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86伝説エーペックス  作者: SAI
米沢編
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454/535

米沢編第64話 米沢戦、決着

K401 米沢戦決着!!!!

86伝説エーペックスは1周年を迎えました!!!!

これからもよろしくおねがいします!!!!!!

86伝説エーペックス吾妻GT編 2026年6月5日開始!!!!

初回冒頭6話公開予定!!!

予約投稿しておきます!!!!

若林「今、チェッカアアアアアアアアアアっ!!!!!!」


米沢の空に、黒と白の市松模様の旗が翻る。

その下を、白色のポルシェ 718 ケイマン GT4が、一陣の風となって駆け抜けた。

余計な挙動など微塵もない。ただ「速い」という事実だけを突きつける、完璧なフィニッシュだった。


若林「優勝はフリス!!!

甘美なる最強の新世紀絶対王者の誕生の瞬間です!!!!

ポルシェという名の精密機械を操り、カオスと化した米沢を制圧しましたァァァッ!!!」


その直後、まるでポルシェに噛みつこうとするかのような勢いで、銀色のNSXがゴールラインを通過する。


若林「そして、前回参戦時に9位だったNSX...!!

高橋勇太がついに2位表彰台をゲットしてしまったアアアアアアっ!!!!

狂気! 暴力! そして実力!

ヒール(悪役)がヒーローをねじ伏せ、銀の狼が銀メダルをもぎ取りましたアアアアっっ!!!!!!」


さらにコンマ数秒遅れて、ボロボロになった赤い86が、エンジンを焼き切れんばかりに回して飛び込んでくる。


若林「3位は復活した赤い戦闘機! 腹切カナタアアアアっ!!

車はトヨタ86GTにターボをつけて登録名がREVIVE86っ!!!!!!

溝走り、特攻、そして敗北……!!

しかし、その走りは間違いなく観客の心を震わせました!!!」


マヒロ「あはは☆ みんなお疲れ様ー!

いやー、最後まで心臓に悪いレースだったねー☆

さあ、続いてのエントリーもゴールするよ!

4位が山吹花ちゃんだね!

14歳でAMGをカモって、最後は愛のクロスライン!

WRX STI、お見事でしたー☆」


続いて、満身創痍の黄色いコンパクトカーと、プライドを傷つけられた白いスーパーカーが滑り込んでくる。


マヒロ「5位は伊藤翔太くんのスイスポ!

ハイパワー車だらけの中で、よくぞここまで生き残ったねー!

そして6位はセシルちゃんのウラカン!

トップ争いから転落しちゃったけど、あの『氷のドラゴン』の走りは忘れられないよー☆」


若林「後続がさらに! 6位から5秒遅れて7位からコルベットC7ゾフィアがゴール!!!!」


ドロドロドロドロ……!!

アメリカンV8の重低音を撒き散らしながら、赤いシボレー コルベット C7がコントロールラインを通過した。

「ウンコパワー」という謎の掛け声で中団をごぼう抜きにしたゾフィア。

上位陣の争いには加われなかったが、その圧倒的な加速力は間違いなく観客の度肝を抜いた。


ゾフィア「アハハハハ!! 7位よ!!

これぞ『アメリカの勝利』!!

次はもっと汚い言葉を叫んで、優勝してやるわ!!」


そして、その直後だった。

最終コーナーから、黒い竜巻と緑の雷雲が、もつれ合うように飛び出してきた。


若林「8位北...うわあああああああっ!!!!

黒いウアイラとAMGがサイド・バイ・サイドオオオ!!!!

伊藤乎太郎 対 北斗神拳伝承者のお出ましだあああ!!!!!」


伊藤乎太郎のパガーニ・ウアイラと、北斗のメルセデス AMG GT R。

V12ツインターボとV8ツインターボ。

超高額ハイパーカーと、ニュルブルクリンクの覇者。

異次元のスペックを持つ二台が、ゴールライン寸前で完全に並んだ。


北斗「ぬううううっ!!

退かぬ! 媚びぬ! 省みぬゥ!!

この俺が……眠そうな顔をしたパガーニなどに後れを取るかァァァッ!!」


北斗はアクセルを床まで踏み込み、AMGのトラクションコントロールを信じて絶叫する。

その気迫はまさに、世紀末を生き抜く拳法家のそれだった。


伊藤 乎太郎「……うるさいな。君はもう……『抜かれている』よ」


対する乎太郎は、あくまで涼しい顔だった。

ウアイラの可変フラップがパタパタと動き、空気抵抗を極限まで減らす。

風を味方につけた「神」は、叫ぶ必要すらない。


ヒュオオオオオオオッ!!!!!


若林「速い!! ウアイラの伸びが違う!!!

北斗の『百裂拳(フル加速)』を、乎太郎の『風の舞』がかわしていくゥ!!!」


ゴールラインの白い線。

先にその上を通過したのは、優雅に翼を広げた黒いハイパーカーだった。


若林「先にウアイラがゴールラインを抜けて8位でゴール!!!!!

北斗、あと一歩及ばず9位!!!!!

伝承者、風の神に敗北ですッ!!!!!」


北斗「ぐはぁぁぁっ……!!

わ、我がAMGが生涯の悔いを残すとはァァァ……ガクッ」


乎太郎「……ふあ。終わった?じゃあ、いこうかな.......?」


若林「さあ、トップ10の最後の椅子をかけて、あの『重戦車』が帰ってきたアアア!!」


ズオオオオオオオオッ!!!!!


地響きのようなV8サウンドと共に、古賀加奈子のBMW M5がコントロールラインを通過する。

コーナーでの鬱憤を晴らすかのような、怒りのフルスロットル・フィニッシュだ。


古賀 加奈子「ったく……! 生徒たち(カナタ・翔太)に先を行かれるとはな……。

補習だ!! 全員、ゴール後に説教部屋行きだァァァッ!!」


若林「さあ、後続集団もゴールへなだれ込む!!

まずは10位! 古賀加奈子のBMW M5が、怒りのパッシングをしながらチェッカー!!

生徒たち(カナタ・翔太)に負けた悔しさを、エンジン音で撒き散らしていきます!!」


その直後だった。

M5のスリップストリームを利用して楽々ゴールしようとしていたフェルリアのシビック TYPE R (FD2)。

その背後から、白い影が猛然と襲いかかった。


イヨ「抜かせない......っ!!!!!

イヨは......ちとせの友達だもんんんっ!!!!!」


ゴオオオオオっっ!!!!!


それはエンジン音というより、空間そのものが震えるような轟音だった。

イヨは残った精神力を総動員し、スープラの周囲の重力を操作。

空気抵抗となる前の壁をこじ開け、さらに自重を軽くして加速を稼ぐという、反則ギリギリの荒技に出た。


フェルリア「なッ......!?

スリップから抜け出した......!?

あのセッティングミスで、どうしてそこまで伸びるのよッ!?」


フェルリアが驚愕に目を見開く横を、白いGRスープラが弾丸のように駆け抜ける。

涙でグショグショの顔をした幼女が、歴戦の賢者をねじ伏せた瞬間だった。


若林「イヨだあああああ!!!

フェルリアの前に出たアアアア!!!

セッティングの不利を、根性と『謎の力』でひっくり返しました!!!

GRスープラ、執念の11位フィニッシュ!!!!」


続いてフェルリアのFD2が12位。

そして、その混乱の隙を突いて滑り込んだ夢野ユナのGR86が13位でチェッカーを受けた。


若林「そして14位にクレア...いや!?

田中が前に出て14位でゴールしたああああ!!!!!」


ゴールライン手前、観客の視線は黒と赤のデビルカラーを纏ったGT-Rに釘付けになっていた。

しかし、チェッカーフラッグが振られた瞬間、その鼻先をかすめ取ったのは、鮮やかなブルーのマツダ RX-7 FD3Sだった。


クレア「なッ……!? いつの間に!?

私のGT-Rの加速についてこれる車なんて、そういないはずよ!?」


田中 英二「……悪いな、お嬢さん。

あんたが前のスープラ(イヨ)に気を取られすぎた隙、頂かせてもらったよ」


田中は冷静にシフトノブを操作し、ロータリーエンジンの回転数を極限まで維持したまま、GT-Rのイン側をすり抜けていた。

パワーで勝るGT-Rに対し、軽さとコーナリングスピード、そして一瞬の判断力で上回る。

これぞ「公道のカリスマ」の走りだった。


若林「一瞬のスキもないサイド・バイ・サイドでした!!!!

マヒロさん! 今の振り返って解説してくださいっ!!」


マヒロ「はーい☆ 今のはねー、完全に『心理戦』の勝利だよー!

クレアさんは前のイヨちゃんを食べることに夢中で、後ろの気配への警戒が薄れてたねー。

対して田中さんは、クレアさんがイヨちゃんに振られてラインを崩す瞬間を、ずっと待ってたんだよー☆」


モニターには、ゴール直前のリプレイが映し出される。

イヨのスープラが急加速したことで、追うクレアが一瞬アクセルを迷い、そのコンマ1秒のラグを田中のFDが突く様子が鮮明に記録されていた。


マヒロ「GT-Rは重いから、一度リズムが崩れると修正にパワーを使うけど、FDは軽いからスパッと切り込める!

『柔よく剛を制す』! 田中さんの渋いテクニックが光ったねーッ☆」


クレア「くっ……! まさか後ろから刺されるなんて……。

このデビルGT-Rが、古いマツダ車に負けるなんて屈辱だわ……!!」


15位でゴールしたクレアは、悔しげにステアリングを叩いた。


若林「そしてここからは賞金獲得外の16位以下!!!

森下! 15位に滑り込みならず!!!!

伝説のル・マン優勝エンジン、R26Bを積みながら……無念の賞金圏外フィニッシュです!!」


キィィィィィィン……ボボボッ。


鼓膜を突き刺すような甲高いロータリーサウンドを響かせ、マツダ RX-8が16位でコントロールラインを通過した。

最後の最後で、15位のクレア(GT-R)と田中英二(FD3S)の背中が見えていただけに、森下にとっては悔やんでも悔やみきれない結果となった。


森下 遊矢「くそぉぉぉッ!! あと少し……あと少しストレートが長ければ!!

この4ローターの伸びなら、あと2台は食えたのに!!」


ステアリングを叩く森下。

そんな彼に、実況席のマヒロから容赦ないツッコミが飛ぶ。


マヒロ「あはは☆ 森下くん、残念だったねー!

でもさー、よく考えたら……

森下くん、スタート時かなり前からスタートしてたよねー?☆」


若林「あっ、そういえば! 予選順位はかなり良かったはずですが……

レース中盤でなぜあんなに順位を落としていたんでしょうか!?」


マヒロ「多分だけどー、その『伝説のエンジン』、燃費が悪すぎてガス欠寸前だったんじゃないかなー?

だから中盤はセーブしてて、最後だけカッコつけて全開にしたけど……

時すでに遅し! って感じだねーッ☆」


森下 遊矢「……うっ。図星だ……。

このエンジン、ガソリンをばら撒いて走ってるようなもんだからな……。

賞金もらえないと、帰りのガス代がないぞ……」


世界最高のサウンドを奏でる代償は、あまりにも大きかった。


マヒロ「それにあんなタイトな区間で合わないでしょうグループCのエンジンなんか☆

とっととわかれよクソが☆って思いますけどね????」


会場のスピーカーから、そして全世界への配信マイクを通して、信じられない言葉が響き渡った。

それはいつものポップでキュートな声色だったが、内容は完全なる罵倒。

米沢のツイスティな峠道に、ル・マン(サルテ・サーキット)用の超高回転型エンジンを持ち込んだ森下の判断ミスを、あまりにも的確かつ汚い言葉で切り捨てたのだ。


若林「え? 今なんて、、、?

クソ……えっ? 聞き間違いでしょうか?

マヒロさん、今すごいドスの効いた言葉が……」


実況の若林が、凍りついた顔でマヒロの方を向く。

しかし、そこにはいつものキラキラした笑顔のアイドルがいた。


マヒロ「なんでもないよー☆

森下くんのチャレンジ精神、すごく熱いなって思っただけだよー!

『クソ(熱い走り)』って言ったんだよー☆

ねっ? 若林さん?」


マヒロは首をコテンと傾げ、星が飛びそうなウインクを飛ばした。

その瞳の奥が一切笑っていないことに気づいた若林は、冷や汗を拭いながらマイクを握り直した。


若林「は、はい! そうですね!! 非常に熱い走りでした!!

……さあ、気を取り直して!

その後ろから、怒りのランサーエボリューションが帰ってきました!!」


黒川 海斗「うおおおおおッ!!

どけえええええ!! 俺の前を塞ぐ空気よ、どけええええッ!!!」


若林「17位! 黒川海斗のランエボX Final Editionがゴールイン!!!

相川の乱入でリズムを崩されましたが、最後は怒りのブーストアップで完走です!!」


海斗はゴールラインを通過するやいなや、クールダウンもそこそこに窓を開け、コース脇に突き刺さっている相川のGT-Rに向かって拳を突き上げた。


黒川 海斗「おい相川ァァァッ!!

テメェのせいで俺の順位がァァァッ!!

後で覚えとけよオオオオオッ!!!!」


若林「そして18位に久我ヒカル!!!

レクサス RC F、重量級ボディをねじ伏せてのフィニッシュです!!」


V8自然吸気エンジンの重厚なサウンドと共に、白いレクサス RC Fがゴールラインをまたいだ。

ライバル視していた岡田大成のGRヤリスは抑え込んだものの、久我の表情に笑みはない。


久我 ヒカル「岡田には勝てたが...

赤い戦闘機(カナタ)やスイスポ(翔太)にウラカン(セシル)がいないだと、、、、!??

あの辺りの連中は、遥か彼方でゴールしたというのか......ッ!?」


久我はステアリングを強く握りしめた。

自分の愛車は、快適性と速さを兼ね備えたラグジュアリークーペ。

しかし、純粋な「速さ」を求める怪物たちの前では、その快適装備がただの重りでしかなかったことを痛感していた。


久我 ヒカル「純正のままでは限界か......。

いいだろう。この『F』のポテンシャル、解き放ってやる。

純正からライトチューンして......次の『吾妻(あづま)』で必ず捕らえてみせる......ッ!!!」


若林「続いて19位にフェラーリ Roma! 柳津カリン!!!

優雅なイタリアン・ビューティー、静かにチェッカーを受けました!!」


流麗なボディラインを持つフェラーリ Romaが、まるで滑るようにゴールする。

そのコクピットで、柳津カリンは冷たい瞳で虚空を見つめていた。

V8ターボのパワーを持ちながら、彼女の心は燃えていなかった。


柳津 カリン「まだ何か足りない...

私の中のガラスのような氷を砕くには......

ただ走るだけじゃダメなのね......」


彼女が求めるのは、順位ではないのかもしれない。

もっと激しく、もっと壊れるほどの「何か」を探して、彼女はアクセルを緩めた。


若林「20位に岡田大成!!!!

トヨタが誇るラリーベースの4WD、GRヤリス!

しかし今日は、そのポテンシャルを発揮しきれず下位に沈みました!!」


ブォォォォン……。

直列3気筒ターボエンジンの独特なサウンドと共に、岡田大成のGRヤリスが力なくチェッカーを受けた。

コーナーの速さには絶対の自信があった。

しかし、結果は見るも無残な20位。

特に、同じトヨタの「86」たち(カナタのREVIVE 86、ユナのGR86)に完敗したことが、彼の心を冷たく冷やしていた。


岡田 大成「はぁ……はぁ……。

GRヤリスよりも速いのかよ86って、、、

俺の中にいるあいつら(自信や闘争心)が、どこかに消えてくのをゾッとする......」


ステアリングを握る手が震える。

「最新こそ最速」と信じていた価値観が、旧型の86やスイスポの熱い走りの前に崩れ去っていく感覚。

それは、レーサーとしての死に近い恐怖だった。


若林「さあ、トヨタ勢の話が出ましたが……

確かトヨタといったら最近、とんでもないスーパーカーが発表されたんですよね? マヒロさん」


実況の若林が、重苦しい空気を変えようと話題を振る。

モニターには、シルエットだけの謎のマシンの映像が映し出される。


マヒロ「あ、あれのことだねー! 知ってる知ってるー!

ル・マンのハイパーカー技術を全部ぶち込んだ、公道を走るレーシングカー!

それってつまり、『GR GT』だねー☆」


若林「GR GT……!!

もしあんなモンスターマシンがこのエーペックスカップに現れたら……

今の勢力図なんて、一瞬で書き変わってしまうかもしれませんね!!」


マヒロ「うふふ☆

誰が乗るのかなー? それとも、もう誰かが『飼い慣らして』たりしてねー☆」


マヒロの意味深な言葉が、米沢の空に溶けていった。


若林「21位にZ4から車を変えてきたミッドシップの弾丸! MR-S 古田のりあき!!!

軽量ボディにハイパワーエンジンをスワップした変態マシンでゴールインです!!

そしてなんと! 彼は3位に入った腹切カナタの赤い戦闘機である『REVIVE 86』を手掛けた張本人だそうですが、、、

マヒロさん! どう思います?」


ブオオオオオン……!

ホンダのVTECエンジン(K24A)を心臓に持つトヨタのMR-Sが、乾いたサウンドを残してコントロールラインを通過した。

派手なスーパーカーたちとは違う、メカニカルで機能美に溢れた走りだった。


マヒロ「んーとねー、それってすごいことだよー☆

自分の順位は21位でも、自分が作った車が『ポルシェ』や『NSX』と渡り合って表彰台なんだから!

まさに『名工』だねー☆

でもー、ご本人はこの順位、納得してなさそうだねー?」


モニターに映る古田の表情は、どこか冷ややかで、しかし奥底に鋭い光を宿していた。


古田 のりあき「...まあ、今日の俺はまだ甘かった。

セッティングも、ドライビングも、どこか『様子見』しちまったな」


古田はヘルメットの中で自嘲気味に笑った。

かつて乗っていたBMW Z4のようなラグジュアリーさは捨てた。

このMR-Sは、走るためだけの機械だ。


古田 のりあき「だが、ここからは辛口でいかせてもらう。

次はカナタの86だろうが何だろうが、俺のMR-Sが食ってやるよ。

……それにしても」


彼は前方を走る数千万円、数億円のマシンたちの後ろ姿を見つめ、ふとため息をついた。


古田 のりあき「車も高価な時代になったモンだな......。

俺みたいな貧乏チューナーは、知恵と腕で戦うしかねぇってか。上等じゃねぇか」


職人はギアをニュートラルに入れ、静かに闘志を燃やし続けていた。


若林「22位にクリスタ・ニールセン!!!!

信じられません!! 初戦の頃、圧倒的な速さで1位だった彼が、まさかの22位!!!!

フェラーリ 488 GTS、米沢の峠に散りましたァァァッ!!」


甲高いV8ターボサウンドと共に、真紅の跳ね馬が惨めなほど遅れてゴールラインを通過した。

美しいボディには、激戦を物語る無数の傷と汚れ。

それは、彼がなりふり構わず仕掛けた「ラフファイト」の代償だった。


クリスタ・ニールセン「くっ……! はぁ……はぁ……!!

散々ラフファイトを仕掛けてあげたのにこの結果....?

ふざけんじゃないわよ、、、!」


クリスタは、目の前でチェッカーフラッグが振られる光景を、憎悪に満ちた瞳で睨みつけた。

かつて自分が見下ろしていた表彰台。

そこに立っているのは、泥臭い86や、狂ったNSX、そして生意気なスイスポたちだ。


クリスタ・ニールセン「私が……この私が、あんな有象無象に負けるなんてありえない!!

これは悪夢よ……悪い夢だわ……!!でも……このままじゃ終わりたくない.....!終わりたくない.....ッ!!!!」


悔し涙なのか、それとも怒りのあまり血管が切れたのか。

赤く充血した目で、クリスタは誓った。

プライドをズタズタにされたままでは終われない。

次は、もっと残酷で、もっと卑怯な手を使ってでも勝ちにいく、と。


マヒロ「うわーオ☆ クリスタさん、目が怖いよー☆

『綺麗な花には棘がある』って言うけど、今の彼は全身トゲトゲだねー。

次会うときは、防弾ガラスの車にした方がいいかもねーッ☆」


若林「23位にオレンジ色のロードスターである陽太!

軽量オープンスポーツの代名詞、マツダ・ロードスター!

ハイパワーマシンがひしめく中で、人馬一体の走りを貫き完走です!!」


軽快なエキゾーストノートと共に、鮮やかなオレンジ色のNDロードスターがゴールラインを通過した。

タイムや順位を見れば下位だが、その走りに悲壮感はない。

ルーフを開け放ち、米沢の風を全身で浴びて走りきった陽太の表情は、どこか清々しかった。


マヒロ「苗字は中村らしいけど陽太って下の名前だけで呼んでくれると助かるとか言ってたんだよねー☆

陽太くん好きかもー☆」


若林「えっ!? マ、マヒロさん!?今、サラッと『好きかも』って……!

これはファンが騒然としますよ!?」


マヒロ「だってー、なんかガツガツしてなくて可愛いじゃん☆

『俺様が一番だ!』みたいな人ばっかりの中で、この『陽太くん』って響き、癒やしだよー☆」


コクピットの陽太は、まさか自分が実況席のアイドルに気に入られているとは露知らず、ヘルメットの中でほっと息をついていた。


陽太「ふぅ〜……終わった終わった。

周りは化物みたいな車ばっかりで怖かったけど……

やっぱロードスターで走る峠は最高に気持ちいいな!」


彼は順位よりも、この風と一体になれた満足感を噛み締めていた。

ある意味で、この過酷なレースを一番楽しんだのは彼かもしれない。


若林「24位 天羽シオン! 25位 高村圭吾!!

かつての黄金時代を築いた日産の名車、スカイラインGT-R R34とフェアレディZ Z33!

重量級のボディに苦しみながらも、なんとか完走を果たしました!!」


重厚なRB26サウンドと、VQ35サウンドが響き渡る。

伝説のGT-RとZ。その威光も、最新のハイパワーマシンや軽量なコーナーリングマシンの前では、色褪せて見えた瞬間だった。


若林「そして……26位に藤堂セイジ!!!

マクラーレン 650S、まさかの最下位フィニッシュです!!!」


最後に現れたのは、本来ならトップ争いをしていてもおかしくない英国のスーパーカー、マクラーレン・650S。

カーボンモノコックボディにV8ツインターボ。

スペックだけなら最強クラスのマシンが、力なくゴールラインをまたいだ。


その瞬間、解説席のマイクが小さな、しかし極めて冷酷な呟きを拾った。


マヒロ「なんでマクラーレンで26位なんだよ....」


それは、失望を通り越して呆れ果てたような、底冷えする声だった。

数千万円のマシンのポテンシャルを微塵も引き出せていないドライバーへの、純粋な苛立ち。


若林「え? マヒロさん? 今なんかいいました?

また『クソ』とか聞こえたような……」


若林が恐る恐る尋ねると、マヒロは一瞬で「天使の仮面」を装着し直した。


マヒロ「あー☆ マクラーレン速そうだねー☆

形がすっごく未来的でカッコいいなーって思っただけだよー!

ねっ、若林さん?(ニコッ☆)」


若林「あ、はい……そ、そうですね!!

とてつもなく速そうな見た目でしたね!!(結果は26位ですが!!)」


こうして、波乱と暴言(?)に満ちた米沢グランプリは、全ての車両がゴール(またはリタイヤ)し、幕を閉じたのだった。

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