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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!米沢編
418/425

米沢編第30話 電光石火

K367

飯坂の迷宮を抜け、再びアクセルを床まで踏み抜く超高速区間。

だが、2位へ後退したフリスのケイマンGT4からは、先ほどまでの冷徹な殺気とは異なる、不思議な「熱」が溢れ出していた。


フリス「やられた.....ッ!! こんなにGRSUPRAなんかと並走すると...思わなかった。」


フリスの瞳が、屈辱と高揚が混ざり合った複雑な色に染まる。

パドルを握る手に力がこもり、ケイマンのボディから淡いピンク色の「コットンスノー(綿雪)」が噴き出した。


フリス「この悔しさは倍にして返すわ......我の力で。……開け、我が魂の深淵よ......ッ!!」


その綿雪は、触れるものすべてを優しく、そして確実に凍らせ、動きを奪う。

イヨの放つ濃いピンク色の重力波動と、フリスの淡いピンク色のコットンスノー。

二つの「ピンク」がバイパスの上で衝突し、空間そのものが甘く、残酷な色に染まっていく!


若林「な、なんだあのオーラはァァァァッ!!? 2位のフリス、怒りを超えた先にある新境地ッ!! パステルグリーンを捨て、イヨと同じ『ピンク色』のオーラを纏い始めたァァッ!!」


マヒロ「きゃあぁぁっ☆ フリスさんのコットンスノー、ふわふわしてて可愛いけど……っ! 食べたら魂まで溶けちゃいそうな、最強の甘い罠だよぉ……っ☆」


先頭の「ピンクの共鳴」から離れた中団グループでも、命を削るようなドッグファイトが勃発していた。

13位を走る高橋勇太のNSX。その後方に、桜色のオーラを不気味に蠢かせる山吹花のWRX STIが肉薄する。


高橋「どこまでも行けるはずではないのに、、、そこに道路があるかのように曲がるのは何故だ、、、、、ッ!!??」


高橋が完璧に計算した「死のライン」を、山吹花は四輪駆動の強引なトラクションと、狂気的なステアリングワークで踏みにじる。

インサイドの縁石を跳ね、ガードレールを削りながら、STIはあり得ない角度でコーナーへ飛び込んでいく。


高橋「殺したくても、、、殺せない、、、ッ!!! ラインもお前も、、、ッ!!!」


銀色の断頭台と称される高橋の鋭いブロックさえも、花の「道なき道を行く」ような走りの前では無力。

WRXのボンネットから溢れる桜色の光が、NSXのリアを飲み込まんばかりに膨れ上がる!


若林「中団グループ、山吹花が覚醒ッ!! 高橋勇太の鉄壁のディフェンスを、野獣のような走りでこじ開けにかかるゥゥッ!! まさに桜狼さくらろう、銀色の死神を仕留める準備は整ったァァッ!!」


マヒロ「うわぁっ☆ 花ちゃん、目がマジだよぉっ! あのSTI、桜吹雪の中を走ってるみたいで綺麗だけど……っ、近づいたらバラバラにされちゃいそうだよぉーっ☆!!」


高橋のNSXを鮮烈なラインで抜き去った山吹花。その勢いのまま、彼女の視界は12位を走る「レジェンド」古田のりあきを捉える。

K24Aへと換装されたMR-Sが、老獪なテクニックで最短コースを刻むが、花のWRX STIにはもはや「既存のコース」など関係なかった。


山吹花「レジェンドだろうと何だろうと……今の私を止めることはできないッ!!」


若林「さらに古田を山吹花がオーバーテイク! 信じられない、あの『鉄壁のレジェンド』古田のりあきが、若き桜狼に道を譲らされたァァッ!!!」


古田「……フッ、凄まじい執念だ。ラインが見えているんじゃない……自分で描いているのか。いいだろう、行けッ! 若い狼よ!!」


古田がわずかにインを空けた刹那、桜色のオーラが炸裂。

STIの大型リアウイングが夜風を切り裂き、パステルグリーンの冷気が漂う上位陣の背中を目指して、山吹花が12位へと一気にジャンプアップを果たした!


マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 花ちゃん、レジェンドまで食べちゃったよぉっ! あのSTI、もう誰にも制御できない『桜の猛獣』になっちゃったねぇーっ☆!!」


銀色の断頭台・高橋を文字通り「処刑」した山吹花。そのWRX STIが放つ桜色の咆哮は、前方を走る柳津雄介のBMW M4にまで届いていた。


高橋「気をつけろ! ヤイーダ(柳津)ッ!!! WRXが来てるぞ!!!!」


柳津「なんだと、、、ッ!? さっきまでのトラブルはどうした、、、、、、ッ!??」


高橋「わからないが、、、青いWRXがさっきとは違って電光石火のように来ているぞ!!!! 抜かせるなァァァァ!!!!」


バックミラーを確認した柳津の顔が引きつる。

そこには、パステルグリーンの冷気を切り裂き、夜の闇を桜色に染めながら猛追してくる「青い魔物」の姿があった。


柳津「マジかよ、、、せっかくの温泉タイムを壊しやがってよ、、、ッ!!! せっかくいい湯加減の走りをしてたってのに、これじゃ熱湯風呂じゃねーかッ!!」


柳津がBMWのDTMエンジンを回し、空力デバイスをフルに使ってブロックラインを固める。

だが、花のSTIは高橋の警告通り、まるで磁石に吸い寄せられるかのような速度で、柳津のリアバンパーへと肉薄する!


若林「柳津雄介、温泉気分が吹き飛んだァァッ!! 高橋勇太からの決死の警告を受け、碧眼の破壊神が迎撃態勢に入る!! だが山吹花、その勢いはもはや天災の領域だァァッ!!」


柳津のBMW M4 DTMが、ワイドな車体でアウトサイドのラインを完璧に塞ぐ。

後方の山吹花は、迷うことなくその外側へと鼻先を向けた。


若林「おっとォォォォ!!!!? 山吹花が外から仕掛けたァァァァ!!!!! 柳津がアウトをブロック! だが、これが罠だったァァァッ!!!」


花「……そこ、空いてるよ。」


花がステアリングを左へ一閃。

桜色のオーラを纏ったSTIが、慣性を無視したような挙動でアウトからインへと「瞬間移動」したかのように切り込む。

大柄なWRXが、針の穴を通すような精度で柳津のインサイドへ潜り込んだ!


柳津「外と見せかけてインか、、、、ッ!? そんなボディで、、、バカなのか、、、、ッ!? その幅でインに入れるわけが……ッ!!」


柳津の絶叫。だが、花のSTIはガードレールを数ミリ単位で避けながら、強引にノーズをねじ込んだ。

4WDの圧倒的なトラクションが、アスファルトを「バカな力」で掴み、柳津のBMWを内側から弾き飛ばすように加速する!


若林「WRXがインから出ていく!!!! 柳津雄介、完全に裏をかかれたァァッ!! 碧眼の破壊神、温泉どころか泥水を飲まされる形でここでまさかの11位陥落ゥゥッ!!!」


後方で山吹花が「桜狼」として覚醒し、柳津を沈めたその音を聞き逃すセシルではなかった。

白いウラカンEVOのV10エンジンが、高貴な咆哮を上げながらバイパスの夜気を凍らせる。


セシル「……騒がしいわね。桜が舞うには、この夜は少し寒すぎると思わない?」


若林「おっとォォォォ!!!!? ここで10位を走行していたセシルが動いたァァァァ!!!! 前方を走る二台を、まるで障害物かのように一気に抜き去っていくッ!!」


セシルがパドルを叩くと、4WDシステムが路面を完璧に捉え、ウラカンが鋭い矢となって放たれる。

一人、また一人。

セシルの放つ絶対零度のプレッシャーに気圧されたドライバーたちが、ラインを割るように道を空けていく。


セシル「露払いは済んだわ。……さあ、そこから見上げなさい。これが『氷冠』の頂よ。」


若林「セシルのウラカンEVOが2台オーバーテイク!! 順位を8位まで押し上げたァァッ!! 花が追い上げる先から、さらに遠くへと突き放す冷酷なまでの加速だァァッ!!!」


マヒロ「きゃあぁぁっ☆ セシルちゃん、意地悪だねぇっ! 花ちゃんが頑張って追いつこうとしてるのに、自分も加速して逃げちゃうなんてぇーっ☆!!」


セシルのウラカンEVOに鮮やかに抜き去られたゾフィア。真赤なコルベットの車内で、彼女はハンドルを叩きながら毒を吐いた。


ゾフィア「なによ今のウラカンッッ!!!! ホント、ウンコよね! どうせフェラーリやランボは速いんでしょ? マシンの性能だけで勝ってるんじゃないのぉッ!!?」


通信回線から聞こえる汚い言葉に、先行するセシルの眉がピクリと動く。彼女の周囲の温度がさらに数度下がった。


セシル「……アナタがちゃんと走ってないからです、、、、、、ッ!!!」


若林「おっとォォォォッ!! 10位圏内の淑女・セシル、ゾフィアの言い訳を一刀両断ッ!! まさに正論の絶対零度パンチだァァァッ!!!」


ゾフィア「なっ……ッ!? 何よ、ちゃんとしてるわよ! 私の『ウンコパワー』は今、最高潮なんだからッ!!」


セシル「その言葉遣い自体が、マシンの品格を下げていると言っているのです。……汚らわしいパワーと一緒に、そこで凍っていなさい。」


セシルがパドルを弾き、冷徹な加速でゾフィアを引き離す。

白いウラカンから放たれる「氷冠の冷気」が、ゾフィアのコルベットのフロントウィンドウを真っ白に凍らせ、視界を奪いにかかった!


マヒロ「あはははっ☆ セシルちゃん、怒らせると怖いねぇーっ☆ ゾフィアちゃんのウンコパワーも、カチコチに凍っちゃったらただの不燃物だよぉっ☆」


ゾフィアを完膚なきまでに論破し、冷たく突き放したセシル。

だが、通信を切った直後、ウラカンの車内には氷の冷気とは真逆の「熱」が充満していた。


セシル(はわわわっ……! 言っちゃった、言っちゃった〜、、、!! 私ったら、なんてキツいことを……。みなさんに聞かれたら、はしたないって怒られちゃうです〜、、、!!)


先ほどまでの凛とした表情はどこへやら。

セシルの顔は、自慢の白い肌が「完熟した苺」のように真っ赤に染まっている。

恥ずかしさのあまり、無意識にアクセルを踏み込む力が強くなり、ウラカンが予定外の猛加速を見せる!


セシル(顔が真っ赤になってしまうです〜、、、!! 誰にも見られてないですよねっ!? あうぅ、早くこの熱を冷まさなきゃ……!)


若林「おっとォォォォッ!! 8位を走るセシルのウラカン、さらに加速が鋭くなったァァッ!! 怒りの追撃か、それともさらなる覚醒か!? 前方のフブキに一気に詰め寄るゥゥッ!!!」


マヒロ「あはははっ☆ 若林さん、違うよぉっ! あれはセシルちゃんが『恥ずかしくて逃げ出したい』加速だよぉーっ☆ 乙女の爆走だねぇっ☆」


ゾフィア「な、なによ今の加速!? 反省して速度落としなさいよぉぉぉッ!! ウンコぉぉぉッ!!」


若林「おっとォォォォ!!! 黒川海斗とクレアが一気に仕掛けるゥゥゥ!!!! 前方を走る数台を、まるでもぎ取るようなパワープレイだァァァッ!!!」


黒川「……どけ。俺のランエボに、ブレーキという文字はない。」


クレア「あははっ! 闇に飲まれて消えちゃいなさいッ!!」


22位の黒川と23位のクレアが、驚異的なブーストアップで先行車を次々と粉砕。一気に順位を10以上押し上げ、ついに「R」を冠する三つ巴の戦場へと乱入した!


若林「その3台先、前方では日独GTR対決が勃発!!!! 17位・北斗のメルセデスAMG GTR、18位・相川律のR35 NISMO、そして19位・天羽シオンのR34が火花を散らしているゥゥッ!!」


北斗「フン、日本のGT-Rが何台いようと、ニュルで鍛えた緑の魔王(AMG)には勝てんッ!!」


相川律「甘いぜ! スリップストリームこそが俺の生命線……って、うわあああっ!? 後ろから黒い塊が飛んできたぁぁッ!!」


背後から迫る黒川のランエボXとクレアのデビルGT-R。

「R」の誇りを賭けて争っていた三台の間に、重戦車のような二台が強引に割り込み、五つ巴の地獄絵図が完成する!


超高速のストレート区間。相川の駆るR35 NISMOが、北斗のAMG GTRが切り裂いた空気の渦――スリップストリームへと潜り込む。


相川「おっしゃァァァァ!!!! ここだ、ここしかないッ!! 最高の風をもらったぜッ!!」


タコメーターの針が跳ね上がり、銀色のボディが北斗のメルセデスの背後に吸い寄せられるように加速する。


若林「このストレートでAMGに仕掛けていくゥゥ!!!!! 相川、自慢のスリップストリームから一気にサイド・バイ・サイドへ持ち込むかァァッ!!!」


北斗「速いが、、、ッ こっちも負けてない、、、、ッ!!! フン、この戦い、強い奴が多いな、、、なら、申し分ない、、、、ッ!!!」


北斗がニヤリと不敵に笑い、AMGのV8ビットーボを咆哮させる。

日本のGT-Rと、ドイツのGT-R。

「R」の称号を冠する二台が、時速300キロ近い世界でミラーを削り合いながら、次の超高速コーナーへと突っ込んでいく!


北斗「来いッ! 日本の怪鳥よ! どちらの『R』が真に公道を支配するか、教えてやるッ!!」


北斗と相川が、互いの走りを認め合いながら極限のサイド・バイ・サイドを繰り広げていたその時。

背後から、美しいエンジンの咆哮をかき消すような、野太いブースト音と哄笑が響き渡った。


黒川「オラオラァァァァ!!!! 邪魔なんだよ! 日独対決しやがってェェ!!!!」


黒川のランエボXが、並走する二台のわずかな隙間にフロントノーズを無理やりねじ込む。

ガードレールに二台を押し付けるような、あまりにも強引な「三台並走スリーワイド」の強行突破だ!


北斗「なっ、貴様……ッ!? 誇り高きデュエルに水を差すかッ!!?フツー......ッ!」


クレア「あははっ! 我も混ぜろ〜✩ 闇の力でみんなまとめて凍らせてあげるっ!!」


クレアのデビルGT-Rも、黒川がこじ開けた隙間に便乗。

温泉街に包まれる冷気を切り裂き、闇のオーラを振り撒きながら、相川のR35のインサイドを強襲する。


相川「うわあああっ!? ちょっと待て、道幅が足りねぇよッ!! 四台並んでこのコーナーに入る気かよォォォッ!!!」


若林「地獄だァァァッ!! まさに公道の地獄絵図ォォッ!! 北斗と相川のタイマンに、黒川とクレアが殴り込みッ!! 四台のモンスターが、火花と罵声を撒き散らしながら一つに固まって超高速コーナーへ突っ込んでいくゥゥッ!!!」


四台が火花を散らし、死の四重奏を奏でる超高速の緩やかなカーブ。

黒川の幅寄せ、クレアの闇の抱擁……混沌とする戦場の中で、相川の瞳だけは「一筋の風の通り道」を見据えていた。


相川「……ここだ。北斗さん、アンタの作った風……最後まで使い切らせてもらうぜッ!!」


北斗「なっ、何だとッ!? この極限状態でさらに踏み込むか……ッ!!」


相川がパドルを弾くと、VR38DETTが咆哮を上げ、R35の巨体が北斗のAMGのサイドを鮮やかに、そして鋭く切り裂いた。

日産が誇るアテーサE-TSが四輪の駆動力を最適化し、混沌の四つ巴から銀色の矢となって相川が飛び出す!


若林「注目の日独GTR対決、、、ッ!! 相川の35ニスモが前へ!!! 日産に軍配ィィィィィィィィィッ!!!!! スリップストリームの申し子、ついにドイツの魔王を撃破ァァァッ!!!」


相川「おっしゃァァァァ! 見たかッ! これが日本の、俺のGT-Rだァァァッ!!!」


マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 相川くん、やるねぇーっ☆ あのグチャグチャな中から一人だけスッて抜け出しちゃうなんて、まるで本物の鳥さんみたいだよぉーっ☆!!」


北斗「……フッ、見事だ。だが次は負けんぞ、相川ッ!!」

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