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86伝説エーペックス  作者: SAI
吾妻GT編
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460/535

吾妻編第1話 王者の葬式

K407新章開始!!!!

なろう版86伝説は6月4日で1周年!これからもよろしくね!!!

翌日。

福島県内のとある葬儀場は、異様な雰囲気に包まれていた。

一般の参列者に混じり、明らかに「走り屋」としての気配を纏った集団が、長い列を作っていたからだ。


祭壇の中央には、穏やかに微笑む吉田ノリアキの遺影。

そしてその横には、彼が愛し、共に伝説を築き上げた『漆黒のNSX NA1ターボ』のパネルが飾られていた。


焼香の列には、そうそうたるメンバーが並ぶ。


腹切カナタ、伊藤翔太、伊藤乎太郎。

彼らは沈痛な面持ちで手を合わせた。

「速さ」という純粋な夢を見せてくれた先駆者への、感謝と別れ。


山吹 花「……吉田さん。

貴方の走りは、私のWRXの目標でした。どうか安らかに」


花は深く頭を下げた。

その隣には、岩手から駆けつけた相川美保の姿もあった。

R33 400Rを駆る彼女もまた、北の地で吉田の伝説を聞き及んでいた一人として、静かに祈りを捧げた。


そして、列の後方には、意外な人物もいた。


黒川 海斗「…………」


昨夜、盛大にシバかれたばかりの黒川だ。

ランエボXを操る彼は、不貞腐れたような表情こそ崩していなかったが、その目は祭壇のNSXをじっと見つめていた。

敵だろうが味方だろうが、「速い奴」への敬意だけは持っている。それが黒川という男だった。


だが、参列者たちが何より驚いたのは、その人物の存在だった。


岡田 大成「……親父、順番だよ」


GRヤリスに乗る岡田大成。

米沢では精彩を欠き、ランキングも下位に沈んだ彼だが、今日は背筋を伸ばしていた。

そして、その隣には、彼によく似た、しかし遥かに重厚なオーラを放つ初老の男が立っていた。


岡田の父「……ああ」


短く答え、焼香台に進み出る岡田の父。

その手つき、立ち振る舞い。ただの「保護者」ではない。

オイルと鉄にまみれ、極限の世界を知る者特有の空気が、その背中から漂っていた。


古田「(ほう……。あの男、来おったか……)」


参列していたHURUTAWORKSの古田だけが、岡田の父を見て、鋭く目を細めた。

絶対王者の死は、過去の因縁をもこの場に呼び寄せていたのだ。


焼香の煙が静かに立ち昇る中、突如として怒号が響き渡った。

それは、岡田大成の隣に立つ男――岡田の父から発せられたものだった。


岡田の父「くだらねェな、どいつもこいつも、、、!

アイツは昔から漂う腐った埃や塵芥(ゴミ)な存在だった、、、!!」


彼は祭壇の遺影を指差し、唾を吐き捨てるように叫んだ。

会場が凍りつく。

参列していた花や勇太、黒川でさえも、あまりの暴言に言葉を失った。


岡田の父「才能もない価値もない、ただの敗北者だったんだ、、、、、、っ!!!」


彼は周囲の視線など意に介さず、過去の因縁をまくし立てた。


岡田の父「吉田は俺と昔同じ高校だった。

出世して間もなく、アイツはゴミばかりの河川敷で腐った食べ物を貧しく食べていたんだ、、、、!!

レースだ何だと夢を見て、結局は野垂れ死にだ!!」


成功や金、地位。そういった「社会的価値」のみを信奉する彼にとって、全てを車に捧げ、清貧を貫いた吉田の生き様は、唾棄すべき「敗北」でしかなかったのだ。


そして、その矛先は、隣で俯いていた息子・大成へと向けられた。


岡田の父「岡田アアアア!!!!

いつまでもそんなクソみたいにしみったれた顔すんじゃねェ!!!!!

テメェもアイツみたいになりてェのか!?

勝てなきゃゴミだ! 負け犬の葬式なんかで涙流してんじゃねェッ!!!!!!」


岡田はビクリと肩を震わせ、唇を噛み締めて耐えるしかなかった。

父の言葉は絶対。その呪縛が、GRヤリス乗りの彼を縛り付けていたのだ。


だが、その沈黙を破る、一人の若者の声が響いた。


腹切 カナタ「ちょっと...っ!!あまりにも酷すぎますよ!!!!」


カナタだった。

彼は拳を握り締め、震える体で岡田の父の前に立ちはだかった。

吉田への敬意、大成への同情、そして何より、人の死を嘲笑うその態度が許せなかった。


腹切 カナタ「吉田さんは……俺たちの目標だった人です!

それに、大成だって必死に走ってる!

そんな言い方、あんまりじゃないですかッ!!!」


岡田の父「ああん……?」


岡田の父は、自分に意見した若造を、ゴミを見るような目で見下ろした。


岡田の父「なんだお前はアアアア!!??

どこの馬の骨だか知らねェが、負け犬同士で傷の舐め合いかァ!?えぇッ!!?」


会場の空気が張り詰める。

英雄の葬儀は、世代と価値観を巡る、最悪の喧嘩(トラブル)へと発展しようとしていた。


岡田の父の怒りは、頂点に達していた。

吉田への憎悪、そして自らの期待を裏切り続ける息子への苛立ち。

その全てが、暴力となって噴き出した。


岡田の父「岡田、テメェ良くもノコノコと20位なんかで帰ってきやがったな、、、、!!!

恥さらしがッ!!!」


彼は大成の胸ぐらを掴もうとし、振り払われた勢いでさらに激昂した。


岡田の父「お前もどうせ塵芥(ゴミ)ってワケだ! あ!??」

「父ちゃんに逆らうやつはーー!!」


ブンッ!!

大人の男の、体重の乗った重い拳。

それが、抵抗することすら忘れて立ち尽くす大成の顔面へと振り下ろされた。

大成は目を瞑り、いつものように痛みが過ぎ去るのを待とうとした。


だが。

その痛みは訪れなかった。


バシィィィィィッ!!!!


乾いた衝撃音が、静まり返った葬儀場に響き渡る。


岡田の父「あ……? な、何だ……!?」

大成「……え?」


恐る恐る目を開けた大成の視界に映ったのは、自分の顔の数センチ手前で、父の拳を片手でガッシリと受け止めている、喪服姿の女性の背中だった。


山吹 花「…………」


その瞬間!!

岡田に差し掛かる拳を花が受け止める、、、、!!


彼女の手は震えていない。

WRXのステアリングをねじ伏せ、強烈なGに耐え抜く彼女の腕力と握力は、暴力を振るうだけの男の腕など、容易く止めて見せたのだ。


岡田の父「な、なんだこのアマ……ッ!?離せッ!!!」


岡田の父が腕を引こうとするが、花の指は万力のように食い込み、ピクリとも動かない。

花はゆっくりと顔を上げ、氷点下の瞳で男を睨みつけた。


山吹 花「……そこまでにしなさいよ。ここは神聖な場所。それに……」


花は掴んだ拳を、ゴミでも見るかのように強く握り潰しながら、静かに、しかしドスを効かせて告げた。


山吹 花「その手は、ステアリングを握るためにあるの。

アンタのストレス発散のために、殴られるための道具じゃないわ!!」


その気迫は、まさに「桜狼」。

スバルの青き守護神が、理不尽な親父の前に立ちはだかった。


岡田の父の拳を受け止めたまま、花は静かに目を伏せた。

物理的な力で止めても、この男の腐った根性は変わらない。

ならば、魂の格の違いを見せつけるしかない。


山吹 花「こうなったら、、、、、」


彼女が呟くと同時に、葬儀場の空気がねじれ、重苦しいプレッシャーが空間を支配した。

花の周囲から、いつもの青いオーラが消え、代わりに底なしの闇が滲み出す。


ズズズズズ……ッ!!


彼女が虚空に手を伸ばすと、そこにはあり得ない質量の物体が現れた。

身の丈ほどもある、巨大な漆黒の刃。


花が黒い大剣を両手で握る、、、、

そこから黒い炎が、、、、!!!


ゴオオオォォォォッ!!!!


それは、弔いの灯火などではない。

触れるもの全てを無に帰す、破滅の黒炎だった。

WRXのボクサーサウンドのような重低音が、大剣から響き渡る。


岡田の父「ひッ……!? な、なんだそれは……!?」


岡田の父は、あまりの熱量と殺気に後ずさりした。

そして、その「黒い炎」と「大剣」の姿に、ある忌まわしい記憶を重ね合わせた。

かつて、吉田と共に伝説を築いた、もう一人の英雄。


岡田の父「そうか、、、お前、、、、

『クロス』の娘だな、、、!??

あの伝説の……!!」


彼は脂汗を流し、信じられないものを見る目で花を指差した。


岡田の父「いい気になりやがって、、、、!!!!!

英雄の娘だからって調子乗んじゃねェ!!!!

親の七光りで、俺に刃を向ける気かァッ!!!」


彼は恐怖を怒鳴り声で誤魔化そうとしたが、足の震えは止まらない。

花は何も言わず、ただ静かに、黒炎を纏った切っ先を男の喉元へと向けた。

その瞳は、もはや「店員のお姉さん」のものではない。

伝説の血を継ぐ、修羅の目だった。


岡田大成の叫びが響き渡り、父の暴走を止めた直後。

花が黒い大剣を収め、古田も沈黙を守る中で、その場にはまだ重い空気が漂っていた。


その時だった。


吉田さんの棺の前に、ずっと静かに立っていた一人の少女が、ゆっくりと岡田の父の元へと歩み寄った。

ピンクのロングヘアが床に届くほど長く、青い瞳はまるで澄み切った泉のようだ。

頭には小さな白いケモ耳があり、神々しいほどのオーラを放っている。

身長はセシルと同じくらいだろうか、120センチ程の小さな体だった。


誰もがそのあまりの存在感に息を飲んだ。


少女は何も言わず、岡田の父の顔を見上げた。

そして、その小さな指を一本立てると、彼の額に優しく……しかし、電光石火の速さで**デコピン**した。


ピタァァァン!!!!


音は、まるで野球の硬球が壁に叩きつけられたかのような、乾いて重い衝撃音だった。

「な、なにを……!?」

岡田の父は、何が起きたのか理解できないまま、コマのようにくるくると回転し、そのまま館内の端っこまで吹き飛ばされた。

壁に激突する鈍い音が響き、父は呻き声一つ上げられず、意識を失ったようにピクリとも動かない。


大成「え……!?」


あまりの出来事に呆然とする大成に、少女はふわりと微笑みかけた。


ヴィヴァーチェ「お怪我はありませんでしたか? 岡田大成さん」


少女の声は、透き通るような美しいソプラノだった。

大成は呆然としながら、首を横に振る。


岡田大成「あ、、、いえ、、、」

(え? かわいい、、、、、、)


そして、彼女は大成の目を見て、優しく、しかし確信に満ちた口調で続けた。


ヴィヴァーチェ「あなたの気持ち、とてもお分かりになられますよ、、、。

私にも、ああいう『うるさい大人』が、過去にいましたから」


その言葉と、穏やかな表情の裏に隠された、どこか遠い過去を感じさせる深い眼差し。

少女の登場は、葬儀場の空気を一変させ、そして岡田大成の心に、新たな光を灯した。


岡田の父をデコピン一発でスクラップにした少女、ヴィヴァーチェ。

彼女は倒れた男には目もくれず、くるりと軽やかに振り返った。

その視線の先にいたのは、冷や汗を流しながら後ずさりしようとしていたカナタだった。


ヴィヴァーチェ「あれ? カナタくんじゃないですか、、、☆」


ヴィヴァーチェは小悪魔のような笑みを浮かべ、カナタの元へトコトコと歩み寄った。

その態度は、先ほどまでの神々しさはどこへやら、最高に生意気で不遜なものだった。


カナタ「あ、、、、、」


カナタは苦虫を噛み潰したような、それでいて少し懐かしそうな、複雑な表情で固まった。


山吹 花「……ちょっとカナタ。知り合いなの?」

伊藤 翔太「知り合いか? カナタ、、、。こんな規格外の幼女とどこで……」


二人の問いに、カナタは頬を掻きながら視線を泳がせた。


カナタ「うん、、、まあ、色々あってな、、、。

こいつ……いや、ヴィヴァーチェは、見た目はこんなだけど、中身はとんでもない『世界の獣神』なんだ」


ヴィヴァーチェ「こいつ、とは失礼ですねぇ☆

相変わらず鈍臭いんだから、カナタくんは。

せっかく私が助けてあげたのに、感謝の言葉もなしかちら〜? ん〜?」


ヴィヴァーチェは120センチの身長を存分に活かし、カナタの膝あたりをポカポカと叩きながら、上から目線で煽り散らす。

「世界の獣神」という、宇宙規模の肩書きを持っているはずなのに、その振る舞いは完全に「生意気なガキんちょ」そのものだった。


ヴィヴァーチェ「ま、あんなゴミ掃除くらい、私のデコピン一発で十分ですけどね☆

お礼に、後で私に最高級のアイスでも献上しなさいよねっ!」


カナタ「はいはい、わかったよ……。

(……相変わらず、タチが悪いなぁ)」


大成が「(かわいい……)」と頬を染めていた隣で、カナタだけはこれからの苦労を予感して深く溜息をついた。

ヴィヴァーチェはカナタの膝を叩くのをやめ、スッと背筋を伸ばした。

その顔には、先ほどまでの子供っぽい笑みではなく、どこか冷徹で、それでいて丁寧な微笑が浮かんでいた。


ヴィヴァーチェ「……失礼いたしました。少々、はしゃぎすぎてしまいましたね☆」


山吹 花「(えっ、急に敬語……!?)」

伊藤 翔太「(豹変しすぎて逆に怖え……)」


周囲が戸惑う中、ヴィヴァーチェは澄んだ青い瞳でカナタをじっと見つめた。

その眼差しは、相手の魂の底まで見透かして、品定めしているかのようだ。


ヴィヴァーチェ「ところでカナタくん、、、あなたの一人称は?」


唐突な質問だった。

カナタは不意を突かれ、少し面食らったように答えた。


カナタ「え……? 一人称?

……普通に『俺』だけど」


ヴィヴァーチェ「……『俺』、ですか。

ふふっ、今のあなたには、少しその言葉が重すぎるのではありませんか?☆」


ヴィヴァーチェは口元を隠してクスクスと笑った。

丁寧な言葉遣い。しかし、その内容はカナタの「覚悟」を鋭く抉るような生意気なものだった。


ヴィヴァーチェ「吉田さんのような『絶対王者』は、自分の言葉に責任を持っていました。

あなたが『俺』と名乗り、その86を操るというのなら……

次の『吾妻』では、その言葉に見合った走りを見せていただかないと困りますね☆」


カナタ「…………っ」


カナタは言葉に詰まった。

ヴィヴァーチェの敬語は、まるで真綿で首を絞めるような、逃げ場のない圧力を秘めていた。

世界の獣神――彼女はただ生意気なだけでなく、この場の誰よりも「走りの本質」を理解しているようだった。


カナタの「俺」という返答を聞いた瞬間、隣にいた伊藤翔太が、まるで未確認物体を見たかのような顔をして声を上げた。


伊藤 翔太「あれ? 確かこの前まで『僕』とか言ってなかったか、カナタ、、、、?」


その言葉に、花もハッとしたようにカナタの顔を覗き込む。


山吹 花「あ……! そういえば、カナタ。アンタ昨日のレース中も、さっきお店に来た時もずっと『俺』って言ってたけど……以前はもっとこう、丁寧というか、大人しい感じの一人称じゃなかったっけ?」


カナタ「え? ……俺だけど、、、、?

自分ではずっと前からこのつもりだったんだけど……変かな?」


カナタ本人は、首を傾げて心底不思議そうな顔をしている。

まるで、最初からそうであったかのように。

その様子を見ていたヴィヴァーチェが、口元を扇子(どこから出したのか)で隠しながら、意地悪そうに目を細めた。


ヴィヴァーチェ「ははーん、、、☆ さては私のアレの副作用では〜、、、?」


山吹 花「なによそれっ!!」


花が詰め寄ると、ヴィヴァーチェはケモ耳をピコピコと動かしながら、カナタの周りを浮遊するように歩き回った。


ヴィヴァーチェ「以前、カナタくんが私の力を少し……いえ、かなり無茶な形で借りたことがありましたよね?

世界の獣神である私のエネルギーは、人間の精神構造を書き換えてしまうことがあるのです。

特に『自我』の部分……。

より強気な、より闘争心に溢れた人格へ、無意識に一人称ごとアップデートされてしまったのかちら〜?☆」


カナタ「えっ……精神構造を書き換えた……!?

ヴィヴァーチェ、それ、元に戻るのか?」


ヴィヴァーチェ「さあ〜? どうでしょうねぇ☆

でも、今の『俺』という響き、あなたにはとても似合っていますよ?

前の借りてきた猫のような一人称よりは、ずっとマシです。

……副作用に感謝しなさい、カナタくん☆」


ヴィヴァーチェはそう言って、カナタの鼻先をツンと突いた。

敬語の中に混じる、圧倒的な優越感。

カナタの変貌は、ただの成長ではなく、獣神による「神の悪戯」の結果だったのかもしれない。


カナタの一人称を副作用と断じ、生意気にからかっていたヴィヴァーチェ。

しかし、ふと視線を向けた先……毅然と立つ山吹花の姿を見て、その青い瞳がほんの少しだけ柔らかく細められた。


ヴィヴァーチェ(にしても、花ちゃん……本当に可愛くなりましたね、、、、、)


花の凛とした佇まい、そして時折見せる仲間への優しさ。

それは、ヴィヴァーチェがかつて知っていた「過去」よりも、ずっと眩しく輝いて見えた。


ヴィヴァーチェ(ふふっ……もう1無量大数歳(いちむりょうたいすうさい)の私にも、こんな素敵な孫ができちゃいましたか☆)


彼女の脳裏には、宇宙が生まれる前、あるいは幾多の世界が滅びては生まれるのを眺めてきた、気が遠くなるほどの記憶が流れている。

「1」の後に「0」が68個並ぶ、人間には到底理解できない悠久の時を生きる彼女にとって、この数年の花の成長は、ほんの一瞬の出来事に過ぎない。

けれど、その「一瞬」に咲く命の輝きが、獣神の心を温めていた。


山吹 花「……? ちょっとヴィヴァーチェ、人の顔をじっと見て、何ニヤニヤしてるのよ。また変なこと考えてるんじゃないでしょうね?」


花が不審そうに眉をひそめると、ヴィヴァーチェは慌てて扇子で口元を隠し、いつもの生意気な敬語で返した。


ヴィヴァーチェ「あらあら☆ 失礼いたしました。

おばあちゃ……いえ、私の深い慈愛の眼差しが、少し熱すぎましたかちら〜?

花ちゃんは、本当に『いい色』に熟してきましたね☆」


山吹 花「熟したって……私は果物じゃないわよ!

もう、やっぱりタチが悪いわね、この子……!」


ヴィヴァーチェは「ほほほ☆」と高笑いしながら、心の中でそっと呟いた。

この愛すべき孫娘が、次の「吾妻」でどんな走りを見せるのか。

おばあちゃん……もとい、世界の獣神は、密かに楽しみにしていた。

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