なろう版86伝説エーペックス1周年記念作品 吾妻GT編予告
86伝説エーペックス吾妻GT編
2026年6月5日夜から開始!!!!
米沢編終了の翌週からスタート!!!
6月4日で86伝説なろう版は1周年!!!!
翌日。
福島県内のとある葬儀場は、異様な雰囲気に包まれていた。
一般の参列者に混じり、明らかに「走り屋」としての気配を纏った集団が、長い列を作っていたからだ。
祭壇の中央には、穏やかに微笑む吉田ノリアキの遺影。
そしてその横には、彼が愛し、共に伝説を築き上げた『漆黒のNSX NA1ターボ』のパネルが飾られていた。
焼香の列には、そうそうたるメンバーが並ぶ。
腹切カナタ、伊藤翔太、伊藤乎太郎。
彼らは沈痛な面持ちで手を合わせた。
「速さ」という純粋な夢を見せてくれた先駆者への、感謝と別れ。
山吹 花「……吉田さん。
貴方の走りは、私のWRXの目標でした。どうか安らかに」
山吹 花「……ええ。この『不器用な主人公さん』にも、現実を教えてあげなくてはね☆」
花はカナタのREVIVE 86のフェンダーを、汚い物でも触るかのように指先でなぞった。
山吹 花「カナタ。……いつまでこんな『ただの古いトヨタ車』に固執しているの?
86なんて、所詮は非力なNAの延長線。ターボを付けたところで、根本的なボディ剛性の低さは隠せないわ。
四駆のWRXが路面を支配する隣で、必死にタイヤを滑らせて虚勢を張る姿……。
まるで、大人の足元で吠えるだけの仔犬ね☆」
腹切 カナタ「……っ、花……!」
山吹 花「ライン感覚? 路面把握? 笑わせないで。
それは『速い車』に乗れない弱者が、自分を慰めるための言い訳でしょう?
あなたの走りは、私の『68号車』が巻き起こす風圧だけで吹き飛ぶ程度の、薄っぺらなものなのよ☆」
高湯温泉のスタート地点は、数万人の観衆と、10億円という巨額の賞金に目が眩んだ欲望の熱気に包まれていた。
ヒルクライムの急勾配を見上げる位置に、選ばれし15台の怪物が並ぶ。
先頭に陣取るのは、高槻の資金と山村・坂本の技術で「魔改造」された、山吹花のWRX。
そして隣には、真紅のダッジ・バイパー。
一方で、最後方から鋭い視線を送るのは、280馬力に魂を研いだカナタの86と、伊藤のスイスポだ。
若林「皆さん! お待たせしました! エーペックスカップ第8戦! 吾妻GTが開幕です!!!」
実況の若林の声が、スピーカーを通じて福島の山々に響き渡る。
腹切 カナタ「……待ってろよ花、俺はお前を……引きずり降ろす!!」
クワトロ・システムによって四輪すべてが路面を掴み、5.2リッターV10エンジンが、まるでソプラノ歌手のような高音の絶叫を上げる。
内藤 セリナ「フミッパ...♡……なんて言わないけど、みんな、私の後ろ姿をしっかり見ててね☆」
セリナのアウディは、コーナー入り口でブレーキを一切残さないまま、独自の「フミッパスライダー」で滑るようにクリップを抜けていく。
可愛らしい外見の裏に隠された、圧倒的な速度域。
1日目の吾妻は、雄介の執念と、セリナの狂気的な「遊び」が交差する戦場へと変貌した。
若林「出たアアアアア!!!!! フミッパスライダアアアアアアっっ!!!!」
柳津 雄介「(何だ……今の音は!? 背後から化け物が近づいているのか……!?)」
先行する雄介のミラーに、ライトニングイエローに勝るとも劣らない、眩いアウディのヘッドライトが映り込む。
落ち着いた笑顔の裏で、セリナは10億円の賞金を「遊び道具」のように扱いながら、先行するM4の背中を確実に捉えようとしていた。
内藤 セリナ「柳津さーん、見ーつけた☆ 逃げても無駄だよぉ……私のスライダーからはね!☆」
エーペックスカップ吾妻支部のプレハブ内は、つい数分前まで「予選終了」の安堵感でコーヒーの香りが漂っていた。
だが、山吹花と同じく「真っ赤な耳」を微かに震わせ、ちとせがドアを開けた瞬間、その香りは一瞬で凍りついた。
ちとせ「運営さ〜ん♪♪」
のんびりとした、眠たげな声。だが、彼女が足を踏み出すたびに、床のタイルがメキメキと音を立てて白く霜付いていく。
運営の責任者が震える手で眼鏡を直しながら、椅子から転げ落ちるようにして対応した。
運営「あ、ああ、ちとせ様……。レコード樹立、おめでとうございます……。何か、ご不満でも……?」
ちとせ「不満なんてないよ〜? おじさんは満足してるんだ〜、、、もへ〜。
でもね……あと4人ぐらい、お友達を入れて欲しいんだけどダメかな、、、、?」
パドックの空気は、柳津の講義で和むどころか、さらに刺々しいものへと変貌した。
花に寄り添う高槻健永が、退屈そうに鼻で笑いながら、柳津を冷たい瞳で見据える。
高槻 健永「……Mなんてどうせ、アルファベットの真ん中に居座ってるだけのクソだろ?
能書きはいいから、ワンちゃんみたいに尻尾巻いて帰りな。クソBMWが……」
高槻の言葉は短く、そして鋭く柳津のプライドを切り刻んだ。
柳津の額に青筋が浮かび、眼鏡の奥の瞳が、これまでの彼からは想像もできないほどの怒りで燃え上がる。
柳津 雄介「言ったな、、、、? その言葉、必ず倍返しさせてもらうよ」
柳津は一歩前に出ると、高槻の胸元を指差し、ドスの利いた声で宣告した。
柳津 雄介「もし、決勝でお前が俺より下だったら、、、北上川を裸でカエル泳ぎでもしてな……?
そして、二度と我らがMの悪口を言わないとォ、、、、!!!!」
古賀 加奈子「聞き捨てならないわね、、、Mのことを馬鹿にしたって、、、?
まさか、、私のM5ちゃんも……同じ扱いかしら?」
ゴールラインを通過した瞬間の電光掲示板。そこに刻まれた数字を見た瞬間、会場から地鳴りのようなどよめきが沸き起こった。
それは、単なる「1位」を意味するものではなかった。
若林「このタイムは、、、腹切カナタが優勝してコースレコードだった288戦よりも速いタイムになります!!!」
若林の声が、驚愕のあまり裏返る。
288戦。それは、非力な86を操るカナタが、並み居る格上を「ナイフのようなドリフト」で屠り、伝説となった一戦だ。
その時の、神がかり的なレコードタイムを、花が今、完全に上書きしたのだ。
パドックでモニターを見つめていた古田は、震える手でタバコを口に運んだ。
古田「あの福島で次の最難関コースと言われている過去戦の288でのカナタのタイムを超えるのか……。
おいおい、冗談じゃねぇぞ。山村と坂本……あいつら、一体どんな化け物を仕立て上げやがったんだ」
古田の瞳には、かつての愛弟子である花の成長への喜びよりも、その「変貌」への恐れが強く滲んでいた。
安定感の塊だった「桜狼」は、今や伝説の走りを過去のものにする「破壊神」へと進化していたのだ。
山吹 花「……ふふっ、カナタ。これが私の答えよ☆
あなたが必死に築き上げた伝説なんて、私が歩く道に落ちていた石ころと同じ。
踏み潰して、粉々にしてあげたわ……☆」
伊藤 翔太「うわ、菜園か……。厄介なの来やがって」
パドックでモニターを見上げる伊藤が、苦々しく吐き捨てる。
ドライバーの菜園宗一郎は、グローブを締め直し、冷静沈着な瞳で前方の闇を見据えていた。
若林「ポルシェの中では鋭いパワーを誇る992GT3! 注目しましょう!!!」
菜園 宗一郎「俺は今まであの86と伊藤にやられっぱなしだった……!!
だが、今回こそ技術を盗んでみせる。
この世界、知識を盗んでアウトプットしたもの勝ちだ……!!!!」
若林「暫定2位で通過あああ!!!! 2日目にして、トップ3が全て塗り替えられました!!」
ゴール後のパドック。暫定2位という驚異的なタイムを叩き出した相川律が、白いR35から降り立ち、余裕の笑みを浮かべて山吹花に歩み寄った。
相川 律「よお! 花ちゃん! うちよりも遥かに速いタイムかよ……!
どんな走り方してるんだ? 19歳の僕でも、その領域にはまだ届かないな」
相川は気さくに、同格のライバルとして接しようとした。だが、花は振り返りざま、氷のような冷たい視線で相川を射抜いた。
山吹 花「……馴れ馴れしく話しかけないでくれる? 泥まみれの『スリップマン』さん☆」
相川 律「えっ……?」
山吹 花「どんな走り方かって? アンタみたいにコーナーを曲がりきれずに池に突っ込んだり、川に流されたり、海にダイブしたりしない走り方よ。
アンタ、今回は運良く路面に留まれたみたいだけど……そのGT-R、実は潜水艦の機能でも付いてるんじゃないの?」
パドックに激震が走った。攻撃的な走りで知られる黒川海斗のランエボIX MRが、体調不良――まさかの「インフルエンザ」で出走を断念したというのだ。
だが、その空席を埋める男の名前がコールされた瞬間、会場の熱気が再び跳ね上がった。
若林「予選自体はまだまだもっと続きます!! 3日目! 8人目は、眞鍋琉世!!!
黒川海斗がインフルエンザのために、代わりに呼ばせて頂きました!!!
銀色のエボ9が出たあああ!!!!」
スタートラインに据えられたのは、鈍い光を放つシルバーのランサーエボリューションIX。
黒川の獰猛さとは違う、どこか冷徹で計算し尽くされたオーラを纏った眞鍋琉世が、バケットシートに深く身を沈める。
眞鍋 琉世「……黒川さんの代役とは言え、恥ずかしい走りはできないな。
三菱の4WDが、この峠の正解だと証明させてもらうよ」
若林「スタートッ!! さあ、エボ特有の4WDロケットスタートだぁぁ!!!」
「シュゴォォォォン!!」
ミスファイアリングシステムが「パン、パンッ!」と乾いた音を響かせ、銀色のエボIXは4輪すべてでアスファルトを噛み砕くように加速した。
ヒルクライムの急勾配など、このトラクションの前では無意味。
カナタの86が苦戦した登り区間を、眞鍋は機械的な正確さで駆け上がっていく。
若林「速い! 登りでの加速はポルシェやGT-Rに引けを取らない!!
眞鍋琉世、代役とは思えない完璧なコントロールでスカイラインへと突入だぁ!!」
眞鍋 琉世「……ここだ。バキュームアタック、、、!!」
眞鍋がステアリングを僅かに戻すと同時に、強烈なダウンフォースと足回りのセッティングが相まって、車体が路面に文字通り「吸い付いた」。
コーナー入り口での吸い付くような超高速アプローチ。
観客が「曲がりきれない!」と悲鳴を上げた瞬間、彼はさらに牙を剥く。
眞鍋 琉世「からの、、、ドリドリ四駆アタック!!!」
電光掲示板に表示される眞鍋のタイム。
中野のアルテッツァ、そして柳津のM4 DTM Edition。初日に盤石と思われたその記録が、代打・眞鍋の猛攻によって無慈悲に塗り替えられた。
眞鍋 琉世「……三菱の四駆を、ただの『安定志向』だと思わないことだ。
どんな路面でも、どんな角度でも、前に進む。それがエボの、4G63の宿命なんだよッ!!」
「シュゴォォォォン!!」
ミスファイアリングの炸裂音と共に、エボIXは庭坂の下りへと飛び込んでいく。
先行するカナタの背中まで、あと数秒。
黒川海斗がインフルエンザで残した執念を、眞鍋はその右足で完璧に体現してみせた。
パドックに設置された大型モニター。そこに映し出される、信じられないようなセクタータイムの更新。
それを見つめる先行ドライバーたちの表情は、一様に驚愕に染まっていた。
柳津 雄介「ウソだろ……!? なんで馬力の低いエボで俺のM4を抜かせる……!? 理屈が行かないぜ……っ!!!」
眞鍋 琉世「(黒川さん……見ててくれ。あんたの代わりに、俺がこの山に爪痕を残してやるッ!!)」
メルセデスAMG製のV12エンジンが目覚め、路面を抉るようなトルクでウアイラを前方へと放り出した。
乎太郎は、風の抵抗を最小限にするアクティブ・エアロをミリ単位で操り、本来なら峠には不向きな巨体を、羽毛のように軽く、そして速く、スカイラインへと導いていく。
若林「速すぎる!! ストレートの加速はこれまでのマシンの比ではない!!
風を読む天才少年が、吾妻の頂点を獲りに来たぁぁ!!!」
若林「伊藤乎太郎が眞鍋のエボに敗れてゴールイン!
惜しい! あと一歩、本当にあと一歩だったぁぁ!!!」
山吹 花「あ!いいかんじだね!!!!」
86伝説エーペックス吾妻GT編
2026年6月5日夜から開始!!!!
米沢編終了の翌週からスタート!!!




