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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!米沢編
406/425

米沢編第18話SP 田中村と黒川ホテル

K355

第104話以来のSP回。

回転寿司の帰り。夜の冷気が立ち込める駐車場に、重厚な排気音を響かせて一台のマシンが停まった。

パールホワイトに輝く、日産 スカイラインGT-R R34 V-spec II。

ドアが開き、高く結い上げたポニーテールを揺らしながら、一人の少女が降りてきた。


シオン「初めまして、、、芦ノ湖編から参加してますが、、、天羽シオンと言います、、、、」


彼女は愛車のボンネットに軽く手を置き、凛とした視線をカナタたちに向けた。

その佇まいは、まさに「蒼きポニーテール」の異名にふさわしい。


カナタ「腹切カナタ、、、、」

カナタもまた、彼女の放つ強いオーラを感じ取り、真っ直ぐにその瞳を見つめ返す。


伊藤「伊藤翔太だ!」

伊藤はR34の細部――V-spec II特有のカーボン製ディフューザーや細かなセッティングに目を配りながら名乗った。


花「花だよ!山吹花! その34、めちゃくちゃカッコいいねッ☆」

花はSTIのオーナーとして、同じ4WDの頂点に立つマシンに興味津々で声をかける。


イヨ「イヨだよー!! お姉ちゃん、髪型カッコいいー☆」

イヨも天真爛漫な笑顔でシオンに駆け寄った。


セシル「......セシルです、、、、」

セシルだけは少し離れた場所から、白いウラカンと白いR34、二つの「白」が並ぶ光景を静かに分析していた。


シオン「腹切カナタ……あなたの86の噂は聞いているわ。そしてセシル、あなたのウラカンもね。……芦ノ湖では満足な走りができなかったけれど、この米沢の峠では、私のR34が誰にも前を走らせない。……期待しているわよ、皆さん」


シオンはそう言い残すと、再びR34の運転席へと乗り込んだ。

RB26DETTエンジンが再び咆哮を上げ、テールランプが霧の向こうへと消えていく。

その後に残されたのは、明日の決勝への確かな熱量だけだった。


シオンのR34が去った直後、聞き覚えのある陽気な声が駐車場に響き渡った。

そこに立っていたのは、特徴的な緑色の髪をなびかせた青年、田中英二だ。


田中「あー!! カナタじゃねェか!!」


カナタ「田中ッ!!! やっと会えたな!!」


カナタは驚きと喜びが混ざった声を上げ、田中の元へ駆け寄る。


伊藤「田中か、、、大玉村以来か? 相変わらず派手な髪色だな」


伊藤も懐かしそうに目を細め、かつて共に走った戦友の無事な参戦を喜んだ。


花「誰? この人、、、カナタくんの知り合いッ☆?」


花は不思議そうに、緑色の髪の青年をじっと見つめる。


カナタ「花が来る前のエーペックスカップに参加してたんだよ!! 走りのセンスもすごいんだ」


イヨ「すごいなんでも知ってそうな雰囲気してるー!! もしかして、物知り博士なの?」


イヨが興味津々で田中の周りをぐるぐると回る。田中は照れくさそうに鼻の下をこすりながら、自慢げに答えた。


田中「まだまだだけどね☆ 自分だけの村である田中村を受け持ちしているんだー☆ 走りの知識も、村の運営もバッチリさ!」


花「田中村……? 自分の村を持ってるの!? すごーいッ」


セシル「……田中村。……地域、コミュニティの、形成。……興味深い。……ですが、明日のレースでは、30位からの、巻き返し。……計算、必要です」


田中「おっと、セシルちゃんも手厳しいね! でも見てなよ、田中村の意地を見せてやるからさ!」


かつての仲間と新しい仲間が混ざり合い、駐車場はまるで同窓会のような温かな空気に包まれていった。


花「すごいじゃねェェェ!!!! なんで田中村とか変な村持ってるのよォォ!!!」


花は目を見開き、身を乗り出して田中の襟元を掴まんばかりの勢いで叫んだ。

WRXのブースト圧が最大までかかったような彼女の怒涛のツッコミに、田中は「おっとっと☆」と軽くのけぞる。


田中「あはは☆ 変な村じゃないよ! 田中村は僕の理想が詰まった最高の場所なんだ。緑がいっぱいで、みんな家族みたいなのさ☆」


花「意味わかんないよッ!! エーペックスカップに出るレーサーが、なんで村の村長やってるのよ! 田中……アンタ、ただ者じゃないわねッ☆」


カナタ「あはは……。花ちゃん、落ち着いて。田中はいつもこんな感じなんだ。でも、走らせると本当に速いんだよ?」


伊藤「……そうだな。田中村の村長という肩書きはともかく、あのFD3Sのコーナリングは村一つ分の重みがあるかもしれないな。な、田中?」


田中「伊藤も上手いこと言うねぇ☆ でも本当、明日の決勝は楽しみだよ。カナタ、花ちゃん、それにそこの可愛いイヨちゃんも、田中村のスピードについてこれるかな?」


イヨ「イヨ、負けないよー☆ スープラで田中村を追い越して、イヨ村を作っちゃうもんねーっ☆」


相川「……村の増設はやめてくれ。それより、田中! お前も来たなら丁度いい、お会計を手伝……」


田中「あ! 田中村の畑の様子を見なきゃいけないから、僕はこれで! じゃあね、みんな☆」


田中は風のように自分のFDへと戻り、軽やかなロータリーサウンドを響かせて去っていった。

残された花は、「なんなのよアイツ……ッ☆」と、呆れながらもその強烈な個性に少しだけ楽しそうな表情を見せていた。


花「待てやァァァァァ!!!!!」


逃げようとした田中を、花の鋭い咆哮が捉えた。

駐車場に響き渡るその声は、STIのバックタービン音よりも鋭く、空気を震わせる。


花「そんな村あるわけないだろォォォッ!!!!!!! こっちこいッッ!!!」


田中「あわわ☆ 田中村の畑が……大根が僕を呼んでいるんだよ、花ちゃん☆」


花「うるさいッ! 畑は逃げないけどアンタは逃げるでしょ! 証拠を見せなさいよッ☆ うちら、今日ホテル泊まるからッ!!! アンタも強制連行よッ!!!」


花の強引な誘い(?)に、田中は「ボクの自由がァァ☆」と叫びながらも、観念したように苦笑いを浮かべた。


カナタ「あはは……。花ちゃん、本当に元気だね。でも、田中も一緒にいた方が賑やかでいいかもね」


伊藤「フン、賑やかすぎるくらいだがな。……おい、相川。田中も連れていくなら、お前の財布のダメージを少しは分散できるんじゃないか?」


相川「……! そうか、その手があったか! 田中ッ! お前、村長なんだから金持ってるんだろ!? 田中金コインでも何でもいいから払ってくれッ!!」


田中「あはは☆ 田中村は物々交換が基本だから、現金はあんまりないんだよねぇ☆」


セシル「……田中村。……非貨幣経済。……ますます、分析の、価値があります。……ホテルにて、詳しく、ヒアリングを。……ッ」


セシルの瞳が怪しく光り、氷の竜の尻尾が期待でパタパタと揺れた。

こうして、田中を加えた一行は、嵐のような賑やかさを引き連れて、米沢の夜の街へと繰り出していくことになった。


田中「まぁ、でも、、、仕事で貯めた金があるから。田中村の維持費も、実は結構かかるんだよね☆」


田中は懐から、村長らしからぬしっかりとした財布を取り出し、爽やかな笑顔を見せた。

だが、その「普通」な対応が、逆に花ちゃんの逆鱗に触れた。


花「そういう問題じゃないッ!!!! ……なんでこんな感じにイカれた奴らがエーペックスカップに出ちゃうのよ……ッ! 普通の感覚のレーサーはいないわけッ!?」


花は頭を抱え、隣で冷静にコーヒーを飲もうとしていた伊藤の肩を激しく揺さぶる。


花「伊藤くん! なんとかしてよッ! アンタ、この変な村長と知り合いなんでしょ!? 説教してよッ!!」


伊藤「……おい、揺らすな。コーヒーがこぼれる。……なんとかしろと言われてもな。この世界エーペックスカップで、まともな奴を探す方が難しい。……カナタだって、走れば十分イカれてるだろ?」


カナタ「えっ!? 僕も……? あはは……そうかなぁ」


カナタは苦笑いしながら、セシルに助けを求めるような視線を送った。


セシル「……イカれた。……定義、不明。……ですが、田中英二の、経済基盤は、堅実。……予測、修正。……彼は、ただの、狂人ではなく、計画的な、狂人です」


花「計画的な狂人って一番タチが悪いじゃないのよォォッ!!」


こうして、花ちゃんのツッコミが米沢の夜空に響き渡る中、一行は賑やかすぎる足取りでホテルへと向かうことになった。

相川だけは、田中の「自腹」宣言を聞いて、一人でガッツポーズを決めていた。


お寿司屋さんの喧騒から離れ、ようやくチェックインを済ませた山吹花。

「ふぅ……今日は疲れたッ☆」と独り言を漏らしながら、カードキーで280号室のドアを開けた、その瞬間だった。


部屋の明かりをつけると、そこには優雅にソファに腰掛け、なぜか哺乳瓶を手にした黒川海斗がいた。


黒川「バブーおかあちゃ」


花「アンタなんでここにいるのよォォォォ!!!!!!」


花の声がホテルの防音壁を突き破らんばかりに響き渡る。

しかし、黒川はどこ吹く風で、甘えるような視線を花に向けてきた。


黒川「え? 今日はおかあちゃと一緒に同じベッドで寝るんでしょ? 公式から宿泊代もらってそれでスイートルームで……。ボク、おかあちゃが来るのずっと待ってたんだよ?」


花「聞いてねェよォォォォッ!!!!! 誰が公式だッ! 誰がおかあちゃだッ! 出ていけェェェッ☆!!」


黒川「ひどいよ……。ボク、明日の決勝はエボXでおかあちゃの後ろをずっと追いかけるって決めてるのに……。バブー……」


花「追いかけてくるなッ!! 恐怖でしかないわよッ!! 伊藤くん! カナタくん! 誰か助けてぇぇぇッ☆!!」


280号室から聞こえる花の絶叫。

隣の部屋で荷物を解いていた伊藤は「……また何か始まったのか」と深くため息をつき、耳栓を装着した。

セシルは廊下で「……黒川海斗。……精神状態、退行。……母性、求求。……計算外の、変態イレギュラーです」と静かに手帳に記録した。


黒川「はいはいおかあちゃー温泉に入りましょうねー☆ ボク、おかあちゃの背中流してあげるバブー☆」


黒川は哺乳瓶を片手に、鼻歌まじりで花を大浴場の方へと促す。

その足取りは軽く、まるで明日のレースを前にリラックスしきっているかのようだ。


花「女湯なのに男が入るなァァァァァ!!!!! 誰かッ! 警察呼んで! 運営呼んでェェェッ!!」


※良い子はマネしないでね!


大浴場の入り口で、必死に脱衣所の柱にしがみつく花。

それをニコニコしながら引っ張る黒川。もはやエーペックスカップのトップレーサーたちの威厳はどこにもない。


カナタ「あわわわ……花ちゃんが大変なことに……。でも、女湯の方には助けに行けないよ……ッ!」


カナタは入り口でオロオロするばかり。伊藤は遠くで「……勝手にやってろ」と、関わりを断つように自室の鍵を閉めた。


セシル「……黒川海斗。……公序良俗、無視。……女湯への、侵入試行。……これは、物理的な、排除が、必要です」


セシルの瞳が冷たく光り、氷の竜の尻尾が戦闘態勢に入る。

彼女の放った一筋の冷気が、脱衣所の床を瞬時に凍らせ、黒川の足を滑らせた。


黒川「おっとっとバブー☆ おかあちゃ、床が滑るから気をつけてねー☆」


花「アンタのせいだよォォォォッ!!!」


米沢の夜は、レース本番を前にして、別の意味で熱く(そして寒く)更けていくのであった。


黒川「風呂場に行き着く前にローションかけてあげるねおかあちゃー☆ ボク、おかあちゃのお肌をエボXのボディみたいにテカテカにしてあげるバブー☆」


黒川はどこから取り出したのか、怪しげなボトルを手に花の背後に迫る。

その瞳は、獲物を追い詰める重戦車そのものだ。


花「いやだァァァァァ!!!!! ローションとかかけるな! 誰がテカテカのSTIだッ! 近寄るなァァァッ!!」


花は全速力で廊下をダッシュするが、背後からは「待ってよおかあちゃー☆」と不気味な笑みを浮かべた黒川が、驚異的なスタミナで追いかけてくる。


カナタ「……あれ、なんの競技かな? 障害物競走……?」


廊下に出てきたカナタは、あまりの光景に現実逃避を始めた。


セシル「……黒川海斗。……粘性液体の、使用予告。……これは、もはや、セクシャルハラスメントの、カテゴリーを、逸脱しています。……強制停止シャットダウン、実行」


セシルの指先がパチンと鳴る。

廊下の床が一瞬にして「鏡面のような氷」に変わり、ローションを振りかざそうとした黒川の足元をさらった。


黒川「おっとバブーーーッ☆!!!」


黒川は派手に転倒し、持っていたボトルが宙を舞う。

その隙に、花は「助かったァァッ☆!」と叫びながら、近くの非常階段へと逃げ込んだ。


米沢のホテルは、明日の決勝を前に、コース上のバトルよりも過酷な「鬼ごっこ」の舞台と化していた。


ホテルのレストラン。明日の決勝を前に、参加ドライバーたちが一堂に会しての夕食会。

だが、山吹花の目の前では、目を疑うような光景が広がっていた。


黒川「あむあむバブー☆ おかあちゃー、お口にソースがついちゃったバブー☆ 取って取ってー☆」


黒川はハンバーグを素手で掴み、口の周りどころかテーブルまでデミグラスソースまみれにしている。

さらに食べかけのライスをポロポロとこぼしながら、花に顔を近づけてくる。


花「......汚いッ!!!!」


花はフォークを叩きつけ、立ち上がって絶叫した。


花「アンタ! 食べ方まで赤ちゃんに戻ってんじゃないわよォォォッ!! 汚すぎる! エボXが泣いてるわよッ☆!!」


伊藤「……おい、そこの重戦車。せめてナイフを使え。見てるこっちの食欲が失せる」


伊藤は眉間にシワを寄せ、極力視界に入れないように自分のサラダを口に運ぶ。


カナタ「あはは……。黒川くん、お腹空いてたのかな? でも、確かにもう少し綺麗に食べたほうがいいかも……」


セシル「……黒川海斗。……咀嚼効率、最悪。……周囲への、不快指数、上昇中。……食事のマナー以前に、生物としての、品格を、疑います」


セシルは自分のオムライスをミリ単位の正確さで切り分けながら、ゴミを見るような冷ややかな視線を黒川に送った。


イヨ「お兄ちゃん、イヨのプリン、あの人に取られないように守っててねッ☆」


相川「安心しろイヨ……。アイツに近づく奴は誰もいねえよ……」


黒川「ひどいよみんなー☆ おかあちゃが食べさせてくれないから、ボク上手に食べられないんだバブー☆」


花「勝手に餓死しなさいよォォォォッ!!!」


米沢の夜。明日のレースを前に、花は精神的な疲労で予選時よりも激しく消耗していくのであった。


黒川「もう少しでうん子が漏れそうバブー☆ 取っておかあちゃー☆ オムツ替えてバブー☆」


レストランの静寂を切り裂く、黒川の衝撃的な発言。

手に持っていたフォークを落とし、黒川は花に向かって両手を広げ、満面の笑みで「その時」を待っている。


伊藤「......」


あの冷静沈着な伊藤翔太が、持っていた湯呑みを空中で静止させたまま、石のように固まった。

彼の脳内演算回路をもってしても、この「バブみの深淵」を処理することは不可能だった。


花「やめろォォォォッ!!!!!! 伊藤くん、助けてェェッ!! なんで私がアンタのそんなものまで世話しなきゃいけないのよォォォッ!!」


花は椅子を蹴り飛ばさんばかりの勢いで立ち上がり、顔を真っ赤にして叫ぶ。


カナタ「あ、あわわわ……。黒川くん、それは……それは流石に、マナー違反以前の問題だよ……っ!」


セシル「……黒川海斗。……排泄予告。……及び、介助の、強要。……これは、生物学的な、テロリズムです。……駆除。……駆除、対象です」


セシルの周囲の気温が急激に下がり、レストランの窓ガラスにヒビが入るほどの冷気が渦巻く。


イヨ「お兄ちゃん! あの人、お尻から何か出そうだよ! 逃げようッ☆!!」


相川「ああ……。俺、明日レースに出る自信がなくなってきたよ……」


黒川「おかあちゃー☆ 早くしないとエボXのシートが大変なことになっちゃうバブー☆」


花「知るかァァァァァッ!! 自分でなんとかしなさいよォォォォッ!!!」


米沢の夜、明日の決勝を前にして、花は「選手生命」よりも「精神の平穏」の危機に直面していた。


レストランから命からがら逃げ出し、280号室に戻ってきた花。

だが、そこで彼女を待っていたのは、さらなる絶望的な光景だった。


花「やだ、ベッド1つしかないじゃん....しかも1人がやっとのスペースで、、、」


そこはスイートルームとは名ばかりの、やけに窮屈なシングルベッドが置かれた部屋だった。

呆然とする花の背後から、黒川がニチャア……と不気味な笑みを浮かべて忍び寄る。


黒川「じゃあお母ちゃんとハグしながら寝まちょーねー♡ 狭い方が密着できて、ボク安心するバブー☆」


花「嫌だァァァァァァァアっ!!!!!!!!!」


ゲシッ!!!!


花の右足が、STIのピストン並みの速度で黒川の急所に突き刺さった。


黒川「バブボォォォォォッ!!!」


悶絶して床を転げ回る黒川。その拍子に、彼が持っていた哺乳瓶が宙を舞い、壁に当たって虚しく中身をぶちまける。


花「誰がアンタなんかと寝るかァァァッ☆!! アンタは床でエボXのタイヤのマネでもしてなさいよォォォッ!!!」


隣の281号室では、セシルが壁越しにその音を聞き、「……物理的、打撃。……急所、命中。……山吹花、戦闘力、上昇。……明日の、レースに、ポジティブな、影響。……かも、しれません」と静かに日記を閉じていた。


米沢の夜、花にとっての「真の戦い」は、峠の前にこの280号室で幕を開けていた。


花「え、押し入れにも布団とかないじゃん、、どうしよ、、、」


花は半泣きになりながら、スカスカの押し入れを何度も確認した。

あるのは消臭スプレーとハンガーだけ。どうやらこの部屋、本当に「二人で一つのベッド」を想定して予約されていたらしい。


花「嘘でしょッ☆ 公式の宿泊代ってこんなにケチなの!? ……あッ!!」


床に視線を落とすと、そこには花のキックを食らって「バブボォォ……」と白目を剥いて気絶している黒川が転がっている。


花「……コイツをベッドに上げるわけにはいかないし、かといって私が床で寝るのも癪だし。……よしッ☆!!」


花は意を決して、クローゼットにあった予備のバスタオルを数枚取り出した。


花「アンタはこれで十分よッ!!」


気絶したままの黒川の上に、これ見よがしにバスタオルを一枚だけバサリとかける。

そして自分は、シングルベッドの真ん中にWRXのシートに深く腰掛けるように陣取り、毛布をぐるぐる巻きにして要塞を築き上げた。


花「明日の決勝、寝不足でミスったら全部アンタのせいだからね……黒川海斗ッ!!!!」


廊下では、様子を見に来たカナタがドア越しに「花ちゃん、なんだか戦ってるみたいだね……」と呟き、自分の部屋へと静かに戻っていった。


米沢の深い夜。33人のドライバーたちは、それぞれの思惑とトラブルを抱えたまま、運命の夜明けを待つ。


エーペックスカップ 第7戦 米沢グランプリ 決勝確定グリッド表(全33名)


順位 | ドライバー | 搭乗車種 | 属性/特性

-----------------------------------------------------------------------

01 | フリス | ポルシェ 718 ケイマン GT4 | 甘美なる最強

02 | シラヌイ | レクサス LFA | 天使の咆哮

03 | ちとせ | 日産 フェアレディZ RZ34 | もへ〜(白い吹雪)

04 | イヨ | トヨタ GRスープラ | 神の領域

05 | 山吹 花 | スバル WRX STI | 蒼き守護者

06 | 腹切 カナタ | REVIVE 86 TURBO | 赤きターボの継承者

07 | 森下 遊矢 | マツダ RX-8 (787B Swap) | 吹雪 of 瞳

08 | 岡田 大成 | トヨタ GRヤリス | 白い狼

09 | ゾフィア | シボレー コルベット C7 | 真紅の猛獣

10 | 高橋 勇太 | ホンダ NSX (NC1) | 銀色の断頭台

11 | 坂田 五郎丸 | ブガッティ シロン | 漆黒の魔王

12 | 相川 律 | 日産 GT-R R35 NISMO | 自称スリップマン

13 | 夢野 ユナ | トヨタ GR86 | 氷のプリン

14 | 神代 ナツメ | スバル BRZ (ZD8) | 蒼き彗星

15 | チャッピー | トヨタ GRコペン | 白髪の弾丸

16 | 天羽 シオン | 日産 スカイラインGT-R R34 V-specII | 蒼きポニーテール

17 | 伊藤 翔太 | スズキ スイフトスポーツ | 300馬力の衝撃

18 | 陽太 | マツダ ロードスター (ND) | 橙の旋風

19 | 川村 修一 | スズキ アルト ケイワークス | 黄色の刺客

20 | サテラ | 三菱 ランサーエボリューションVII | 水色の閃光

21 | フェルリア | ホンダ シビック TYPE R (FD2) | スイートホワイト

22 | 高村 圭吾 | 日産 フェアレディZ Z33 | 漆黒の執行者

23 | 久我 ヒカル | レクサス RCF | 青い衝撃

24 | 北斗 | メルセデス AMG GTR | 北斗神拳伝承者

25 | フブキ | ロータス エミーラ First Edition | 鋭利なる吹雪

26 | セシル | ランボルギーニ・ウラカン | 氷冠の少女

27 | クリスタ・ニールセン | フェラーリ 488 GTS | 真紅の跳ね馬

28 | クレア | 日産 GT-R R35 デビルカラー | 闇の力

29 | 古賀 加奈子 | BMW M5 G90 | 紅蓮の猛獣

30 | 田中 英二 | マツダ RX-7 FD3S | 純白の旋風

31 | 伊東 乎太郎 | パガーニ・ウアイラ (黒) | 深淵からの刺客

32 | 黒川 海斗 | ランエボX Final Edition (黒) | 黒鉄の重戦車

33 | 藤堂 セイジ | マクラーレン 650S | 銀翼の魔術師

-----------------------------------------------------------------------

状況:予選終了・ホテル280号室、花(5位)がベッドを占拠、黒川(32位)は床で気絶

特記事項:宿泊環境の劣悪さが、花の精神力メンタルを鍛え上げる。

次回 開会式の罠

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