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第十一章 神の棺

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第千四百二十四話 逃走

「くっそー!リベンジのチャンスだったのに……」


 ガイウスが悔しそうに天を仰いだ。


 だがカルラもこの結果は意外だったらしく、本当に敵が消え去ったのかどうかを確認するため、周囲を探っていた。


「……本当に逃げたようだな」


 カルラが敵の逃走を完全に認めた。


 ガイウスはふて腐れた顔でもって言った。


「まさか逃げるとは思わなかったよ」


「ああ、それはわたしも同感だ。これは予想外だったね」


「だよなー。まさか逃げるなんて思わないもんなー」


 ガイウスは口を尖らせて言った。


「残滓の残滓にも判断力があるということか……」


 カルラがそう言うと、ガイウスもうなずいた。


「だよね。俺はてっきりほとんど脳みそなんて無い。単細胞的な奴を想像していたよ」


「わたしも同じだね。問答無用で襲いかかってくる物だとばかり思っていた」


「ところがそうじゃなかった……あれ、本当に残滓の残滓だったと思う?」


 カルラが腕を組んで考え込んだ。


「ふむ……オリジナルだったと思うか?」


 逆にカルラに問われ、今度はガイウスが腕を組んで考え込んだ。


「……どうかな?……俺は二回、奴と遭遇したわけだけど、違う印象を持ったな……」


「わたしもだ。あれはダロスで会った奴とは別物だと思う。だが、完全な別物ではない。だからわたしは残滓の残滓という表現に納得していたんだ」


「うん。俺も同じだね。だけど……」


「ああ、逃げるとはな……思考能力があると考えるほか無い……いや、待てよ」


 カルラがそう言って再び考え込んだ。


「もしや……何者かが、逃走の指令を出したということかもしれんな……」


「何者か……か。てことは誰かが今のを見ていたってこと?」


「あるいはな」


「そんな気配あった?」


 カルラは大きくかぶりを振った。


「いや、ないな」


「だよね。俺も感じなかった。誰も周囲にはいなかったと思う」


「ああ。いなかったが……」


「何か引っかかっているみたいだけど?」


 ガイウスの問いに、カルラが難しい顔となった。


「そうだな。何かが引っかかっているようだ。だがそれが何なのか自分でもよくわからん」


「ふうん……カルラにしては珍しいね?」


 ガイウスが意外そうに言った。


 するとカルラがフンと鼻で息を鳴らした。


「何を言うか。わたしだって迷うことはある」


「まあそうだろうけどさ。珍しいと思ってね」


 すると再びカルラが鼻息を鳴らした。


「珍しいかどうかは知らないがね。こういうことは今までも結構あったんだよ」


「へえ、で、今まではどうなったの?」


 するとカルラが途端に険しい表情となって言ったのだった。


「大抵ろくでもない結果が待っていたよ」

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