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第十一章 神の棺

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第二千九百二十四話 視線

「尋常ならざる――か。それは、どういう風なんだ?」


「それは分を超えますね。後は察していただけると助かります」


「ここまで言ったんだ。もう洗いざらい言っちゃえよ。なんなら俺も胸襟を開いて、全部話すし」


 パルススは細い目を、見開いた。


「全部――とは?」


 ガイウスはこともなげに言った。


「俺の秘密を、全部洗いざらい教えてやるよ」


「なぜそこまでわたしに信用を?」


「お互い同じ理由だろ。知り合ったばかりとはいえ、気が合いそうだし」


 パルススは笑った。


「確かに気は合いそうですが、現在のところは立場的には敵同士ですよ?」


「それでも、色々と通じるところがあるからってところじゃないか」


「まあ、言わんとしていることはわかりますが」


「だろ?まあせっかくだから、お互い洗いざらいぶちまけちゃおうぜ」


「ぶちまけると言われましてもね。なにをいえばいいものやら」


「とぼけるなよ。臣下としての分を超えることを、言っちゃえよってことさ」


「分を超えることですか。これは困りましたね。ずいぶんとこれまで、言葉を濁してきたんですが」


「周りにはもう誰もいないし、大丈夫だよ」


「そうですか――でも、実際のところはわからないんですよねえ」


「何がわからない」


「本当に、周りに誰もいないんですかねえ?」


 途端にガイウスの眉間に深い皺が刻まれた。


 次いで左右に視線を飛ばす。


 そしてガイウスは、ひとつ舌打ちをした。


「ちっ!参ったな。油断していたぜ」


 ガイウスは言うなり、両手を広げた。


 途端にガイウスたちの周囲の空間が揺らめきだす。


 揺らめきは次第に大きくなり、突然視界が真っ暗闇となった。


「もう大丈夫だ。異空間に移行したからな」


 ガイウスは言った。


 パルススは驚いた表情を見せる。


「ここは異空間なんですか?というか、そもそも異空間ってなんですか?異なる空間ってことですか?」


「そういうこと。通常いる空間とは隔絶した空間のことだ。だから、ここではどんな話をしても、誰かに聞かれることはない」


「そうですか。それはよかった」


「それにしても、本当に油断していたよ。まさか、監視されていたとはな」


「やはりそうでしたか」


「気づいていたんだな?」


「はっきりとではありません。ですが、この任に着いてからというもの、何やら嫌な視線をたびたび感じていたもので」

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