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第十一章 神の棺

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第二千九百二十二話 大人の話合い

「まあ、そりゃあそうだけど、国情から無理なんじゃないの?実際、あの若さで司令官にされてこんなところまで来させられているわけだし」


「そうですねえ、十五歳で司令官はひどい話ですよねえ」


 パルススはそう言ってため息を吐いた。


「十五歳なのか!思っていたよりも若かったな」


「幾つくらいに見えました?」


「十八、九」


 パルススはうなずいた。


「だいぶ大人びて見えますからね。でも本当は十五歳のいたいけな少女なんですよ」


「そんな少女を駆り出してまで、何でユラシア皇帝はマンドを侵攻したいんだ?」


 ガイウスがここでようやく本題に入った。


 パルススは細い目をさらに細めて、口元に笑みを浮かべた。


「さあ、わたしにはわかりませんよ、陛下のお考えなど。それは臣下の分を超えますしね」


 ガイウスはうなずき、言った。


「あんた副司令官なんだろ?」


「ええ、ユラシア皇国第三方面軍副司令官という大層大仰な役職をいただいております」


「でも実質司令官なわけだ」


 パルススは答えず、ただ笑みを浮かべている。


 ガイウスは続けて言った。


「そのあんたから見て、この侵攻はどうなんだ?無茶だと思わないか?」


 パルススは間髪を容れずに言った。


「わかりません。わたしは現在、先ほどの大仰な役職を頂いてはおりますが、とはいえ一介の軍人にしか過ぎません。陛下が御考えになられた作戦の意図などについて、考えるなどは分を超えます」


「陛下が御考えになられた作戦、ね」


 ガイウスは念を押して問うた。


「陛下が、殿下を任命し、陛下御自身がお考えになられた作戦を下命された以上、わたしはそれに従うのみです」


 パルススははっきりと言った。


 ガイウスは、パルススが言下に潜ませた意味を汲み取り、大いにうなずいた。


「ユラシア皇帝は、独断専行らしいな?」


「さあ、それも分を超えますね」


 ガイウスは肩をすくめて苦笑した。


「ほとんど分を超えるじゃないか」


 パルススも肩をすくめる。


「そりゃあそうです。皇帝陛下に関することは、ほとんど分を超えるに決まっています」


「そりゃまあそうだけど」


「貴方は違うのですか?」


「俺?」


「ええ、ヴァルハラ帝国の皇帝陛下でしょ」


「そういえばそうだったな」


 パルススは満面の笑みを浮かべた。


「ずいぶんとくだけた皇帝陛下なんですね」

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