米沢編第24話 ゾフィアとフブキ
K361
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福島イオンの巨大なネオンが、バトルの舞台を白日の下に晒す。
柳津のM4 DTM Editionが放つ直列6気筒ターボの乾いた音と、ゾフィアのC7が奏でるV8の重低音。
日独米の意地が交差するこの瞬間、13号線バイパスの空気は熱を帯びて歪んでいた。
柳津「……いい咆哮だ。だが、このラインは譲らねぇッ!!」
ゾフィア「あははっ! 柳津ッ、あんたの精密な走りも、私のパワーで粉砕してあげるわよォォォッ!!」
二台の猛獣は、イオン手前の緩やかな右カーブに、時速260キロを超えたまま突っ込んでいく。
アウト側のゾフィア、イン側の柳津。一歩も引かない並走に、観客たちの叫びがバイパス沿いに響き渡る。
福島イオンのネオンを背景に、歴史的な決着がついた。
C7コルベットのV8が火を噴き、M4の鼻先を強引に掠めて前へ躍り出る。
ゾフィア「あははははッ!! 柳津ッ、これが私の『パワー』よォォッ!!」
柳津「ク、、、ッ!! 意外と強かった、、、ッ!!! あの強引なライン、あり得ねぇ……!!」
柳津がゾフィアの「猛獣」っぷりに舌を巻いた、その刹那だった。
狂熱に包まれたバイパスの空気が、一瞬で氷結したかのような錯覚に陥る。
若林「抜けてしまうゥゥゥ!!! 更にその瞬間、、、ッ!!! フブキのロータスが5台をごぼう抜きしてしまうゥゥゥ!!!!!!」
無言。ただ、エミーラのエンジン音だけが鋭く、冷たく響く。
フブキは表情一つ変えず、ブルーグレーの瞳で「隙」だけを見つめていた。
密集していた中団グループの間を、まるで針の穴を通すような精密さで、白いロータスが縫っていく。
18位、17位、16位、そして15位の花までも。
フブキの放つ「絶対零度」のプレッシャーに、誰もがハンドルを握る手を一瞬硬直させた。
花「(……何、この寒気……っ☆!? 抜かれたことすら、気づかなかった……!?)」
北斗、相川、シオン、チャッピー、そして花。
「桜狼」を含めた実力者たちが、15歳の少女が放つ「鋭利なる吹雪」に一瞬で切り裂かれた。
抜き去った後も、フブキは一切の感情を見せず、ただ淡々と前方のターゲットへ照準を合わせる。
マヒロ「な、何今の……。フブキちゃん、怖いくらい静かだよぉ……☆ まさに氷の刃だねっ!!」
福島イオンの華やかな光がバックミラーの彼方へと消え去り、国道13号バイパスは街灯の少ない、深い闇の底へと沈んでいく。
その暗闇を切り裂くのは、もはや熱狂ではない。15歳の少女、フブキがエミーラから放つ、刺すような冷気だった。
若林「抜けてしまうゥゥゥ!!! 更にその瞬間、、、ッ!!! フブキのロータスが5台をごぼう抜きしてしまうゥゥゥ!!!!!!」
フブキ「…………。」
エミーラのコクピットの中、フブキは瞬き一つせず、ただ機械的に、かつ冷酷に最短ラインを選び取っていく。
彼女の周囲だけ、雪の結晶が舞っているかのような錯覚。
追い抜かれる瞬間、チャッピーも、シオンも、そして相川も北斗も、脊髄をなぞるような悪寒に襲われた。
それは、勝利への執着を超えた「無」の境地。
そして、その鋭利な刃は、ついに山吹花のWRX STIの真横を捉える。
花「(……っ! 何これ……体が動かない……っ☆!? ハンドルが、氷ついたみたいに重い……!!)」
花は必死にアクセルを踏み込むが、フブキのエミーラが放つ圧倒的な「負のオーラ」に、WRXのボクサーサウンドさえもが窒息しそうになっていた。
無言。無慈悲。
フブキは横目で花を見ることもなく、ただ一筋の銀色の閃光となって、花の視界から消えていった。
13位奪取。だが、フブキにとってはそれすらも通過点に過ぎない。
若林「山吹花、なす術なしッ!! 5台をごぼう抜きにしたフブキのロータスが、今や中団グループの『死神』として君臨しているゥゥッ!!」
マヒロ「花ちゃん……! あの子の雰囲気、ただの『速い』じゃないよ……☆ まるで、コース全体を凍らせて、自分だけがその上を滑っているみたい……っ!!」
後方に取り残された花。シフトの不調に加え、フブキが残していった「絶対零度」の衝撃が、彼女の闘志をじわじわと凍りつかせていく。
国道13号バイパス、街灯すら届かない闇の深淵。
5台をごぼう抜きにしたフブキのエミーラが、その銀色の車体を不気味に輝かせながら、前方の闇を切り裂いていく。
バックミラー越し、フブキは追撃を許さない冷徹な瞳で、後方に取り残された青い影を見つめていた。
フブキ「、、、、、、私の吹雪、、、もっと味わいたい、、、?」
その呟きは、極寒の風に乗って花の耳に届いたかのようだった。
次の瞬間、山吹花のWRX STIの車内温度が、物理法則を無視して急激に低下していく。
花「(……っ! ……寒い……。指先が、感覚が……消えていく……ッ!!!!)」
だが、その極限の寒さが、花の深層心理に眠る「何か」を叩き起こした。
花のこめかみに青白い筋が浮かび上がり、眉間に険しいしわが刻まれる。
控えめだった少女の表情が、獲物を狙う「雪狐」のそれに塗り替えられていく。
花の周囲には、彼女自身から分泌される特殊な汗と氷雪の力が混ざり合い、霧のようなオーラが渦を巻き始めた。
WRXの車体は、白桃の皮が凍りつくように薄い氷の膜に覆われ、次第にそれは「ふにゃふにゃ」とした液体から、カチカチの「アイスキャンディ」のような硬質なる鎧へと変貌していく。
花「……凍るなら……。いっそ、この世界ごと……!!!!)」
シフトトラブルの不快な振動が、氷の鎧によって押さえ込まれる。
青い電撃を纏っていたはずの桜狼は今、白銀に煌めく「氷の狼」へとその姿を変貌させ、フブキの吹雪の中へと再びその牙を突き立てた!
マヒロ「花ちゃんっ!? 顔つきが変わった……☆! あの冷気……セシルちゃんやちとせさんとも違う、もっと鋭くて……甘い香りのする氷だよっ!!」
サイド・バイ・サイド。一瞬だけ並んだWRX STIの窓越しに、フブキのブルーグレーの瞳が花を射抜く。
その瞳には、レースの熱狂も、勝利への渇望も映っていない。ただ、全てを静止させる「終焉」の光だけが宿っていた。
花「(……っ! 寒い……っ☆。この子の近くにいるだけで、エンジンまで凍りつきそう……っ!!)」
花が恐怖でハンドルを握り直したその時、無線のノイズを切り裂いて、フブキの冷徹な声が直接脳内に響き渡る。
フブキ「いいえ、、、カチコチになるのはあなたよ花ちゃん、、、」
花「……えっ!? 今、なんて……っ☆」
宣告と同時に、フブキのロータス・エミーラから、目に見えるほどの「白き冷気」が噴き出した。
バイパスのアスファルトが、彼女の通り道だけ薄氷に覆われたかのように白く染まる。
それは物理的な冷気を超えた、フブキ自身の精神が具現化した「絶対零度の領域」。
フブキはシフトアップの音さえ立てず、滑るように花の鼻先を掠めていく。
抜き去り際、エミーラのリアディフューザーから巻き上がった雪のような火花が、花のフロントガラスを叩く。
花「(……ガラスが……凍っていく……っ☆。前が、見えない……!!)」
若林「山吹花、完全に沈黙ゥゥゥッ!! フブキの冷徹な一言が、桜狼の心を真っ白に塗りつぶしたァァッ!! 13位に浮上したフブキは、もはや後方など見向きもしないッ!!」
マヒロ「花ちゃんっ!! ダメだよ、飲まれちゃ……っ☆!! ああぁ、WRXの排気音が……どんどん小さくなっていくよぉ……っ!!」
15歳の少女が放った「カチコチ」という言葉。それは、花にとって死の宣告に等しい重みを持って、彼女の動きを完全に封じ込めた。
国道13号バイパスの闇が、フブキの言葉と共に一層深く、重く花にのしかかる。
WRX STIのフロントガラスを叩く雪のような火花は、いつしか本物の氷晶へと変わり、花の視界を真っ白に塗りつぶしていく。
フブキ「そのまま、、、最下位にまで落ちて眠っていなさい、、、、、、ッ」
無線のノイズさえもが凍りつき、フブキの透明な声だけが花の鼓膜を直接撫でる。
それは勝利への宣言ではなく、まるで動かなくなった獲物を弔う聖歌のようだった。
フブキ「静かになるのも、、、悪くないよ?」
花「(……ッ。ダメ……意識が……遠のく……。エンジンの音が……聞こえない……っ)」
花の指先から感覚が消えていく。ステアリングを通して伝わってくるはずの路面の鼓動が、厚い氷の層に遮られ、何も伝わってこない。
フブキのエミーラが放つ「絶対零度」の領域に囚われたWRXは、まるで氷点下の湖に沈んでいく石のように、ずるずると順位を下げ始めた。
17位、18位……。
後方から迫るマシンのライトが、凍りついた花の瞳には遠い星の光のようにしか見えない。
北斗「……どうした、桜狼ッ!? 貴様の闘気、完全に消失しているぞッ!!」
相川「ハッ、おねんねの時間かよ! 悪いな、先に行かせてもらうぜッ!!」
若林「信じられない光景だァァァッ!! 13位に返り咲いたはずの山吹花が、フブキの『呪い』とも取れる一言で完全停止状態ッ!! 16位から一気に後方集団へ飲み込まれていくゥゥッ!! まさに最下位への滑落だァァッ!!」
マヒロ「花ちゃんっ! 起きてっ、花ちゃんっ☆!! 眠っちゃダメだよぉっ!! このままじゃ本当に、コースの隅で氷像になっちゃうよぉ……っ!!」
フブキの白いエミーラは、もはやバックミラーからも消え失せた。
残されたのは、凍りついたコクピットの中で、ガタガタと震えながら意識を失いかけている一人の少女。
「桜狼」の誇りは、今、絶対零度の闇に葬られようとしていた。
国道13号バイパスの闇は、もはやアスファルトの黒さではない。
フブキの「絶対零度」が、花の視界を、思考を、そして生きるための熱量さえも白く塗りつぶしていく。
フブキ「そのまま、、、最下位にまで落ちて眠っていなさい、、、、、、ッ」
無線の向こう側から聞こえるフブキの声は、まるで冷たい氷の針となって花の耳朶を刺す。
WRX STIの車内温度は急激に低下し、花が吐き出す吐息は白く凍りつき、フロントガラスに結晶となって張り付いた。
フブキ「静かになるのも、、、悪くないよ?」
花「……あ、……ぁ…………」
花の唇は紫に震え、言葉にならない。
ハンドルを握る指先は感覚を失い、重い氷の塊に触れているかのようだった。
エンジンの回転数が、花の意識と共にゆっくりと、確実に落ちていく。
3000、2000、1500……。
花「(……寒い。……何も、聞こえない。…カナタ、、、伊藤くん、、、芽衣、、私……もう……)」
青い稲妻と呼ばれたマシンの咆哮は、今や虫の息のような喘ぎへと変わっていた。
後方から迫るマシンのライトが、凍りついたフロントガラス越しに、ぼやけた死神の目のように光る。
若林「山吹花、完全脱落かァァァッ!! 21位からもズルズルと後退ッ!! フブキの『呪縛』に囚われた桜狼は、もはや走る意欲さえ奪われているッ!! このままバイパスの闇に消えてしまうのかァァッ!!」
マヒロ「花ちゃんっ! 起きてっ! 誰か……誰か花ちゃんを助けてぇっ!!」
フブキのエミーラが残していった氷の轍の上を、WRXはただ慣性だけで滑っていく。
「桜狼」の牙は折れ、誇りは凍土に埋もれた。
バイパスの最果てで、少女は深い、深い眠りの淵へと引きずり込まれていった。
国道13号バイパスの最果て。
そこには、中団の激闘とは無縁と思われていた「闇」が潜んでいた。
35位、クレア。漆黒にデビルカラーのラインが走るR35 GT-Rのコクピットで、彼女は不敵に口角を上げた。
クレア「聞いたのじゃ! 今のォ、、、! 青い戦闘機がまさかの順位を21位まで落としてるみたいじゃな、、、ッ!! 我の車はR35じゃぞ? そこらの3台はいけそうじゃ、、、よーしッ!!!」
クレアの瞳が、獲物を定めた猛獣のように鋭く光る。
前方を行く3台のマシン。彼らにとって、後方のクレアは「眼中にない存在」だったはずだ。
だが、デビルカラーのGT-Rが放つVR38DETTの咆哮が、バイパスの闇を切り裂いた瞬間、その認識は恐怖へと変わる。
若林「クレアが3台一気に仕掛けようとしてきたァァ!!!! 35位という深淵の底から、デビルカラーのR35が這い上がってくるゥゥッ!! まさに地獄からの使者だァァッ!!」
クレア「ひれ伏すがよいッ!! この加速こそが、我の誇りなのじゃァァァッ!!」
ブースト圧が跳ね上がり、4WDの強大なトラクションがアスファルトを掴む。
クレアは一切の躊躇なく、3台の間に強引に車体をねじ込んだ。
風圧で煽られるライバルたちを嘲笑うかのように、デビルカラーの残像だけを残して、彼女は一気に順位を押し上げていく。
一方、その遥か前方、21位。
フブキの「絶対零度」にさらされながらも、山吹花はまだ、そこにいた。
花「(……寒い……けど……まだ、落ちるわけにはいかない……)」
意識が朦朧とする中で、花はWRXのステアリングを離さない。
後方でクレアが暴れ回っていることなど知る由もないが、レジェンドの血筋が、彼女を21位という崖っぷちで踏みとどまらせていた。
次回 大手を掛ける 土曜日公開




