米沢編第46話 甘美なる最強
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前回はやばかった?^///^
若林「さあ、お待たせいたしました!! 舞台は再び茂庭の山頂付近、先頭争いへ!!
ポルシェ、スープラ、そして86……3台による極限の対決が幕を開けますッ!!」
1位を走るフリスのポルシェ・ケイマンGT4。
その走りは先程までの禍々しさが消え、水面を滑るような、繊細で壊れそうなほど美しいラインへと変化していた。
フリス「そう、、、可愛ければ何もかも我でされど許される、、、、、、。
このラインも、この加速も……すべては美しさのために。
君たちの泥臭い走りは、我の視界には必要ないんだ……」
イヨ「......もう一度1位を、、、。
フリス、貴方の美学は認めるわ。でも、勝利の女神が微笑むのは……
最後まで路面と対話し続けた者だけ。私のスープラが、その領域を証明してみせるッ!!」
若林「火花散る美の競演!!
フリスの繊細なブロックに対し、イヨが神の領域のハンドリングで肉薄する!!
そしてその後方には、この二人の隙を虎視眈々と狙う腹切カナタの86が迫っているゥゥッ!!」
若林「甘美なる最強とはこのことなのかァァァァ!!!!!
なんということだッ! フリスのケイマンGT4の周辺から、季節外れのコットンスノーが舞い、淡いピンク色の冷気が溢れ出しているッ!!
これこそが王者の、いや……『我』という絶対的な存在が放つ神威なのかァァッ!!」
フリス「......そう、我は美しい。
我の行く先には、この清らかな雪と甘美な冷気が相応しい......。
イヨ、カナタ……我が美学に触れることすら許されぬ者たちよ。
この幻想の中で、静かに我の後ろ姿を見送るがいい……ッ!!」
フリスの操作はさらに繊細さを増し、路面を凍らせるかのような冷気が後続のスープラと86のフロントガラスを白く曇らせていく!
まさに、触れることすら拒絶する「絶対防壁」の領域だッ!!
イヨ「......冷たい。でも、この冷気……。
母様の氷雪とは違う、もっと個人的で、傲慢なほどの美しさ……ッ!!
負けない……私はこの雪を切り裂いて、貴方の前へ行くッ!!」
若林「なんということだァァァッ!! 1位フリスが放つ、
触れる者を凍てつかせる絶望のピンク・オーラ!!
だが、その後ろを走る2位イヨは、恐怖するどころか瞳を輝かせているッ!!」
イヨ「この冷気、、、甘そう、、、✩
イヨ、食べたーい!!! なんだかイチゴのかき氷みたいだねっ☆」
若林「食べたァァァイ!? イヨ選手、なんとフリスの魔力を『スイーツ』扱い!!
ポルシェの背後にピタリとつけ、ラジエーターから冷気を吸い込みながら、
スープラのブースト圧がさらに跳ね上がっていくゥゥッ!!」
フリス「......な、何!? 我の神聖なる冷気を食らおうというのか......。
無礼な、この不届き者がッ!! 美しき我の結界を、食欲で汚すなど許されぬ......ッ!!」
フリスの繊細な指先が震える!
美学で塗り固めた彼のディフェンスが、イヨの純粋(?)な食欲によって
ガラガラと音を立てて崩れ始めたァァァッ!!
若林「信じられない光景だァァッ!! 1位のフリス選手、
イヨ選手の言葉を逆手に取り、自らのオーラを完全に肯定したッ!!
ケイマンGT4から溢れ出す冷気はさらに密度を増し、
路面には文字通り、ふわふわとしたピンクのコットンスノーが積もっていくゥゥッ!!」
フリス「......そう、我のコットンアイススノーは、わたあめのように甘い、、、。
だが、甘いものは時に毒となる......。
この美しき誘惑に溺れ、我が後塵を拝するがいい......ッ!!」
フリスがステアリングを繊細に切り返すと、舞い上がるピンクの雪が白いイヨのスープラのフロントガラスを甘く、重く覆い尽くしていくッ!!
それは美しき罠! 視界を奪い、精神を揺さぶる「最強」の証明だッ!!
イヨ「......わぁ、本当にわたあめみたい!
フリス、貴方……やっぱり面白い人だね。
でも、甘いだけじゃなくて……ちょっと冷たくて、切ない味がするよ……っ☆」
若林「なんということだァァァッ!! フリス選手、余裕の笑みだ!!
さらにそのオーラを膨張させ、茂庭の頂上を完全に孤立させようとしていますッ!!」
フリス「......もっと、、、ブリザード強くしてあげようか、、、、?
我が美学に抗う不届き者たちに、相応しい葬列を用意してあげよう……」
フリスのケイマンGT4が放つピンクの冷気が、爆発的に拡散する!
空からは巨大なわたあめのような雪塊が、容赦なく後続車へと叩きつけられた!!
ガリガリッ……ベチャッ!!
カナタ「くっ、重い……ッ!! フロントガラスが割れるぞ!!
視界ゼロ……いや、マイナスだ! 匂いだけで吐き気がしてくる……!!」
若林「先頭のフリスだけが、自らが作り出した無風の聖域を独走!!
対して、2位イヨ、3位カナタは、積もり重なる『砂糖の雪』に
完全に動きを止められようとしていますッ!! これが……王者の裁きかァァッ!!」
若林「なんということだァァァッ!! フリス選手の勢いが止まらない!!
もはやレースという概念を超え、コースそのものを自分の箱庭へと
変えようとしているのかァァッ!!」
フリス「......まだまだ続けてみせる、、、ッ。
この美しき世界……我が作りし甘美なる冬を。
誰も、この先に進むことは許さない……ッ!!」
フリスがさらに集中を高めると、ポルシェの背後から噴き出す冷気が
物理的な『壁』となってコースを完全に遮断!!
2位イヨ、3位カナタ、そして4位の伊藤翔太の前に、
触れるものすべてを絡め取る、砂糖のブリザードの城壁が立ち塞がるッ!!
カナタ「くっ……どこまで出力を上げる気だ……!?
ベタつく雪が吸気口を塞ぎ始めている……。
このままじゃ、エンジンが窒息するぞ……ッ!!」
若林「絶体絶命!! フリスの『我』が放つブリザードは、ライバルたちのマシンの鼓動さえも、甘く静かに止めようとしていますッ!!」
フリス「エンジンだけではない、、、腹切カナタ、、、お前も眠りにつくのだ、、、」
フリスの言葉と共に、ブリザードの糖度が極限まで高まり、
車内に入り込む匂いは、もはや致死量に近いほどの甘美な芳香へと変わる。
それは脳の警戒を解き、抗いがたい眠気へと変える「魔の旋律」!!
カナタ「……っ、あ……。なんだ、この……眠気は……。
瞼が……重い……。……花、伊藤……。……俺は……ここまで……なのか……」
カナタの86のラインが、ふらりと外側に流れるッ!
意識が薄れ、ステアリングを握る力が失われていく!!
背後では、その異常を察知した伊藤翔太が絶叫したッ!!
伊藤「カナタ!! 目を覚ませッ!!
こんなところで……こんな甘っちょろい眠りに負けてんじゃねえッ!!」
若林「なんとォォォッ!! フリスの『甘美なる最強』は、
ドライバーの意識さえも奪い去るというのかァァッ!!
3位カナタ、コースアウト寸前!! 閻魔天の裁きが、今、下されようとしていますッ!!」
フリス「そのまま眠りにつきなさい....」
フリスがポルシェのステアリングから片手を離し、虚空に向けて優しく唇を寄せる。
その瞬間、数メートル後方を走るカナタの耳元で、あり得ないはずの生々しい感触が走ったッ!!
カナタ「……っ!? ……はぁっ……!?」
耳元をなぞる、冷たくて甘いフリスの吐息――「耳ふー」。
極限状態の脳は、そのあまりの官能的かつ暴力的な刺激に耐えきれず、
急速にシャットダウンを開始するッ!!
カナタ「……ああ……。……もう……いいんだ……。……静かだ……。……花……ごめん……」
若林「カナタァァァッ!! 86のヘッドライトが力なく空を仰ぐ!!
腹切カナタ、意識喪失!!
ポルシェのミラー越しにフリスが微笑んだ瞬間、
赤い戦闘機がコースの端、ガードレールの向こう側へと吸い込まれていくゥゥッ!!」
伊藤「カナタ!!
クソッ……あの野郎、何をしやがったアアアア!!」
若林「落ちるゥゥゥッ!!……と思われた瞬間!!
腹切カナタの86、リヤフェンダーがガードレールを火花を散らしながら掠め、
物理法則を無視したような軌道でコースへと復帰したァァァッ!!」
カナタ「(激しく目を見開き)……ハァッ、ハァッ!!
危な、、、、ラッキーだったぜ、、、!
一瞬、あっち側に引きずり込まれそうになった……ッ!」
花「カナタ、、、大丈夫、、、、、、、?
無理しないで! 今のアンタ、いつ意識が飛んでもおかしくないわよ!」
フリス「(驚きを隠し、優雅に微笑む)……ここまで良くコントロールできてるね......。
我の甘美なる誘いを撥ね退けるとは、褒めてあげよう……」
だが、フリスの瞳の奥に鋭い光が宿る。
フリス「でも、何か手を出さず走ってても最後まで切り抜ける、、、、!!!
このスピードなら86だって振れる、、、、、ッ!!!!
我の『美学』という重圧だけで、その赤い機体を路面から剥がしてあげよう……ッ!!」
若林「フリス、物理的な干渉を止め、純粋な『速度』と『威圧』で勝負に出た!!
コットンスノーのブリザードを裂き、ポルシェが再び異次元の加速を開始!!
カナタは、この『絶対王者の重圧』に耐えきれるのかァァッ!!」
若林「お、、、? ついにこの3台が張り付いたのかアアアア!!??
山吹花! 伊藤翔太! そして腹切カナタ!!!
上位を飲み込まんとする、この三人組から目を離すなアアアア!!!!!」
フリスの放つ冷気が渦巻く中、黄色いスイフトスポーツが、
カナタの86の真横、ドアミラーが触れ合うほどの距離までねじ込んできたッ!!
伊藤「……おいカナタ! 1位は後回しだ、、、、ッ!!!
先に伊藤をやるか、、、、!!
今日、ここに来たのはフリスを倒すためじゃねえ……。
お前とのバトルがメインテーマだからな、、、、!!!」
カナタ「(不敵に笑い、ステアリングを握り直す)
……ハッ、言うじゃねえか翔太。
死にかけて目が覚めたぜ。同期のお前に後ろを走られるのは、
フリスの『耳ふー』よりよっぽど癪に障るからな……!!」
花「いいわ。その青臭い意地、アタシが一番後ろで見届けてあげる!!」
若林「なんとォォォッ!! 伊藤翔太が1位争いを一蹴!!
同期であるカナタへの私闘を宣言したァァッ!!
3位と4位、互いの車体をぶつけ合いながらの超高速バトルが始まったァァッ!!」
若林「ん???、、、、雨だアアアア!!!!
ものすごいゲリラ豪雨が降ってきましたアアアア!!!!!!!」
マヒロ「戻ったよー✩ うわあー! 山形県にようこそって看板がー✩」
若林「マヒロさんお帰りなさいッ!! ですが状況は一変!!
ここからは栗子峠も大詰め!! ダウンヒルに入ります!!
……えっ、ダウンヒル!? まさか、この豪雨の中を下るというのか!?」
路面を叩きつける激しい雨が、フリスの甘い雪を瞬時に濁流へと変えていく!
そんな極限状態の中、三台のライトが闇を切り裂いたッ!!
伊藤「……始まったか。登りはポルシェの独壇場だったが、ここからは違う。
カナタ……お前の86を、俺の視界から消してやる」
カナタ「……フッ、言ってくれるぜ伊藤。
この雨、この下り……ようやく俺のステージが来たって感じだ。
お前のスイスポがどこまで食らいつけるか、試してやるよ!!」
花「……二人とも、気をつけて。
私、後ろからちゃんと見てるから……無茶しすぎちゃ、ダメだよ……?」
若林「豹変!! クールに、そして鋭利な刃のようになった伊藤翔太!!
迎え撃つはダウンヒルの鬼、腹切カナタ!!
そしてしおらしくも力強く二人を支える山吹花!!
この三人組が、雨のダウンヒルで狂乱のダンスを踊り始めたァァッ!!」
若林「キツイダウンヒル、、、ッ!!!!
視界不良、路面状況最悪!! そんな絶望的な状況下で、
黄色のボディが赤い戦闘機の前へノーズを捩じ込んでいくウウウウウ!!!!!!」
豪雨を切り裂き、伊藤翔太のスイスポがカナタの86の外側に並びかける!
そこは、ガードレールの向こうが崖へと続く、死のラインだッ!!
カナタ「マジかよ伊藤、、、ッ!! お前、そんな外から来たら膨らむぞッ!!?
この雨でそのラインは……自殺行為だッ!!」
伊藤「……膨らまない。俺の計算に、この雨の摩擦係数は織り込み済みだ。
カナタ、お前がインを閉めるなら、俺は外からお前を『封じ込める』だけだ……ッ!!」
花「……っ、伊藤くん!! だめ、危ないよ……っ!!
そんな無茶な抜き方……お願い、二人とも生きて帰ってきて……っ!!」
若林「山吹花の悲痛な叫びが響く!!
だが伊藤翔太は止まらない!! 外側から被せるようにして、
86の退路を断ちながらコーナーへ飛び込んでいくゥゥッ!!
同期二人の、命を懸けたメインテーマが今、最高潮を迎えたァァッ!!」




