米沢編第40話 温泉街の溝落とし
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飯坂の夜を切り裂くタイヤの悲鳴。
先行するちとせのRZ34が、その圧倒的なオーラでコース中央を支配していた。
だが、カナタの86は、物理的な限界を越えた
「第三のライン」を見出していたッ!
カナタ「……ここだッ!!」
ドゴォォンッ!!!
若林「アアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!
あ、、、赤い戦闘機がァァァァ!!!!!!!!!!!」
猛スピードでRZ34に襲いかかって、、、86がイン側の排水溝にリアタイヤを引っ掛ける!!
遠心力に抗う圧倒的な旋回性能。ガードレールとRZ34の僅かな隙間を、86が重力を無視したような動きで駆け抜ける!
ちとせ「......ッ」
カナタ「......」
交錯する一瞬。おっとりとした獣神の瞳が、驚愕に大きく見開かれた。
絶対的な冷気の壁を、カナタの情熱と「溝」が粉砕したのだ!
若林「なんとォ、、、、、なんと白いRZ34が!
新絶対王者候補生が、、、赤い戦闘機に煽られてしまう時が来たみたいだァァァァ!!!!!!
魔法のように抜き去っていくゥゥゥゥ!!!!!!
一体、何が起こったんでしょうか!!?? 86がまるで地面に吸い付いたかのように曲がっていきましたよォッ!!」
マヒロ「.......溝です。
飯坂の街を熟知しているからこそできる、命懸けのショートカット……。
カナタくん、ついに神の領域に足を踏み入れちゃったんだねぇーっ☆!!」
若林「やはりまたしてもだァァァッ!!
飯坂温泉街の狭い直線から直角コーナーへの飛び込み、13位の黒川海斗が、前方の久我、田中、相川の3台をまとめて飲み込みにかかるゥゥッ!!」
黒川「……どけ。前回王者の前を走る資格があるのは、今のカナタのように死線を越えた奴だけだッ!!」
ドォォォォォンッ!!
バックファイアを撒き散らしながら、黒いランエボXが相川のR35のインサイドを強引に抉る!
さらにその勢いのまま、ラインが交錯する瞬間の僅かな隙を突き、
田中のFD3Sと久我のRCFを左右に弾き飛ばすかのようなプレッシャーで抜き去ったッ!!
相川「なっ……なんだこの加速は!?
コーナー出口で四輪が地面を掴んで離さねえ……これが前回の王者の意地かよッ!!」
若林「黒川海斗ォォォォォ!!!!!!
やってくれた、またしてもやってくれたァァァァ!!!!
なんとこの短区間で3台ごぼう抜きィィッ!!
13位から一気に10位までジャンプアップだァァァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
海斗くん、まさに『重戦車』そのものだよぉーっ☆!
相川くんたちの『絆』や『咆哮』を、4WDの圧倒的なトラクションで全部踏み潰しちゃったぁーっ☆!!」
「溝落とし」という驚愕のテクニックで、RZ34を置き去りにしたカナタ。
だが、その背後に響く通信機の声は、焦りとは無縁ののんびりとしたものだった。
ちとせ「......いや〜、、、抜かれちゃったよ〜カナタく〜ん、、、✩
速かったね今の〜、、、もへ〜、、、。
あんな風に溝に引っ掛けるなんて、やっぱりカナタくんは熱いねぇ〜、、、」
カナタ「(……なっ!? 抜かれた直後にこの余裕……。
ちとせさん、まだ底を見せてねえってのか……ッ!?)」
ちとせ「でもね〜、、、あんまり熱くなりすぎると、私の吹雪がもっと欲しくなっちゃうんじゃないかなぁ〜、、、✩
その86、溶けないうちにしっかり走ってね〜、、、もへ〜」
若林「ちとせ選手、抜かれた後も驚異のマイペース!
しかし、そのRZ34から放たれるオーラは、先ほどよりも一層白く、
鋭く変化しているように見えますッ!!
飯坂温泉街を抜けて、コースはさらなるハイスピードセクションへ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
ちとせちゃん、笑いながら凍らせるタイプだよぉーっ☆!
カナタくん、前にはフリスちゃん、後ろにはちとせちゃんとセシルちゃん……
これ、まさに『氷の包囲網』だよぉーっ☆!!」
若林「そして!!! 先頭2台に異変が!!!!
伊勢屋前を、、、通過ァァァァ!!!!!!
狭い温泉街の石畳を、時速200キロに迫る狂気の速度で駆け抜けていくゥゥッ!!」
先行するイヨのスープラ。そのテールランプを、フリスのポルシェ・ケイマンが
獲物を狙う猛禽類のような鋭さで捉えていた。
フリス「我から逃げれると思ってるのか、、、、?
勝負だ、、、イヨ、、、ッ!!! 完膚なきまで粉砕してみせる、、、、」
グワッ!!!!!!
若林「うおおおお!!
ケイマンが動くゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!
MR特有の異次元の回頭性!
伊勢屋の角を曲がる一瞬の隙を突き、フリスがスープラのインサイドを強引にこじ開けたァァッ!!」
イヨ「あらあら……フリスちゃん、やっと本気になってくれたんだねぇ✩
でも、神様の背中を追うのは、ちょっと疲れちゃうよぉ?」
イヨは余裕の表情を崩さないが、背後から迫るフリスの殺気は、
飯坂の湯煙さえも一瞬で蒸発させるほどの熱量を帯びていたッ!!
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
フリスちゃんの一人称が『我』になっちゃったぁーっ☆!
これ、マジな時のフリスちゃんだよぉーっ☆!!
イヨちゃんの絶対防衛圏が、ついに突破されようとしてるよぉーっ☆!!」
※元からその設定ですw
若林「マヒロさん、、、確かケイマンのトランスミッションて特殊なんですよね?
確か、、、PDKでした?」
マヒロ「そうだよぉーっ☆!
ポルシェ自慢のデュアルクラッチ・トランスミッション、PDK!!!!
コンマ数秒、いや、瞬きする間もなく次のギアが繋がるから、加速が全く途切れないんだよぉーっ☆!!」
フリス「……そうだ。このPDKが刻むリズムは、お前のスープラには到底真似できまい。
我が意志と直結したこの変速、味わうが良いッ!!」
バシュッ!! と鋭い変速音を響かせ、ケイマンがさらに加速の密度を上げる。
伊勢屋前の石畳を蹴り上げるタイヤの音に、PDKの正確無比なシフトダウンが重なり、
フリスのケイマンは、まるでスープラの影に溶け込むような異常な近さまで詰め寄った!
若林「なんと滑らかな、そして鋭い変速ゥゥッ!!
フリス選手、PDKを駆使してスープラのわずかな失速も見逃さないッ!!
イヨ、ついに背後にポルシェのエンブレムが張り付いたァァッ!!」
イヨ「ふふ……いい音。
でも、ギアの速さだけで『神様』は抜けないんだよぉ✩」
若林「じゃあ、、、赤い戦闘機みたいな水平対向エンジン×FRは、、、まさか、、、」
マヒロ「そうだよぉーっ☆!
ポルシェと同じ『ボクサーエンジン』を積んでいる86!!
でもカナタくんのは、それを『フロント』に置いて、リアを振り回すFRパッケージ!!
超低重心なエンジンが、飯坂の入り組んだコーナーで、
まるで独楽みたいに鋭い旋回を生み出してるんだよぉーっ☆!!」
カナタ「……フリスさんのポルシェが『究極の効率』なら、俺の86は『究極の運動性』だ……ッ!!
低く、鋭く……この街の石畳を舐めるように駆け抜ける!!」
若林「なんとォォ!! 86の水平対向エンジンが、
ポルシェのPDKに対抗する『武器』になっているというのかァァッ!!
フロントが沈み込み、吸い付くようにコーナーを曲がっていく赤い戦闘機!!
先頭のスープラとポルシェの背中に、ボクサーサウンドの咆哮が突き刺さるッ!!」
フリス「……ふふ、同じボクサーの鼓動。
だが、我がPDKの速度に、その古風なFRがどこまでついてこれるかな.....ッ!!」
若林「でも、水平対向エンジン×FRは、、、86、BRZだけ、、、、、??」
マヒロ「そうだよぉーっ☆!
世界で唯一の『ボクサー×FR』のレイアウト!!
ポルシェがRRやMRでトラクションを稼ぐのに対して、
86はあえてフロントにボクサーを積んで、究極の『振り回しやすさ』を手に入れたんだよぉーっ☆!!」
若林「なんとォォ!! 唯一無二のパッケージング!!
飯坂温泉街のタイトな直角コーナーで、ミッドシップのケイマンさえも凌駕する旋回速度を見せるのは、
その『世界唯一』の恩恵だというのかァァッ!!」
カナタ「……他にはねえんだよ。
この重心の低さと、FRの自由度を両立できるマシンはッ!!
これこそが、俺がこの赤い戦闘機を愛する理由だッ!!」
ちとせ「もへ〜、、、世界で唯一かぁ〜。
珍しいものは、私の氷の標本にしたくなっちゃうねぇ〜、、、✩」
若林「3位のカナタ、その唯一無二の武器を研ぎ澄まし、ついに2位フリスのポルシェのディフューザーを捉えたァァッ!!」
若林「フリスがGRSUPRAの頭を抑えてしまうゥゥゥ!!!!!
イヨちゃんにとって大ピンチィィィィィィ!!!!!!
あの無敵のスープラが、ポルシェのリアフェンダーに行く手を阻まれているゥゥッ!!」
フリス「……ふふ、神様も意外と脆いものだな。
我がPDKが刻む完璧なブロックライン……一ミリの隙も、お前には与えぬッ!!」
ググッ……!!
フリスはスープラの鼻先を掠めるような絶妙なタイミングでケイマンを横振りにし、
立ち上がりの加速を完全に殺しにかかる。
イヨのスープラは、溢れるパワーを路面に伝えられず、フラストレーションを溜めるようにエンジンを唸らせた。
イヨ「あらあら……フリスちゃん、本当に意地悪だねぇ✩
でも、神様を閉じ込めておくと……後で『罰』が当たっちゃうよぉ?」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
イヨちゃんがここまで追い詰められるなんて初めてだよぉーっ☆!
フリスちゃんの執念が、イヨちゃんの『重力操作』さえも跳ね返してるみたいだよぉーっ☆!!」
カナタ「(……今だッ!! 先頭2台がもつれ合ってる……ここが最大の勝機だッ!!)」
若林「先頭が再びひっくり返ったァァァァ!!!!!
フリスが再び首位奪還!!!! 首位対決はやはりケイマンGT4だったァァァァ!!!!
これは強すぎます! あのイヨちゃんのスープラが、完全に背後に沈みましたッ!!」
フリス「……ふふ、ようやく定位置に戻ったな。
我が完璧なシフトワークと、このケイマンの旋回性能……。
神様のスープラであっても、我が前を走ることは許さぬッ!!」
イヨ「あらあら……フリスちゃん、本当に容赦ないねぇ✩
でも、神様は負けず嫌いなんだよぉ?
その背中、ずっと眺めてるわけにはいかないかなぁ……✩」
若林「ケイマンが咆哮を上げ、飯坂温泉街の出口に向かって加速していくッ!!
王者交代か!? それともイヨの逆襲があるのか!?
そしてその後ろには、牙を剥いた赤い戦闘機・カナタが肉薄しているゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ フリスちゃんが1位に戻ったよぉーっ☆!
イヨちゃんを力でねじ伏せるなんて、今日のフリスちゃんはまさに『魔王』だよぉーっ☆!!」
@ミント党: 「うおおお!イヨちゃんが抜かれた!? 歴史が動いたぞ!!」
@ポルシェ推し: 「PDK最強!MRレイアウト最強!フリス様についていくぜッ!!」
@86Lover: 「スープラとケイマンがやり合ってる隙にカナタ来い!行けえええッ!!」
@温泉街の住人: 「目の前をケイマンが飛んでった……。速すぎて残像しか見えねえww」
@アンチ神様: 「ついにイヨの無敗伝説が終わるのか……? 胸熱すぎる!!」
@テクニカル派: 「飯坂の狭い道でケイマンを振り回すフリスの腕、マジでバケモンだろ」
若林「フリスが首位を突き進む! だが、その後方から何やらピンク色の淡い霧が立ち込めてきたぞッ!?」
フリス「……逃がしはせぬ。これが、、、甘美なる最強、、、我のコットンスノーでも、、、浴びてるといい、、、、、」
フリスのケイマンGT4の排気口から、雪の結晶のような、それでいて綿菓子のように甘く、ベタつく特殊な粉雪「コットンスノー」が大量に噴射される!
それは視界を奪うだけでなく、後続車のエアインテークを塞ぎ、エンジンの熱を奪うフリス特有の妨害工作だッ!!
イヨ「……へー?フリスちゃん。そんなに甘いものをばら撒いて、神様をおもてなししてくれるのかなぁ✩」
イヨのスープラが、コットンスノーの霧に包まれる。
一瞬、エンジンの回転が不安定になったかのように見えたが……スープラから放たれる濃いピンク色のオーラが、その雪を瞬時に蒸発させた!
イヨ「でもね、神様は甘いものより、みんなの『驚く顔』の方が好きなんだよぉ。
イヨ、ちょっとだけ、本気を出してもいいかなぁ……✩」
若林「戻ってきたァァ!! イヨのあの独特の余裕!
一時はフリスに抑え込まれていたスープラが、神の重力を掌握するかのように、
コットンスノーを切り裂いて再び加速を開始したァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
フリスちゃんのコットンスノー、めちゃくちゃ甘い匂いだけど、イヨちゃんのオーラがそれを全部焼き払っちゃったよぉーっ☆!!」
@甘党ドライバー: 「コットンスノーきたあああ!これ食らうとフロントガラスがベタベタになるやつw」
@神様信者: 「イヨちゃん復活!やっぱりこの『何が起きても動じない』のがイヨちゃんだよな!」
@メカニック: 「スープラの排気熱であの雪を蒸発させたのか!? どんな出力してんだよw」
@86Lover: 「フリスとイヨがやり合ってる間に、カナタがじわじわ距離詰めてるぞ……不気味だ」
@温泉街の住人: 「街中が綿菓子の匂いでいっぱいなんだけどw 飯坂温泉がスイーツ店になったぞ」
若林「そこに6台抜いて飛び出してきたのは、、、GTR!!
相川律だアアアアアア!!!!
黒川に抜かれ後退した屈辱を、この極限の市街地コースで晴らしに来たァァァッ!!」
相川「美保……見てるか! お前の兄貴は、まだ死んじゃいねえッ!
内藤がいねェから、、、俺がかわりにフミッパしてやるよ、、、!
本家よりもイマイチだがな、、、! 吹き飛べえええええッ!!」
若林「なんとォォ!! 狭い飯坂の路地でアクセルを一切緩めない狂気の全開走行!
『フミッパ』の真髄が、先行する中団グループを次々と飲み込んでいくッ!!」
フブキ「、、、ッ! こんな時に、、、
あの銀色の悪魔、何を考えているの!? この狭さでその加速は自殺行為よッ!!」
相川はフブキのエミーラの真横に、接触寸前の精度で滑り込む。
美保の幻聴が、R35の車内に響き渡る。
『お兄ちゃん、そのまま……突き抜けて!』
相川「ああ……行くぜ美保ォォッ!!」
若林「相川律、なんと一気に6台抜きッ!!
7位のフブキを抜き去り、さらにその前を行くセシル、シラヌイの背中まで射程に捉えたァァッ!!」




