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第二十九話 悪魔の本性

「まあなんにせよ、とりあえずクラリスを医者に診せようよ。それで駄目ならカルラに頼んで別の悪魔でも呼び出してもらってさ、脅しつけてその悪魔に治させるってとこでどうかな?」


 ガイウスは軽い口調で提案した。


 すると扉の向こうから怒鳴り声と共にカルラが凄い勢いで飛び込んできた。


「馬鹿言ってんじゃないよ!!」


「……ね、寝られたんじゃ……」


「お前たちが馬鹿な話をしているから寝れないんじゃないか!」


「……馬鹿な話って……駄目ですか?」


「ああ駄目だね。お前さんたちなにか考え違いをしているよ」


「……考え違い?」


「ああそうさ、アスタロトのような高級悪魔ならばともかく、ザンギのような中級や、ましてや低級悪魔なんかに治癒能力なんか無いんだよ」


「そうなんですか!?」


「ああ、そもそも悪魔の本性は破壊なんだよ。破壊ってのは治癒とは真逆の行為だからね、高級悪魔にでもならなきゃ出来ないんだよ。まあそれは攻撃魔法の使い手の多くが防御魔法を使えないのと一緒だよ。もっともあたしみたいな魔導師になれば余裕で両方使えるけどね」


「なるほど……では悪魔を召喚してもお嬢様のご病気を癒すことなど出来はしないという訳か……」


「ああ、そうさね。あの魔法陣はかなり大きめではあったがね、あれで呼び出せるのは中級クラスまでだよ」


「そういえば、カリウスはあの魔法陣で呼び出せるのは低級だけだと言っていた。しかし現れたのは中級クラス……なぜなのか?」


「ああ、それは奴の持っていた魔導書に秘密があるんだわさ。あれを奴がいつ、どこで手に入れたかは後で聞いておかなけりゃならないね」


 するとガイウスが興味深そうにカルラに問いかけた。


「秘密というのは?」


 しかしカルラはそんなガイウスを鼻で軽くあしらった。


「ふん!アクアしか使えない未熟者が知る必要はないよ!」


 カルラの容赦ない口撃にガイウスの口は大きくひん曲がり、ひくひくと痙攣していたが、カルラはそんなことは気にも留めずにロデムルに向き直って言った。


「せっかく眠ろうと思ったのに、目が覚めちまったよ!次いでだからシュトラウスとカリウスの馬鹿共に説教でもしてやろうかね。お前さんとりあえずどっちか呼んでおいで!」


 ロデムルは通常ならばどちらかと言われても判らないため聞きなおすところであるが、そんなことを言ってもカルラに怒鳴られるだけであると思い、まったく口を開くことなくただ一礼すると、素早く身を反転させて脱兎の如く駆け出し、あっという間に部屋を出て行くのだった。


 その後ジェイドも退室し、二人きりで取り残されたガイウスは、顔面の痙攣が治まるどころか悪化するほどの罵詈雑言をカルラから受け、息絶え絶えの疲労困憊といった有様となった頃、ようやくロデムルがカリウスを連れて戻ってきた。


 カリウスは、自分とはとても比べ物にならないレベルの実力者を前にして、心底から震え上がっているようであった。


 だがそんなカリウスに対してのカルラの態度は、まったくもって容赦の無いものであった。


「お前さん……覚悟しなよ」


 先ほどまでと違って抑えた声で静かに話すカルラのあまりの不気味さに、カリウスは恐怖のあまり思わず失神しかけるほどであった。

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