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86伝説エーペックス  作者: SAI
米沢編
415/436

米沢編第27話 レジェンドと氷のドラゴン 

K364

VTECの鋭い金属音がMR-Sから放たれ、ウラカンのリアを削り取るかのように迫る。

古田の放つレジェンドとしての威圧感に、一時は気圧されそうになったセシルだったが、彼女はステアリングに添えた手にギュッと力を込めた。


セシル「でも、、、ウラカンだから負けないです、、、、ッ!!! 何があっても、、、この竜ちゃんは、、、ッ!!!」


彼女が「竜ちゃん」と呼ぶその白き猛牛は、主人の言葉に呼応するように、5.2リッターV10エンジンを爆発させた。

高回転域で鳴り響くランボルギーニ特有の咆哮。

古田のスリップストリームを力技で引き剥がそうと、ウラカンが夜の米沢を光の矢となって突き進む。


若林「セシルが踏んだァァァッ!! 古田のVTECによる吸い込みを、ウラカンの暴力的な加速が跳ね除けようとしているゥゥッ!! 相棒・竜ちゃんとの絆が、今、10位の座を死守せんとしているぞォォッ!!」


古田「……いい相棒だな。だが、絆だけで勝てるほど、このバイパスは甘くない。」


古田は眉ひとつ動かさず、さらにMR-Sのラインを絞る。

逃げる猛牛、追うVTEC。

古田は、セシルが「竜ちゃん」のパワーに頼ってラインがわずかに膨らむその一瞬を、クールに見定めようとしていた。


マヒロ「セシルちゃん、必死だよぉ……っ☆! 竜ちゃんっていうのは、彼女にとってただの車じゃないんだねっ! でも、古田さんのあの目は……もう抜き去る場所を決めてる目だよぉ……っ!!」


12位グループの先頭で狂気を撒き散らしていた高橋勇太に、ついに「年貢の納め時」が訪れた。

左右に激しく車体を振り、後続を拒絶し続けていたNSX。だが、その一瞬の「揺らぎ」を、フブキは見逃さなかった。


ドガッ!!!!


鈍い衝撃音と共に、フブキのエミーラがNSXのサイドを強引にこじ開ける。

絶対零度の衝撃がNSXの駆動系を一瞬で凍りつかせ、四輪制御のバランスを崩させた。


フブキ「さようなら......」


高橋「やられた、、、、ッ!!!

クソがァァァァ!!!!!!

クソ、、、クソクソクソォォ!!!!!!!」


スピン寸前の挙動で失速するNSX。その横を、銀色のエミーラが氷の粒子を撒き散らしながら、無機質な美しさで通り抜けていく。

絶叫し、悔しさに震えながら語彙力を失った高橋の無線に、通信に割り込む形で「深紅の猛獣」の怒号が突き刺さった。


ゾフィア

「クソクソクソ言ってたらウンコウンコウンコと言ってるのと同じよォォォォォッ!!!!!」


若林「な、なんという格言(?)だァァァッ!! 8位を快走するゾフィアから、後方の高橋へ強烈な一撃が入ったァァッ!! 確かに汚い言葉は走りを乱しますッ!!」


マヒロ「あははっ☆ ゾフィアさん、相変わらずキレッキレだねぇっ! 高橋さん、これで完全に精神的メンタルにもノックアウトだよぉ……っ☆」


フブキ「……うるさいわね、全員。汚物も狂犬も、まとめて私の後ろで凍ってなさい。」


フブキが12位へと浮上し、そのまま前方で火花を散らすセシルと古田の背中を、射貫くような視線で捉えた。


11位の古田がセシルのウラカンを仕留めにかかろうとした、その刹那。

バックミラーが、閃光のような銀色の輝きで埋め尽くされた。

フブキのエミーラが、時速300キロ近い速度から、信じられないような超次元のフルブレーキングを見せる。


古田「……なっ!?」


古田の計算では、まだフブキは後方の高橋と競り合っているはずだった。

だが、フブキはNSXを抜いた勢いをそのままに、エミーラの空力ダウンフォースを最大限に利用して、MR-Sのイン側、わずか数センチの隙間にノーズをねじ込んだ。


タイヤが悲鳴を上げ、アスファルトから白煙が上がる。

古田は瞬時にラインを修正しようとしたが、エミーラから立ち込める「絶対零度の気配」が、MR-Sの挙動を縛り付けるかのように路面を凍てつかせていた。


古田「ク、、、ッ!! 流石にロータスのほうが上手か、、、、」


古田はステアリング越しに、フブキの「恐怖を置き去りにした減速」に驚愕していた。

格下のマシンでのジャイアント・キリングを狙っていた彼が、逆に若き天才の「純粋な速さ」によって、その牙を折られようとしていた。


若林「フブキが決めたァァァーーーッ!!!

時速300キロからの神業フルブレーキング!! レジェンド古田のMR-Sを、米沢バイパスの入り口で一気にパスしたァァッ!!!」


マヒロ「すごぉいっ☆ フブキちゃん、もうセシルちゃんの目の前だよぉっ!! 古田さんを『踏み台』にしちゃうなんて、本当に冷徹な吹雪だねぇ……っ☆」


前方の怪物たちが殺し合いを演じる影で、20位台の集団もまた、爆発的なエネルギーを放っていた。

300馬力の衝撃をアスファルトに叩きつける伊藤翔太のスイスポ。そしてその真横で、まるで遊園地から飛び出してきたかのような明るい声を上げる少女、夢野ユナ。


ユナ「えっへん☆ お菓子をくれなきゃ、オーバーテイクしちゃうぞぉーっ! お菓子クイーン、ユナちゃん参上だよぉ☆」


若林「後方!!! 伊藤翔太と夢野ユナ対サテラ、フェルリア!!!! 伊藤翔太のスイスポと夢野ユナがここで仕掛けたァァァ!!!!」


サテラ「おいおい! さっきはカリンに抜かれ、今度はこの子供たちかよッ!? 舐められたもんだなッ!!」


サテラがランエボⅦを左右に振って牽制するが、ユナちゃんは全く物怖じしない。


ユナ「サテラさーん、そんな怖い顔してると、チョコが溶けちゃうよぉ? 翔太くん、いっけぇー!!」


伊藤「おうッ!! ユナちゃん、合わせろよ!!」


翔太のスイスポが放つ鋭い加速と、ユナちゃんのGR86が描く軽やかなステップ。

二台はまるでダンスを踊るように、フェルリアのシビックTYPE Rとサテラのランエボを挟み込む!


フェルリア「きゃあっ! 待って、私のシビックに86……っ!? これ、何したのッ……!?」


若林「ユナちゃんのGR86、シビックを外側から捲り上げたァァッ!! 翔太もサテラのインを強引に抉る!! これぞ若さの爆発だァァッ!!!」


後方集団の喧騒を切り裂き、一際禍々しいオーラを纏ったマシンが浮上した。

クレアの駆る日産 GT-R R35。

「デビルカラー」と称されるその漆黒と真紅のボディが、夜のバイパスの光を飲み込みながら、前方のマシンを次々と闇へと葬り去っていく。


若林「来た、来たァァァッ!! クレアのデビルGT-Rだァァッ!! 31位から一気に3台抜きッ! 28位へとその漆黒のノーズをねじ込んだァァッ!!」


クレア「ふんッ! 我の力、、、見たかァァ!!! 雑兵どもが、我の視界に入るだけでも身の程知らずというものよ……ッ!!」


クレアがアクセルを踏み込むと、GT-RのVR38DETTが地獄の底から響くような重低音を鳴らす。

彼女の放つ「闇の力」は、周囲の空気さえも重く、冷たく変えていく。

28位へと駆け上がった彼女の瞳には、遥か前方で火花を散らす上位陣の背中しか映っていない。


マヒロ「うわぁぁっ☆ クレアちゃん、ノリノリだねぇ! あのGT-R、闇のパワーで馬力パワーが増してるみたいだよぉ……っ☆」


フブキのエミーラが放つ絶対零度のプレッシャー、そして古田のVTECが奏でる執念の旋律。

その二台に挟まれ、絶体絶命と思われたセシルが、白き猛牛のステアリングを極限まで切り込んだ。


セシル「、、、いける、、、」


その呟きと共に、ウラカンのV10エンジンがバイパスの空気を引き裂くような大音響を上げる。

グワアアアッ!!!


若林「またセシルがここで来るかァァァァァ!!!!!? 10位死守どころか、前方の柳津雄介へ攻撃を開始ィィッ!!!」


柳津「ワイドボディであるウラカンで外から、、、ッ!!? 頭おかしすぎだろ、、、最近の奴らはァ、、、、ッ!!!!」


9位を走る柳津雄介のBMW M4。その巨大なキドニーグリルのすぐ横、本来なら車一台が通れるはずのないアウト側のわずかな隙間に、セシルは時速290キロで「竜ちゃん」のワイドな車体をねじ込んだ。

ガードレールまで残り数センチ。風圧で車体が浮き上がりそうになる中、セシルは一切アクセルを緩めない。


セシル「竜ちゃんは、ただの猛牛じゃないの……空だって飛べるんだからッ!!」


柳津は驚愕に目を見開く。

最新の電子制御をねじ伏せ、物理限界を無視してアウト側から捲り上げてくる白き影。

それはまさに、氷の冠を戴いた竜が、夜空へ向かって飛翔するような姿だった。


ガードレールとBMW M4のわずかな隙間。そこは本来、死へと続くライン。

だが、セシルの操る「竜ちゃん」――ウラカンにとっては、勝利へと続く唯一の滑走路だった。


若林「抜いたァァァァァッ!!! セシルのウラカン、柳津雄介のM4を圧倒的な速度差でブチ抜いたァァッ!! まさに、猛牛が翼を得て飛翔した瞬間だァァァッ!!!」


グオォォォォォォーーーーンッ!!!


V10エンジンの咆哮がM4のコクピットを揺らす。

柳津がステアリングを必死に抑え込み、ラインを死守しようとした次の瞬間には、セシルの白いテールランプが遥か前方で火花を散らしていた。

それは「競り合い」ですらなかった。純粋な出力パワーと、相棒への絶対的な信頼が生んだ、圧倒的なオーバーテイク。


柳津「……バカなッ!! あの速度でアウト側から……!? 挙動が乱れるどころか、加速しやがった……ッ!!」


セシル「バイバイ、柳津さん。竜ちゃんは、もっと先へ行きたいって言ってるの……ッ!!」


セシルはバックミラーも見ず、さらにアクセルを床まで蹴り飛ばす。

9位へと浮上した彼女の視界には、今や8位のゾフィア、そして上位陣が放つ強烈なオーラしか映っていない。


セシルの圧倒的な加速に置き去りにされた、9位(現10位)の柳津雄介。

誰もが彼のリベンジ、あるいは執念の追撃を予想したその時。車内無線から漏れ聞こえてきたのは、拍子抜けするほど緊張感のない呟きだった。


柳津「あー、、、にしても疲れたな、、、飯坂だし温泉に行っちゃおうかなー、、、?」


セシル「え、、、、ッ!!??」


セシルのコクピットにまで、その声は届いていた。

ミラー越しに見える柳津のBMW M4が、心なしかさっきまでの鋭さを失い、ふわふわと飯坂の夜景を楽しんでいるかのように見えた。


若林「な、な、ななな……何という事だァァァッ!! 柳津雄介、この激闘の最中に温泉への寄り道を検討中ゥゥッ!!? 確かに飯坂は名湯の地ですが、今はエーペックスカップの真っ只中ですよォォッ!!」


マヒロ「あははっ☆ 雄介さん、若手のパワーに当てられて疲れちゃったのかなぁっ? でも飯坂の温泉、熱くて最高だもんねぇっ☆」


セシル「ちょっと……! 真面目に走ってくださいッ!! 私、命懸けで抜いたのに……温泉って何ですか温泉ってぇぇっ!!」


柳津「いやぁ、セシルちゃんが速すぎるからさ。おじさん、心が折れる前にお肌をツルツルにしたくなっちゃって。鯖湖湯さばこゆとか、いいよねぇ……。」


雄介はハザードを点滅させ、あろうことか走行ラインを譲り始めた。

彼の戦意喪失(あるいは湯治への執念)により、後方の集団にさらなるカオスが訪れる!


米沢バイパスの闇を、重厚な金属音が支配する。

黒川海斗のランエボX Final Edition。

軽量化とは無縁の、剛性とトラクションを突き詰めたその「黒鉄」の塊が、時速280キロの弾丸となって前方の集団を強襲した。


黒川「……どけ。俺のラインを塞ぐ者は、すべて粉砕する。」


若林「黒川ァァァァァァァァァッッ!!!!!! 27位、黒川海斗が動いたァァッ!!

前方の陽太、フェルリア、そしてサテラをまとめて飲み込んでいくゥゥッ!! まさに黒鉄の重戦車だァァッ!!!」


黒川は一切のフェイントを入れない。最短距離、最短のライン。

パワーで勝るはずのサテラのランエボⅦが、黒川の放つ圧倒的な「プレッシャー」に押され、ラインを乱す。


サテラ「っ……!? なんだよこの重みは……ッ!! ぶつかってないのに、車体が押し返される……ッ!!」


ドォォォォォンッ!!


黒川のエボXが吐き出すマフラーの破裂音が、後方の3台を突き放す。

陽太のロードスター、フェルリアのシビック、サテラのエボ。

三台のライトウェイトやスポーツカーが、黒川が通り過ぎた後に残した「真空の渦」に足を取られ、木の葉のように舞った。


マヒロ「うわぁぁっ☆ 黒川くん、めちゃくちゃ硬派だねぇっ! 300馬力以上の衝撃波で、みんなを吹き飛ばしちゃったよぉ……っ☆」


黒川「……24位か。まだ足りない。俺の『鉄』をさらに熱くしろ。」


「……待たせたな。ロータリーの真骨頂、見せてやるぜ。」


33位、最後尾付近を静かに走っていた田中英二が、FD3Sのシフトレバーを叩き込んだ。

13B-REW。二つのタービンが過給圧を限界まで高め、アフターファイアと共に純白の車体が弾けるように加速する。


若林「来たァァァァァッ!!! 33位、田中英二だァァッ!! 眠れる獅子がついに目を覚ましたァァッ!! 前方の古賀、久我、高村、そして川村をまとめて抜き去るゥゥッ!! まさに4台ごぼう抜きィィィッ!!!」


古賀「な、何なの今の白い影はッ!? 風圧だけでハンドルが持っていかれる……ッ!!」


田中は一切の無駄を削ぎ落とした最短ラインを、時速280キロの「旋風」となって駆け抜ける。

コーナーに差し掛かってもブレーキを踏まず、サイドブレーキを一瞬引き、慣性ドリフトで4台の外側を豪快に捲り上げた。


田中「FDはな……曲がるために生まれてきたんだよッ!!」


若林「決まったァァァッ!! 究極のコーナリングワークで4台を一気に葬り去ったァァッ!! 順位は一気に29位へ浮上ゥゥッ!!」


マヒロ「うわぁぁっ☆ 田中さん、おじ様パワー全開だねぇっ! あの白いFD、まるでお化けみたいに速いよぉ……っ☆」


激戦が続く米沢バイパス。モニターには抜きつ抜かれつの大迫力の映像が映し出されているが、マヒロはある一台のマシンの挙動に目を留めた。


マヒロ「ねぇ若林さんっ☆ 相川くん、まだ動いてないねー、、、。私と同じRだからたくさん活躍してほしいんだけどなー、、、、」


若林「おっと! マヒロさん、18位の相川律に注目ですかッ!? 確かに彼はスタートからずっと、前方のマシンの真後ろ……数センチの『スリップストリーム』の中に引きこもっていますね!!」


マヒロ「あははっ☆ 引きこもってるっていうか、溜めてるんだよぉっ! R35 NISMOのパワーを温存して、一番美味しいところでバビューン!って行くつもりなんだよぉっ☆ 同じR乗りとして、その気持ち分かっちゃうなぁ……っ☆」


モニターの中、相川律のGT-R R35 NISMOは、時速300キロ近い超高速域にありながら、まるで磁石で吸い付いているかのように17位・北斗のAMG GTRの背後に張り付いている。


相川「…………(スリップ最高……。まだだ、まだ空気抵抗なんて受けたくない。極限まで……極限まで吸い付いてやる……。)」


若林「相川は完全に沈黙を守っています!! だが、マヒロさんの言う通り、この静寂は『爆発』の前触れなのかッ!? スリップマンがその鼻先を外へ向けた時、米沢の空気が一変するかもしれませんッ!!」


マヒロ「律くん、頑張れぇーっ☆ Rの底力、マヒロに見せてねっ!!」


福島飯坂、高速セクション。

バイパスを震わせる咆哮は、すべて「R」の称号を持つマシンたちのものだった。

17位から19位。そこには、時代も国籍も異なる三つの「R」が火花を散らしている。


若林「3台のRが福島飯坂をかけ巡る!!! 北斗神拳伝承者!! 相川律!! そして天羽シオン!!!! R対決から目を逃すなァァァ!!!」


先頭を行くのは、北斗のメルセデスAMG GTR。ドイツの「R」が放つV8ツインターボの重低音が、夜の空気を支配する。

そのわずか数センチ後ろ。空気抵抗を拒絶し、磁石のように吸い付く相川律のGT-R R35 NISMO。


相川「……スリップ……最高だ。このまま世界の果てまで吸い付いていたい……。」


だが、その二台が作る真空の渦へ、蒼い閃光が飛び込んだ。

天羽シオンのスカイラインGT-R R34 V-specII。RB26DETTの金属的な咆哮が、R35の真横で炸裂する。


シオン「Rの絆? 律くん、甘いわよ! 私のR34こそが、GT-Rの魂なんだからッ!!」


シオンはR34のATTESA E-TSを極限まで駆動させ、スリップから弾け出るように律のサイドへ並びかける。

マヒロと同じR35、そして伝説のR34。二つのGT-Rが、先頭のAMG GTRを左右から挟み込む「Rの包囲網」を形成した!


マヒロ「きゃあぁぁっ☆ 律くんのR35とシオンちゃんのR34が並んだぁぁっ!! 若林さん、これだよぉ! これが見たかったんだよぉーっ☆!!」


福島飯坂の直線。そこは今、日独の「R」が威信を賭けて激突する、世界で最も贅沢な戦場と化していた。


若林「来た、来た、来ましたァァァッ!! 北斗の緑色のAMG GTRも並ぶ!!! 日独R対決へ!!!! 蒼、銀、そして緑の閃光が飯坂の闇を三等分に切り裂くゥゥッ!!!」


北斗「……お前たちの執念、認めよう。だが、この『R』の称号、譲るつもりはないッ!!」


北斗がメルセデスAMG GTRのアクセルを床まで踏み込む。4.0リッターV8ツインターボが、野獣の咆哮を上げて周囲の空気を震わせる。

その左には、蒼きポニーテールをなびかせるシオンのR34。

その右には、無表情のままスリップの極致を追求する律のR35。


シオン「負けない……! 私のR34が、一番美しく輝く瞬間を、今ここで見せてあげるッ!!」


相川「……二台分のスリップ……。なんて甘い……、なんて濃密な空気なんだ……ッ!!」


律は狂気にも似た集中力で、二台が作る乱気流の隙間に自らのR35をねじ込み、三台が文字通りバンパーを並べて高速コーナーへと突っ込んでいく。

VR38、RB26、そしてAMGのV8。三つの異なる「R」の鼓動が重なり合い、バイパスの防音壁が悲鳴を上げた。


マヒロ「うわぁぁぁんっ☆! 最高だよぉ! どの『R』もカッコよすぎて、マヒロ、選べないよぉーっ☆!! みんな頑張れぇぇっ!!」

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