二台のマシンが完全に絡み合ったままコーナーを旋回していく。


クリスタ・ニールセン「(……アウディなんてただのハイパワーの四駆なだけでしょ? くだらない。誰が乗ってもそこそこ速く走れるように、電子制御でガチガチに固めただけの退屈な優等生。)」


クリスタは、上から覆い被さってくるR8の重圧に顔をしかめながらも、その瞳には絶対的なフェラーリ至上主義の冷たい光を宿していた。彼女の指先が、ステアリング裏のカーボン製パドルシフトを弾く。


クリスタ・ニールセン「(モータースポーツの歴史を作ってきたのは我々よ。F1でいち早くパドルシフトを開発し、オートマがマニュアルよりも圧倒的に速いことを見せつけた、輝かしい跳ね馬の系譜。……フェラーリこそ最強よ……!!!! その泥臭い四駆の意地ごと、私のV8ツインターボで引き裂いてあげるわッ!)」


若林「押し上げられたR8が、今度はフェラーリに上から被さりに行くゥゥ!! 内藤 セリナ、決死の反撃だアアア!! 数千万の修理代など知ったことかと言わんばかりの、壮絶な削り合い!!」


エアリ「……ふふ、セリナさんの怒りのボルテージが最高潮ですね。でも、クリスタさんも全く引く気配がありません。彼女のプライドは、フェラーリというブランドの歴史そのものと直結している。……血統を重んじる跳ね馬と、四駆の絶対的な安定性を誇るアウディ。どちらの『最強』がこの泥沼のインファイトを制するのかしら。……でも、二人ともあまり熱くなりすぎると、この吾妻の闇に本当に呑み込まれてしまいますよ。」


火花と焦げたカーボンの匂いを撒き散らしながら、真っ赤なフェラーリと純白のアウディが、土湯峠の低速バンクを文字通り「削り合い」ながら立ち上がっていく。後方集団で勃発した狂気は、吾妻の夜をさらに熱く燃え上がらせていた。


若林「そして再び先頭グループ!!! ..並んだアアアア!!!!!!」


吾妻スカイライン、1周目セクター3。後方で勃発したスーパーカーの凄惨な接触事故をよそに、土湯峠の最深部を切り裂くトップ集団では、氷の女王と絶対王者の死闘がさらにその熱度を上げていた。

山吹 花の操るSUBARU WRX STI VABが完璧なラインでコーナーを立ち上がろうとしたその瞬間、アウト側から覆い被さるようにしてポルシェ 718 ケイマン GT4が再びノーズをねじ込んできたのだ。


若林「山吹 花に再びピンチが迫るううう!!!!! 復讐の執行人・フリス!! 一度抜かれた雪辱を果たすべく、エンジンを限界まで回してVABのアウト側に張り付いているッ!!」


水平対向6気筒自然吸気エンジンが、ポルシェのリアで悲鳴のような高周波サウンドを奏でる。フリスは、自身の放つ『コットンアイススノー』の吹雪をさらに激しくし、花のWRXを包み込もうとする。先ほどの「計算されたライン」はとうに捨て去り、獣のような本能と復讐心だけでステアリングをこじ開けていた。


フリス「……小娘ッ! その生意気な口、二度と叩けぬようにしてやる!! 我のポルシェの前に平伏せェェッ!!」


山吹 花「……あら、しつこい女は嫌われるわよ、フリスさん。その程度のアイススノーじゃ、私の心もこの車のタイヤも凍らないって、まだ分からないの?」


花はバックミラーに迫る猛吹雪を一瞥し、WRXのDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)のセッティングを瞬時に変更する。リアへのトラクションを強め、立ち上がりのオーバーステアを誘発させて、フリスのポルシェをアウト側へと弾き出そうという強気な判断。

普段の面倒見のいい彼女からは想像もつかない、勝負師としての冷徹な顔がそこにあった。


山吹 花「(……ここで引くわけにはいかない。私がこの王者を抑え込めば、カナタくんや伊藤くんたち後続のプレッシャーが少しでも和らぐはず……! 氷の女王の力、見せてあげるわ!)」


花がアクセルを踏み込むと、EJ20エンジンの図太いボクサーサウンドが吾妻の夜空に轟き、スバルブルーの車体からさらに鋭い冷気が放たれる。フリスのコットンアイススノーと花の極寒の冷気が空中で激突し、巨大な氷の結晶となってコース上に散乱した。


エアリ「……ふふ、見事ですね。花さんの『守るための冷気』と、フリスさんの『復讐の雪』。完全に拮抗しています。フリスさんの怒涛のプッシュを、花さんはWRXの四駆システムと自身の強い意志で完璧に受け流している。……でも若林さん、この並走状態、長くは続きませんよ。この先の土湯峠の高速S字コーナー、あそこは並んで入れるほど甘い道じゃありません。……どちらかが引くか、それとも……。」


二台の極寒のオーラが絡み合い、火花を散らしながら土湯峠の奥へと消えていく。氷の女王と絶対王者の、一歩も譲れぬサイド・バイ・サイド。その結末は、すぐ目の前に迫っていた。


若林「吾妻山ダウンヒルにそびえ立つ見晴らしの観光スポットであり、6連ヘアピンにガストラップのある最大の難所、双竜の辻!!!」

「逃げるちとせのRZ34と追う蒼真のFL5! そのすぐ後ろから、死闘を演じるフリスのケイマンと山吹 花のWRXが異常なスピードで迫る中、恐怖の連続コーナーへと突入していきます!!!!」


吾妻の山肌に口を開けたような巨大なすり鉢状の地形、「双竜の辻」。昼間は絶景の観光スポットとして知られるこの場所も、深夜のレースにおいては最悪の牙を剥く。活火山である吾妻山特有の硫黄の匂いを含んだ濃密な火山ガスが、予測不能なタイミングで路面に吹き出し、視界を奪い、エンジンの吸気を乱す「ガストラップ」が仕掛けられた恐怖の6連続ヘアピンコーナーだ。


純白のホンダ シビックタイプR FL5を操る「純白の追跡者」柊 蒼真は、研ぎ澄まされた集中力で迫り来る濃霧の壁を睨みつけていた。


柊 蒼真「……この先はガストラップだ..!! 一瞬の抜かりも許されない...!! 破綻したら水の泡だ....!!!!」


蒼真は、FF最速の称号を持つFL5のフロントタイヤの限界グリップを神経の糸で探りながら、ガスの切れ間を縫うように正確なブレーキングをキメる。ほんのわずかでもアクセルワークを誤れば、ガスの影響でエンジンのトルクが抜け、崖下へと吸い込まれる極限の領域。


しかし、その蒼真の前を走る「氷雪の獣神」ちとせのRZ34は、ガストラップの恐怖など微塵も感じさせない。蒼色の髪を揺らし、もふもふの萌え袖で軽やかにステアリングを回す彼女は、のんびりとした口調で独りごちた。


ちとせ「もへ〜……おじさんの後ろ、ずいぶんと騒がしくなってきたねぇ。蒼真くんも頑張るけど、後ろの青い子たちも元気いっぱいだぁ。……でもね、このガスの臭い、おじさんあんまり好きじゃないんだよねぇ。」


ちとせがアクセルを踏み込むと、RZ34のツインターボが絶対零度の冷気を吐き出し、立ち込める火山ガスを一瞬にして凍結・粉砕していく。


そして、その絶対零度の軌跡をなぞるように、後方から強烈な二つのオーラが雪崩れ込んできた。


山吹 花「トップが見えたわ……! 蒼真くんに、ちとせさん……! フリスさん、ここであなたと遊んでる暇はなくなったみたいね。私のWRXで、あの先頭集団ごとまとめて飲み込んであげる!」


フリス「(チッ……! 小娘のあの得体の知れない嫌なオーラに当てられている間に、先頭に追いついてしまったというのか……! 吾妻のガスごとき、我の『コットンアイススノー』の前ではただの霞! 閻魔天の裁きを、トップの二台にも下してやるッ!)」


エアリ「……ふふ、若林さん、ついに先頭の二台に、氷の女王と絶対王者が追いつきましたよ。双竜の辻のガストラップは、エンジンの燃焼効率を下げ、ドライバーの平常心をも奪います。ですが、極寒の冷気を操るちとせさん、花さん、フリスさんの三台にとっては、ガスを凍らせて突き進む絶好の猟場。……蒼真さん、あなたの純白のFL5だけで、この三つの吹雪と毒ガスを生き残れますか?」


ドガァァァァッ!! キュインキュイィィン!!!


一つ目のヘアピン。ちとせのRZ34が冷気のテールスライドでガスを切り裂き、その真後ろに蒼真のFL5が食らいつく。さらにその後方、わずか車一台分の隙間に、花のスバルブルーのWRXとフリスの真っ白なポルシェが、並走状態を維持したまま強引にノーズをねじ込んでいく。

四台のエキゾーストノートが複雑に絡み合い、火山ガスと氷の結晶が乱舞する。一歩間違えれば四重クラッシュという極限の超接近戦。誰一人としてブレーキを譲らない、まさに狂気の双竜の辻。

1位から4位までのトップ集団が完全に一つの塊となり、吾妻の夜に未曾有のブリザードを巻き起こす!

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