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86伝説エーペックス[POWER!!!]  作者: SAI
POWER!!!米沢編
402/425

米沢編第14話 5日目

K351

若林「お、おっと……冷気で頭が回っていませんでした! 改めて、、、人数を修正しました! 16人目は....ついにきたああああああゾフィアアア!!!!!! 赤いC7だアア!!!!!」


実況席の氷を無理やり剥がし、若林がマイクに向かって絶叫する。

スタートラインでアイドリングを続けるのは、アメリカの魂、シボレー・コルベット C7。その6.2L V8エンジンが、溜まったストレスを吐き出すように地響きを立てている。


ゾフィア「このウンコォォォ!!! なんでこんなに遅いのよ出番がッ!!!!」


ステアリングを叩きながら、ゾフィアが無線越しに怒号を飛ばす。

彼女は28歳。見た目の美しさとは裏腹に、性格は誰よりも熱く、そして言葉遣いは誰よりも荒い。


ゾフィア「私が前回出た三陸は14位で終わってしまったけど、、、人数が多いから意味があるッ!! ここで賞金とチャレンジを狙う......ッ!!!」

「私はチャレンジを歳をとっても諦めない.....ッ!!!!!」


三陸戦での不甲斐ない結果が、彼女のプライドを逆なでしていた。今回の米沢GPは、これまでにない強豪揃い。だが、彼女にとってそれは「踏み台」が多いということに過ぎなかった。


マヒロ「あはは☆ ゾフィアさん、すっごく怒ってるねっ! でも、その怒りがV8の燃料になってるみたい。赤いC7が、怒りの炎でパステルグリーンの雪を溶かしちゃうよっ☆」


若林「さあ、怒れる猛獣が解き放たれる! ゾフィア、コルベット C7……スタートォォォッ!!」


「ギャアァァァッ!!」という、リアタイヤが悲鳴を上げるような音と共に、赤いコルベットが猛然とダッシュした。

それはまさに、溜まりに溜まった鬱憤をすべて路面に叩きつけるような、破壊的な加速だった。


30人の運営スタッフたちは、ゾフィアの怒号に気圧されつつも、その圧倒的なトルクが弾き出すタイムを追うため、モニターに食らいついた。


若林「ゾフィアがチェックポイントで暫定6位を取っているゥゥゥ!!!!! 驚異的な伸びだッ!! 三陸の屈辱を完全に燃料に変えているゥゥゥッ!!」


真っ赤なコルベットC7が、飯坂のタイトな連続コーナーを、暴力的なパワーと繊細なアクセルワークでねじ伏せていく。

実況席の若林は、手元の最新情報に目を落とし、少しだけ声を落として続けた。


若林「……ここで一つ、悲しいお知らせが入りました。あの佐藤大河が、前回の松島戦を最後に、戦いの舞台を海外へ移すことになりました。日本での彼の走りは、もう見ることができません……!!」


一瞬、会場に寂しさが漂う。だが、その空気を切り裂くように、ゾフィアのV8エンジンが「ガアァァァッ!!」と咆哮を上げた。


ゾフィア「佐藤が行っちまったのは寂しいけどよォォォ!!! 日本の峠はあたしらが守るんだよッ!! 誰にも、この順位は譲らねえッ!!」


若林「そうですッ!! 日本ではゾフィアが再び順位をあげてきているぞ!!!! 夢野ユナのタイムを上回り、今まさに暫定6位の座を奪い取ったァァァッ!!」


マヒロ「わぁ☆ ゾフィアさん、大河くんの分まで背負ってるんだね。赤いC7が、まるで昇り龍みたいに峠を駆け上がっていくよっ! 28歳の意地、ミント色の吹雪でも消せないくらいの熱さだねっ☆」


30人の運営スタッフたちは、去りゆく者への敬意と、今まさに限界を超えようとする者への驚愕で、モニターを見つめる目が潤んでいた。

大河が日本に残した「速さの記憶」を、ゾフィアが今、米沢の地で新しい記録へと書き換えようとしていた。


若林「ゴールまであとわずかッ!! 赤い猛獣、ゾフィア! どこまで登り詰めるのかァァァッ!!」


若林「ゴールライン通過ァァァッ!! 赤い猛獣ゾフィア、今チェッカーを受けましたッ!! タイムは……出たッ!! 暫定5位奪取ォォォォォッ!! あの相川律のGT-R NISMOを、コンマ1秒差でねじ伏せたァァァッ!!」


米沢の峠に、V8エンジンの勝利の咆哮が木霊する。

電光掲示板の5位の欄に「Zofia / Corvette C7」の名が刻まれた瞬間、会場からは地鳴りのような歓声が沸き起こった。


ゾフィア「……見たかコノヤロー!! 大河、聞いてるか!? 日本の峠の熱気は、まだまだ冷めちゃいねえぞッ!!」


マシンを停めたゾフィアは、ステアリングに突っ伏しながら荒い息を吐き出す。

車内にはタイヤの焼ける匂いと、限界まで回し切ったオイルの香りが充満していたが、彼女の表情には三陸の時にはなかった、晴れやかな笑みが浮かんでいた。


マヒロ「すごーいっ☆ ゾフィアさん、本当に5位まで上がっちゃった! 相川くんのGT-Rを抜くなんて、まさに『真紅の奇跡』だねっ☆ 20万人のフォロワーのみんなも、今の熱い走りに感動してコメント欄が真っ赤だよーっ☆」


若林「相川はこれで6位に後退!! しかし、これこそが予選5日目の醍醐味! 誰一人として安全圏にはいない、まさに肉を切らせて骨を断つサバイバルだァァァッ!!」


30人の運営スタッフたちは、暫定5位に躍り出たゾフィアのテレメトリーデータを公式アーカイブに保存した。

佐藤大河の引越しという寂しいニュースを吹き飛ばすほどの、ゾフィアの熱い執念。それが今、米沢の地に新たな序列を打ち立てた。


若林「さあ、予選5日目もいよいよ大詰め!! 次なる走者は.....RZ34!氷雪の獣神!!!その名はちとせえええええ!!!!!! 最新の日産・フェアレディZ、白いRZ34がスタートラインに静かに、本当に静かに船橋町に降り立ってきましたああああああッ!!!!!!」


最新型のシャープなラインを持つRZ34。その運転席に座るのは、どこか眠たげで、緊張感とは無縁のような表情を浮かべる女性、ちとせだ。


ちとせ「いや〜おじさんか〜...もへ〜......」


若林「お、おじさん!? 私のことでしょうか!?

実況席の私を見てそんな脱力したコメントを漏らしているのかァァァッ!!」


ちとせ「ま、がんばるね~......☆」


ちとせは軽く手を振ると、これまでの殺伐とした空気を一変させるような軽やかさでアクセルを煽った。

しかし、その瞬間にRZ34のツインターボが「シュオォォォン」と鋭い吸気音を奏でる。

見た目の「もへ〜」とした態度とは裏腹に、その右足は最新鋭のV6ターボを完全に手懐けていた。


マヒロ「わぁ☆ ちとせさん、すっごくマイペースだねっ! でも、あの白いRZ34……足回りのセッティングがめちゃくちゃ決まってるよ。無駄な動きが一切ない、お豆腐みたいに滑らかな挙動だねっ☆」


若林「ギャップが激しすぎるッ!! ちとせ、RZ34……ゆるふわなスタートォォォッ!!」


白いRZ34は、見たこともないようなスムーズなラインで、一瞬にして米沢の闇へと消えていった。

30人の運営スタッフたちは、彼女のあまりの「緩さ」に戸惑いつつも、計測器が弾き出す「全く緩くない」鋭い加速データに驚愕した。


若林「うおおおおおおおお!!!!!!!! さすが吹雪のように舞うRZ34ォォォ!!!

全く無駄がないッ!! 氷の上を滑るような、それでいてアスファルトを掴んで離さない異次元の旋回だァァァッ!!」


若林の絶叫が、静まり返っていた板谷峠に爆辞のごとく響き渡る。

モニターに映し出される白いRZ34は、最新の電子制御をちとせの「脱力」が完全に中和し、まるで意思を持っているかのようにコーナーをクリアしていく。


若林「ここに来てチェックポイントからフリスの次のレコードに達しましたァァァァァ!!!!! あのポルシェ・ケイマンGT4が刻んだ、神のタイムに唯一並ぼうとしているのは……この『もへ〜』とした少女なのかァァァッ!!」


マヒロ「すごすぎるよっ☆ ちとせさん、全然力が入ってないのに、RZ34のパワーを120%路面に伝えてる。あれは『無我の境地』だねっ☆ まさにマヒロのブリザードをも超える、本物の白い吹雪だーっ☆」


ちとせ「ん〜……なんか、いい感じに滑るね〜。

おじさんのZが喜んでるよ〜☆もへ〜......♪」


無線から流れるちとせの緊張感ゼロの声に、30人の運営スタッフたちは椅子から転げ落ちそうになりながら、歴史的なセクタータイムを必死に公式記録へと入力していく。

フリスの背中が見える。米沢の地で、ついに王座を揺るがす真の刺客が現れた。


ゴール地点に白いRZ34が滑り込み、ちとせが車を降りると、そこには絶対王者フリスが静かに立っていた。

予選1位と2位。この米沢の地で最も速い二人が、初めて言葉を交わす。


フリス「ちとせさん、改めて言う。我はフリス...よろしく......☆

戦おうぞ...正々堂々と__」


フリスはいつものミステリアスな微笑を浮かべ、星のような瞬きを湛えた瞳でちとせを見つめる。


ちとせ「おお〜、、、このおじさん(ちとせ本人)と仲良くなれそうな気がするね〜、、、」


ちとせは自分のことを「おじさん」と呼びつつ、眠たげな目を擦りながらフリスの顔をじっと見返した。

王者の放つ「甘美なる最強」のオーラと、ちとせの「もへ〜」とした脱力感が、ゴール地点で不思議な調和を生んでいく。


ちとせ「ま、よろしく〜」


ちとせが軽く手を振ると、フリスも満足そうに頷いた。

殺気立った予選の空気は、この二人によって、まるで春の午後のような穏やかな時間へと塗り替えられてしまった。


若林「な、なんなんだこの空気はァァァッ!! 1位と2位、人類最強のドライビングを披露した二人が、まるでお茶会でも始めるかのような雰囲気ですッ!! しかし……この静けさこそが、明日の決勝で巻き起こる未曾有の嵐の『前触れ』に違いありませんッ!!」


マヒロ「うわぁ☆ 二人とも、波長がぴったりだねっ! 甘いポルシェと、ふわふわなZ。これぞ米沢の『ミントフラッペ・フレンズ』の誕生だねっ☆ 20万人のリスナーのみんな、歴史的な和解シーンだよーっ☆」


30人の運営スタッフたちは、この二人が決勝で同じフロントローに並ぶ姿を想像し、戦慄しながらも、最後のリザルトを確定させていった。


エーペックスカップ 第7戦 米沢グランプリ 予選最終順位表(確定)


順位 | ドライバー | 搭乗車種 | 属性/特性

-----------------------------------------------------------------------

01 | フリス | ポルシェ 718 ケイマン GT4 | 甘美なる最強

02 | ちとせ | 日産 フェアレディZ RZ34 | もへ〜(白い吹雪)

03 | 山吹 花 | スバル WRX STI | 蒼き守護者

04 | 腹切 カナタ | REVIVE 86 TURBO | 赤きターボの継承者

05 | ゾフィア | シボレー コルベット C7 | 真紅の猛獣

06 | 高橋 勇太 | ホンダ NSX (NC1) | 銀色の断頭台

07 | 相川 律 | 日産 GT-R R35 NISMO | 自称スリップマン

08 | 夢野 ユナ | トヨタ GR86 | 氷のプリン

09 | チャッピー | トヨタ GRコペン | 白髪の弾丸

10 | 伊藤 翔太 | スズキ スイフトスポーツ | 300馬力の衝撃

11 | サテラ | 三菱 ランサーエボリューションVII | 水色の閃光

12 | 高村 圭吾 | 日産 フェアレディZ Z33 | 漆黒の執行者

13 | 久我 ヒカル | レクサス RCF | 青い衝撃

14 | 北斗 | メルセデス AMG GTR | 北斗神拳伝承者

15 | イヨ | トヨタ GRスープラ | 神の領域

-----------------------------------------------------------------------

状況:予選全日程終了・全順位確定?

特記事項:上位15名が明日の「米沢グランプリ 決勝」へ進出

(16位以下のフブキ、セシル、クリスタらは予選落ち確定)

米沢編第15話 岡田のヤリス

4月10日金曜日投稿予定

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