第二千九百十六話 王道
「言っている意味がさっぱりわからぬ」
ガレーシャが一刀両断した。
ガイウスは困り、説明を試みる。
「いや、つまりだなあ、相手より遥かに自分が強いということをアピールするために、相手の技を全部喰らって、その上で倒すってことだよ。そうしたら相手も圧倒的な差を感じるだろ?だからだよ」
「それが王道なのか?」
「そうだよ。こう泰然自若と全部受けて、それから倒すんだ。余裕綽々でね。格好いいだろう?」
「先程から何を言っているんだお前は。さっぱり意味がわからないぞ」
ガイウスは諦めた。
「まあ王道のことはともかく、魔導師部隊の準備が整ってから戦って、俺が倒したのを見たろ?」
ガレーシャの眉が曇った。
「魔導師たちがお前に圧力をかけたものの、それをお前が打ち破ったのは見た」
「おお、ちゃんと正確に把握しているじゃないか」
「だが、その後お前はまた話をしただけではないか」
今度はガイウスの眉が曇った。
「いや、その後閃光弾で倒したのを見たろ?」
ガレーシャは即座に否定した。
「閃光弾は見たが、それによって魔導師部隊が倒されるところなど見てはいない」
ガイウスは少し焦った。
「いや、それは、閃光弾があまりにも眩し過ぎて、お前からはよく見えなかったからだろ?」
ガレーシャは首を横に振って、これまた即座に否定した。
「いや、よく見えていた。閃光弾の後、お前が魔導師部隊に何事か言った後、彼らがやられたふりをして、軍の後方に後退していったのをはっきりと見た」
ガレーシャははっきりと断定した。
ガイウスはいよいよ焦りまくった。
「い、いや、そんなはずは、ないと、思うんだけど……な~」
あからさまに動揺するガイウスを見て、ガレーシャはほくそ笑んだ。
「魔導師部隊と事前に通じていたのだな?」
「あ、いや、それは違う、事前とかじゃない」
「ほう、ではあの場にて買収でもしたか?」
「い、いや、そういうわけでも、ない、というか、そのう……」
「なんだ。はっきり言ったらどうなんだ?先程は王道がどうとか言っていた御仁とは思えんな」
「いや、それは、そのう……」
「はっきり言えと言っている」
事ここに至り、ガイウスは諦めた。
「わかったよ。正直に言うよ。上で戦った時、圧倒的な力の差を見せつけた後、やられたふりして逃げろと言ったよ」




