第千四百二十六話 カルビンとの出会い
傍らのカルラは、鼻でフンと一息吐いた。
「聞いたところで答えまい。それにシェスターたちがハッキリと見ておるからな。この者らにわざわざ確認する必要は無いさ」
「ま、判っているけどね」
ガイウスがそこで、カルラに向かって可愛らしくウインクした。
カルラは思わず苦笑した。
すると、そこで執事がくるっと振り向いて言ったのだった。
「こちらでございます」
執事が言うや、他の召使いたちが突き当たりの扉を観音開きに開いた。
ガイウスは、胸をそびやかして明るい室内へと入っていった。
すると、中には噂のカルビンが、ガイウスたちを満面の笑顔で待ち構えていたのだった。
ガイウスは一度カルラと顔を見合わせると、広大な大広間をズンズンと大股で歩いた。
そして程なく、カルビンの前へと辿り着いたのであった。
「君がガイウス君かね?」
ガイウスが軽くうなずくと、カルビンはほのかに微笑んだ。
次いでカルビンはおもむろにカルラを見た。
「そして貴女が、伝説の大魔導師と名高いカルラ殿か」
カルラは失礼を承知で鼻でせせら笑った。
「まあそうだ。貴方がカルビン卿か?」
カルビンは大きくゆっくりとうなずいた。
「そうだ。お初にお目にかかる」
カルラは片眉をピンと跳ね上げ、カルビンを品定めした。
(ふん、堂々としているね。それに顔がいい。こりゃ出世しそうな顔だね)
カルラは品定めを終えると、皮肉な笑みを浮かべた。
「一人かい?てっきりガード役がいると思っていたが?」
カルラの言うとおり、広間にはカルビンの他には誰も居ず、先程案内した執事たちの姿すらなかった。
「必要ないさ。仮にいたところで君たちが相手では、どんな精鋭部隊であったとしても、ひとたまりもあるまい」
カルビンが笑みを浮かべながら言った。
するとガイウスが、いつもの悪い癖で調子に乗った。
「たしかに!俺たちが揃えば一個小隊どころか、一個大隊であっても勝ち目はないさ。よく判ってるじゃん」
すると当然のようにカルラがガイウスに対して、睨みを効かせた。
「調子に乗るな、この馬鹿弟子が!」
カルラはガイウスを一喝するや、あらためてカルビンと向き合った。
「ところでシェスターたちの姿がないが?」
カルラの問いに、カルビンがさもうっかりしていたとばかりの表情を作った。
「ああ、そうだったな。今頃は召使いたちが呼びに行っているところだろうから、もうまもなく来るだろう」
「そうか。で、どうやら貴方はガイウスに用があるようだが?」
カルラは単刀直入に切り出したのであった。




