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転生君主 ~伝説の大魔導師、『最後』の転生物語~  作者: マツヤマユタカ@ワンバイエイト第四巻発売中!漫画も第二巻発売中!
第十一章 神の棺

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第二千九百十八話 パルスス

 黄龍は途中いくつも枝分かれし、雲を突き抜け、遥か上空を駆け巡る。


 炎が空気を巻き込んで起こす低くくぐもった燃焼音と、電流が爆ぜる爆発音とが、五万の大軍を威圧する。


 ガイウスは眼下の軍を睥睨するなり、満足げに笑みを見せ、矛を収めることにした。


 ガイウスは役目を終えた両腕を下ろすなり、下降をしはじめる。


 そして、馬上のガレーシャと同じ目線まで下りるなり、言った。


「どうだった?」


 ガレーシャはガイウスを睨みつけた。


 だが、言葉は出なかった。


 歯噛みして唇を噛む。


 と、後方から騎馬が一騎、ゆっくりと前に進み出てきた。


 ガイウスは「おや?」という表情を見せるも、何も言わずに馬上の男を見た。


 糸のように細い目をした面長の男だった。


 男は悠然と前に進み出ると、ガレーシャの斜め後ろの絶妙な位置で手綱を引いて、ピタリと馬を止めた。


「殿下、ここはひとまず御退(おひ)きになられた方が、よろしいかと」


 澄んだ通る声で、男は言った。


 ガレーシャはわずかに首をひねり男を見ると、苦々しそうに言った。


「黙れ、パルスス」


 パルススと呼ばれた男は、かなりきつめにガレーシャに言われたものの、まったく意に介さず、引かなかった。


「そうは参りません、殿下。この者の魔法は、人智を超えております。ぶつかれば、大量の死者が出ましょう。それは避けるべきかと」


 ガイウスはうんうんとうなずき、内心で『そうそう』と呟いた。


 ガレーシャは首を横に振った。


「陛下から、マンドを攻略しろと命を受けている。たった一人に怯えて撤退など出来るものか」


「確かにマンド攻略の下命は受けておりましょうが、このような魔導師の存在は、陛下もご存じだとは思えません。ならば不測の事態ということで、撤退することは可能でありましょう」


「可能かどうかではない。一人を相手に撤退は恥だと言っている」


「人数の問題ではないかと。力量の問題にございます」


「この者は、たった一人で五万に匹敵するとお前は言うのか」


「さようです。はっきり申し上げて、この者が弓の届かぬ上空高くから先ほどの魔法を繰りだしたら、我々はお手上げです」


 パルススは実際に両手を挙げて、おどけたような仕草をした。


 ガレーシャは顔を真っ赤にして、怒った。


「強弩があろう!」

 

 パルススは、今度は両手を横に大きく広げた。


「無理です。あの火柱に雷、共に天高く昇っておりました。あの距離を取られたら、強弩でも到底届きません」

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