米沢編第34話 銀色の狼
K371
若林「さらに後方では、夢野ユナ、田中英二がチャッピーをオーバーし、柳津カリン、天羽シオン、クレアと衝突だァァァァ!!!
夜の街灯が照らし出すフラットな直線で、5台のマシンが火花を散らしながら絡み合っているゥゥッ!!」
ユナ「あはっ☆ お菓子より甘いライン見っけ! ……って、きゃあぁっ!? 何この包囲網!」
カリン「パパを抜く前に、こんなところで立ち止まってられないのよッ! どきなさい!」
カリンのフェラーリ・ローマと、シオンのR34、そしてクレアのデビルカラーGT-R。
そこへユナのGR86と英二のFDが突っ込み、5つの魂が火花となって夜の闇に飛び散る!
若林「チャッピーが脱落ッ! ユナと英二が強引にこじ開けた隙間へ、カリンたちが牙を剥くッ!!
フラットな路面だからこそ逃げ場がないッ! 1台が滑れば全員巻き添えの、超高速ドッグファイトだァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 街灯に照らされて、みんなの車がキラキラしてるけど……やってることは怪獣大戦争だよぉーっ☆!!」
若林「ん? 山吹花がハイスピードエントリィィィィ!!!! 嫌な予感しかなァァァァいッッ!!!!
ブレーキを捨てたのかァァッ!? 桜色のWRXが、森下のRX-8に向かって弾丸のように突っ込んでいくゥゥッ!!」
森下「そんなスピードで抜く気なのか、、、、ッ!!?? ふざけんな、、、、ッ!!!
死ぬ気か山吹ッ!! 物理的に曲がれるわけが……ッ!!」
森下は自らの冷気をフロントタイヤに集中させ、コーナリングフォースを稼ごうとする。
しかし、花はガードレールギリギリのラインで車体を真横に向け、四輪全てを空転させながら森下の鼻先を掠めていく!
森下「だが、、このコーナリング区間だとパワーをこっちが持て余す、、、クッ、、、、!!」
山吹花「あははははッ!! どいてよ森下くん! 私のSTIは、止まるために走ってるんじゃないのッ!!」
若林「山吹花が森下遊矢をオーバーテイク! 信じられないッ!!
完全に制御不能に見えた突っ込みから、四駆の駆動力を活かして強引に立ち上がったァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 花ちゃん、目がイっちゃってるよぉっ!
桜色の旋風が、森下くんの吹雪を熱量で吹き飛ばしちゃったねぇーっ☆!!」
若林「そして肝心の4位争いは、、、LFAが一気に前へ出ていくゥゥゥゥ!!!!!!
シラヌイだッ! シラヌイのLFAが、フブキのエミーラをバックミラーの塵へと変えていくゥゥッ!!」
シラヌイ「あははっ✩ フブキ、やっぱりお姉ちゃんには勝てないんだよッ!!
この音の速さに、キミはついてこれるかなァァッ!!?」
LFAのタコメーターが9000回転を超え、白い炎のオーラが黄金の機体を包み込む。
直線での圧倒的なスプリント性能が、軽量エミーラのコーナリングという武器を無力化していく!
フブキ「……っ、そんな……! お姉ちゃん、まだあんな力を隠してたなんて……ッ!!」
若林「フブキ、届かないィィッ!! 4位シラヌイ、独走体制ッ!!
その視線は、もはや3位ちとせの背中しか見ていないぞォォッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ シラヌイちゃん、カッコよすぎるよぉっ!
お姉ちゃんのプライドが、夜の県道3号を黄金色に染め上げちゃったねぇーっ☆!!」
[LIVE] エーペックスカップ 第7戦 米沢GP
■ LFAガチ勢:これだよこれ!!これこそがLFAの真骨頂!!
■ 峠の哲学者:シラヌイさんの「お姉ちゃん力」がカンストしてるwww
■ 匿名:フブキちゃんのエミーラが止まって見えるくらいの加速だな……
■ 米沢牛:音がすごすぎて家の窓ガラスが共鳴してるんだがww
■ スイフト乗り:20位の伊藤くん、これ見て勉強するんだ……!
■ かなタン推し:カナタくん!6位で耐えてる場合じゃないぞ!追いつけええ!
■ 運営:シラヌイ選手のバイタル急上昇中。やる気MAXですね。
■ 飯坂の女:山吹花ちゃんの突っ込みよりはマシだけど、これも十分怖いわww
若林「みなさんに言いたいことがあります。
なんと! 一気に赤い戦闘機も先程の並走の減速のスキを狙い、アウトからエミーラに再び並びましたァァァァ!!!!!!」
カナタ「……ここだ。二人がやり合って、ラインが膨らんだ今しかないッ!!」
ちとせの氷に冷やされたタイヤを、カナタは無理やり空転させて熱を入れる。
グリップを取り戻した86が、アウト側の僅かな未凍結ゾーンを使い、フブキのエミーラを外側から包み込むように並びかけた!
フブキ「……っ!? カナタ……まだ死んでいなかったの……ッ!!?」
カナタ「悪いなフブキ! 86は……何度でも立ち上がるッ!!」
若林「信じられないッ! 6位に沈んでいたカナタが、アウト側という最も滑りやすいラインを通って、5位フブキの真横に並び並んだァァッ!!
赤と銀、二台の機体が火花を散らしながら、県道3号の闇を切り裂いていくゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ カナタくん、やっぱりヒーローだねぇーっ☆!
双子の喧嘩に割って入るなんて、男前すぎるよぉーっ☆!!」
若林「ここで下位集団にも激震が走ったァァッ!! 30位、スズキ・アルトの川村修一が、前方の3台をまとめて抜き去る『ごぼう抜き』を仕掛けたァァッ!!」
川村「重い車がもたついてる間に……軽の機動力を見せつけてやるッ!!」
アルト・ケイワークスが、シビックのフェルリア、ランエボのサテラ、そしてロードスターの陽太の隙間を、縫い針のような鋭さで突っ切っていく!
フェルリア「みんな速い、、、ッ!!! なにあの軽自動車、消えそうなほど速いわ……ッ!!!」
サテラ「今回ばかりはなんかダメだな、、、、! クッ、、、!! 路面状況が変わりすぎて、足がついてこないッ!!」
若林「サテラ、ここで痛恨の失速ッ!! 川村のアルトが、まるで魔法のように3台をパスして27位へとジャンプアップだァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 小さな車が大きな車をイジメてるよぉっ!
川村くんのアルト、街灯の下でピカピカ光って、まるで銀バエ……じゃなくて、弾丸だねぇーっ☆!!」
LFAのキャビンに響くのは、もはやエンジンの機械音ではない。
それは、シラヌイ自身の内側から溢れ出す「情熱」という名の鼓動。
シラヌイ「なんなんだろうね、、、いつもは平常心保ってられるのに、、、レースになるとパッションが私のなかで止まらないの、、、、」
ステアリングを握る彼女の指先から、白く透明な、けれど太陽よりも熱い炎のオーラが溢れ出す。
その炎は、ちとせが撒き散らす「真・絶対零度」の氷を、接触する前に蒸発させていく。
シラヌイ「白く渦巻く炎が、、、抑えきれない、、、ッ!! ボクを、LFAを止めてみてよ……ちとせちゃん!!」
若林「覚醒だァァァァッ!! シラヌイ、自らの内なるパッションを制御不能の『白い火炎』へと変えたァァッ!!
3位ちとせ、絶対零度の壁が、シラヌイの熱気によってドロドロに溶かされていくゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ シラヌイちゃん、お姉ちゃんを通り越して『神様』みたいになっちゃったよぉっ!
氷の女王ちとせちゃんに、白い太陽のシラヌイちゃんが真っ向勝負だよぉーっ☆!!」
若林「そして後方で大変なことに!!!
NSX対ウアイラ対ブガッティシロンが引き続き行われていたァァァァ!!!!」
漆黒の魔王、ブガッティ・シロンが放つ1500馬力の暴力的な加速。
そして死角から音もなく忍び寄るパガーニ・ウアイラ。
高橋はミラーを埋め尽くす異形のマシンたちを前に、静かにNSXのハイブリッドモーターを全開にする。
高橋「……どれだけ馬力があろうが、この峠のコーナーじゃあ図体がデカすぎるんだよ……ッ!!」
若林「高橋のNSX、銀色の断頭台が閃くッ!!
ウアイラの変幻自在な空力デバイスと、シロンの圧倒的質量を、高橋はミリ単位のブレーキングで翻弄しているゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
あっちもこっちも凄い車ばっかり! 高橋くん、そのNSXで二人の怪物を一気にぶった斬っちゃえぇーっ☆!!」
若林「見ろッ! これが世界の頂点に立つマシンたちの競演だァァッ!!
高橋のNSXが、ブガッティ・シロンの放つ巨大なプレッシャーを背中で受け流しながら、芸術的なまでの旋回を見せているゥゥッ!!」
高橋「……ッ! 重いんだよお前らは……ッ! 1500馬力なんて、この狭い峠道じゃあ、ただの重り(デッドウェイト)なんだよッ!!」
高橋はステアリングを僅かに切り込み、NSXのSH-AWDをミリ単位で制御。
インサイドの縁石ギリギリを、カミソリで切り取るように駆け抜ける。
その背後では、坂田五郎丸のシロンが、エンジンの排気熱で蜃気楼を発生させながら、物理法則をねじ伏せる加速で高橋のラインをこじ開けようと、巨体を震わせている!
坂田「ふん……。理屈はどうあれ、最後に前にいるのは力を持つ者だ……ッ! 高橋、お前の技巧ごと、粉砕してやるッ!!」
高橋の横に、パガーニ・ウアイラの異形なアクティブ・フラップが羽ばたくように立ち上がり、空気の渦をNSXへと叩きつける!
一方、その遥か前方では——。
カナタ「信じるんだ……。俺の、このタービンが奏でる熱をッ!!」
カナタの86、アウト側の凍りついた路面。
通常ならスピン確定のその場所で、カナタはあえてリアを僅かにスライドさせ、アウト側のガードレールにテールを「擦りつける」ことで車体の姿勢を固定する!
フブキ「っ……!? アウト側のガードレールをレールにしているの……ッ!? 狂ってるわ、カナタ……ッ!!」
アウトから強引に、しかし精密にエミーラを包み込む「赤き戦闘機」。
フブキの「いかせない」という絶叫を、86の過給音が無情に切り裂いていく!
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
後ろでは億単位の車がガリガリやり合って、前ではカナタくんが命知らずのアウトまくり!
もう実況席まで火の粉が飛んできそうだよぉーっ☆!!」
若林「ウアイラとシロンがNSXに同時に仕掛けたァァァァ!!!!
左右から挟み込むッ! まさに鉄の万力だァァッ!! 漆黒の魔王と深淵の刺客が、銀色の断頭台を粉砕しにかかったァァッ!!」
坂田「終わりだ高橋ッ! 逃げ場はない……このパワーの奔流に飲み込まれろッ!!」
伊藤「フッ……。その美しい銀色のボディ、切り裂いてあげるよ。」
左右から迫る、シロンの圧倒的質量とウアイラの鋭利なカウル。
接触の火花が散る寸前、高橋の瞳に青白い火が灯る。
高橋「ふざけんなァァァァ!!!! ミッドシップハイブリッドであるNSX舐めんなあぁああ!!!!」
NSXのフロントに配されたツインモーターが、0.001秒の演算を経て独立駆動を開始する。
イン側のタイヤが地面を抉るように回り、アウト側が限界を超えるトルクで路面を蹴り上げるッ!
SH-AWDの超次元的な旋回性能が、二台のハイパーカーが作った「包囲網の僅かな歪み」を突いたッ!!
若林「抜けたァァァァッ!! 高橋のNSXが、二台の巨体の間をすり抜けるようにして、コーナーの頂点を奪い取ったァァッ!!
まさに針の穴を通すようなカウンターッ!! 逆にウアイラとシロンが、お互いを避けようとして挙動を乱したァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 高橋くん、カッコよすぎて痺れちゃうよぉっ!
お高い外車二台を相手に、日本のスポーツカーの意地を見せつけちゃったねぇーっ☆!!」
若林「見ろッ! これが上位陣の『裏』で繰り広げられる、もう一つの死闘だァァッ!!
クリスタの488、ゾフィアのC7、そして相川のGT-R!! 日欧米の意地が激突するゥゥッ!!」
クリスタ「どきなさいよ! アタシのフェラーリが、こんな野蛮な車たちに遅れをとるわけないでしょッ!!」
クリスタが488のV8ツインターボを咆哮させ、ゾフィアのコルベットを強引にアウトから被せにかかる。
だが、ゾフィアも「真紅の猛獣」の名の通り、巨大なリヤタイヤで路面を掻きむしり、執拗にインを閉める!
ゾフィア「野蛮で結構! 峠じゃあ、最後にタイヤを残した奴が勝つのよッ!!」
そこへ、銀色の閃光が「音」と共に割って入った。
相川「ハハハッ!! 二人の猛女がやり合ってる隙間……スリップマンの俺がいただいちゃうぜッ!!」
若林「相川律だァァァッ!! 相川のGT-Rが、フェラーリとコルベットの僅かな接触で生まれた『空気の道』を突き抜けたァァッ!!
三台はもはや、互いのサイドミラーを粉砕せんばかりの超・超・超接近戦だァァッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
赤・赤・銀の三色が混ざり合って、夜の峠がネオン街みたいだよぉっ!
相川くん、女の子二人に挟まれて、死ぬほど熱い思いをしてるねぇーっ☆!!」
若林「高橋だッ! 高橋が吠えたァァァァ!!!!
『銀色の狼を見せてやる』!! その叫びと共に、NSXのエンジンと三つのモーターが、限界を超えた過負荷を叩き出したァァッ!!」
高橋「俺の銀色の狼見せてやらァァァァ!!!!! 逃げんじゃねえぞ、怪物どもッ!!」
グワッ!!!
NSXのフロントが、まるで獲物に飛びかかる狼のように激しく沈み込む。
ハイブリッドシステムの全トルクが瞬時に路面を噛み、シロンとウアイラが作った僅かな「壁」を、鋼の牙でこじ開けるように突き進む!
坂田「なっ……!? あの車、物理限界を無視して加速してやがるのか……ッ!!」
若林「信じられないッ!! 高橋のNSXが、巨体ゆえに一瞬加速が遅れたシロンのフロントフェンダーを『ガリッ』と削りながら、その前に躍り出たァァッ!!
銀色の狼が、夜の県道3号に鋭い爪痕を刻み、中団グループを置き去りにしていくゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
高橋くんのNSXが、本当に狼に見えるよぉっ!
銀色の毛並みをなびかせて、世界のモンスターたちを逆に狩りに行っちゃったねぇーっ☆!!」
高橋「操作が雑だからそうなるんだ、、、ッ!! もっとワイルドに走れよ、、、ッ!!! お前らが魔王でウアイラが黒い魔術師なら俺は銀色の狼だァァァァ!!!!!」
高橋のNSXが、旋回中にテールを僅かに流しながらも、フロントタイヤが獲物を逃さない狼の眼のようにラインを完璧にトレースする。
対照的に、背後のシロンはパワーを持て余し、ウアイラは空力に頼りすぎて挙動を乱し、タイヤの叫びを上げている。
高橋「力だけじゃない……野生と理性、その両方を持ってこそ、この峠は支配できるんだッ!!」
グワッ!!!
NSXの四輪が路面を掴み直し、一瞬でハイパーカー二台をバックミラーの彼方へと追いやる。
14位の柳津雄介が駆るBMW M4 DTMさえも、高橋の放つ「銀色の殺気」に一瞬怯んだ。
若林「高橋、止まらないィィィィ!!!!
シロンとウアイラを教え諭すかのような圧倒的なコーナリング!!
まさに『銀色の狼』!! 彼は今、機械を超えて野生そのものと化しているゥゥッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆
高橋くん、説教しながら抜いていくなんて最高にワイルドだよぉっ!
お高い外車たちが、狼さんの前で震える仔羊に見えちゃうねぇーっ☆!!」
若林「レースは飯坂温泉街へ突入!!!
狭い路地から一気に開ける高速ベント!! ここでクリスタ・ニールセンが動いたァァァァ!!」
クリスタ「さあ、ここからはアタシのターンよ! 狼だか何だか知らないけど、フェラーリの美しさに平伏しなさいッ!!」
クリスタの488 GTSが、温泉街の石畳を震わせるような咆哮を上げる。
高速ベントの入り口、岡田大成のGRヤリスが僅かにアウトに振った瞬間、クリスタは迷わずインサイドへ飛び込んだ!
若林「圧巻だァァッ!! クリスタがGRヤリスを圧倒しているゥゥッ!!
超高速域でのダウンフォースを活かした旋回!! 岡田のヤリスが、まるで止まっているかのように見えるほどのスピード差だァァッ!!」
岡田「……なっ!? あの速度で、あの角度に鼻先を……ッ!? これが、世界のクリスタか……ッ!!」
マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 温泉街がフェラーリの赤色で燃えちゃいそうだよぉっ!
大成くんのヤリス、クリスタさんの色気に当てられてフラフラしちゃってるねぇーっ☆!!」




